表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安アパートと宇宙船  作者: 世も据え置き
第四章 宇宙船で金策を
25/89

第一話  俺氏、金欠になる②

「あ~間が悪いわ~」

 結局彼女達は成穂に別れを告げるとそそくさと退出していった。

 決して背中は見せなかった。

 

 結果、こうして一人うな垂れて居るというわけである。

「まだご夕食は用意できていません」

「俺を欠食児童みたいに言うな」

 まあ一人ではない。

 ここには由紀ちゃんズがこの部屋に遊びに来る理由である超絶美少女。成穂ちゃんが居るのだ。

 

 成穂ちゃんは余所行きの黒髪黒目でこちらをじっと見つめてくる。

 うっ……なんだこの初めて感じる気まずさは。

 

 この少女と出会って此の方。この視線に怖気づくことも、怯えることもあったが気まずく感じたことなど一度もなかったはずだ。

 これは女子会を邪魔してしまったせいかそれとも……、

「……」

 くそっうぅ。あの時『ナルえもん作戦』が上手くいっていればこんな気持ちにならなかったというのに。

 そんな目で見つめられると。俺が駄目亭主になったみたいで……ちょっと興奮してきた。

 

 いいや、はっきり言ってしまわねば明日はないのだ。明日は道草味噌汁になるのだ。

 

「ナルほもんお金貸して」

「ありません」

 ……簡潔……だと……。

「えあの」

「ありません」

 一同沈黙。

 気まずいどころの話じゃねえ。

 

 

 何故なのだ。それを必死に考える。

 成穂ちゃんはバイトをしているのだ。そしてその時給は高かった。

 それもそのはず。成穂ちゃんは言わばお客ホイホイと化しているからだ。

 世のモテない男達が己を癒すため訪れた一件のあばら屋(実際の店舗はしっかりしています)。

 そして男達は見つけるのだ。汚い誘惑の中で健気に咲く一凛の花を。

 とまあそんな感じで成穂ちゃんが居ると、ぐんと売り上げが上がるのだ。

 

 つまり俺より金持ちなはず。何故だ? おかしい。

 ……そうだこういう時は前提が間違っているのではないか?

 

 オレオカネナイ。ナルホチャンアルハズ。ドコカラオカネクル?

 オカマノミセ。

「……っは!」

 そして気付いた。気付いてしまった。

 

「まだ給料が振り込まれてない」

 

 

 なーんだそりゃそうだ。店の売り上げが伸びたのもここ最近。

 あの時、店長は飛び入りで入ってくれた成穂のために、当日払いのボーナスという扱いで、金一封を払ってくれたのだ。

 そしてその後、成穂はバイトに組み込まれた。

 給料日は俺と同じ。

 

「俺達文無しだなっ」

「はい」

 疑問の解決に気分は高揚。つい笑いまで起きてしまう。

 

「笑ってらんねえ」

 これから二人で61円でやり繰りしなければならない。

「ちなみに今日の夕飯は……?」

「ご飯一膳に具なし味噌汁です」

 ……なんてこったい。こんなことになるまで気が付かないとは。

 最近は成穂ちゃんに台所任せっきりだったからな。

「あのね成穂ちゃん。人は米だけに生きるにあらずって……一膳?」

「二人で一膳です」

 わーお……限界突破してた。

 

 いや待てよ。成穂ちゃんは宇宙人だ。宇宙人なら食べなくてもいけるんじゃあないか?

 

 時折虹色に映る黒い瞳がこちらを見つめている。

 こいつは行動原理も思考回路もよく分からないが、文句を言うこともなく俺の無茶ぶりに応えてきた。

 ……まあ本当に無茶なことになったりもするけれど、それでも文句も言わずに俺の側にいてくれる。いいことかは分からないが、最近は裸でいることも減ってきた。少し疼くこともあるが、おかげで風邪を引くことも減った。

 そんな成穂だが食事だけはこだわったのだ。

 そう夜食セットだ。

 そして思ったのだ。食は宇宙人とのコミュニケーション手段足りえると。

 そんな成穂に食うなと言うのは俺は嫌だ。

 

 だから俺はそんな食いしん坊な宇宙人のために、こう言ったのだ。

 

「なんか金策考えて下さい」

 と。

 土下座付きで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ