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安アパートと宇宙船  作者: 世も据え置き
第三章 宇宙船で宇宙旅行か?
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第一話  俺氏、旅行を計画する①

 俺は宇宙人に二度、拉致られました。

 これはその二度目の拉致を体験したその後の話だ。

 

 あの後、俺達は宇宙船の食堂で、夜食セットという名の夕食を作って食べた。なにせ帰ってきたときはまだ当日の夕方だったのだから。

 あの通路を歩き続けた時間は一体なんだったのだろうか。

 

 

 少し詳しく説明する。

 

 宇宙船の台所はガスコンロ完備。オーブンまで付いていた。

 やっぱりIHは邪道だよね、使ったことないけど。

 そして材料はその台所の調理台にスーパーの袋に入った状態で置かれていた。この宇宙船に迷い込む前に俺達が買ったものだ。ご丁寧に一緒に買ったトイレットペーパーまで置いてあった。

 

 成穂は頑なに夜食セットを所望していたが、それだけでは味気ないので買っておいた豚バラで豚汁を追加した。

 これぞ夜食セットオブ夜食セットだと力説すると、成穂は納得したらしい。奇麗に平らげたのだった。

 三百人ぐらいが座れる椅子と長机の並ぶ食堂で、ぽつんと食事をするのはなかなか貴重な体験だった。

 独りで食べていたら泣いていただろうね。成穂に感謝、いや原因に感謝していいのだろうか? 

 いや女の子と食事ができたのだ。圧倒的感謝である。

 結局、成穂が何故夜食セットにこだわったのかは分からずじまいだったが。

 

 

 まあそういうことがあったことで俺はまあとある結論に至ったのだ。

「宇宙船使えねえ」

「宙空界面機動艦です」

 簡潔!

 

 つまりだ。

 あんな一々事件を起こしていては心労で倒れてしまうということだ。

 なぜただ宇宙船に乗るだけでSAN値を練けしが如く、千切られなければいけないのだ。

 もっと俺は「俺が最後のフロンティア」みたいなことを言いたいし、したいのだ。

 

「ということでもっとお気楽宇宙旅行みたいなのがしたい」

「もっと正確にお願いします」

「だからさあ~あるでしょう? 日帰り惑星紀行とかさ」

「……動かすのですね」

 あれ?

「ああそうそう、ガス代はそっち持ちでね」

「それは問題ありません」

 やりぃ!

「俺ね一回月とか行ってみたかったんだよ。あれくらいの距離なら日帰りで余裕だろ?」

「……」

 あれ?

「そ、それなら一泊二日ならどうでしょう? 店長ならお前を出汁にすればコロッと休暇をくれるだろうし」

「……」

 あれあれあれ?

 もしかして俺が思っていた以上にポンコツ船なのか? 

 図体がでかいだけでワープ航法とかもないのか? 

 成穂を譲ってくれた、あの奇妙な別の世界の俺はレトロコレクターだったのか?

「な、なあ……それも無理ならそうだなあ……地球一周とかでも――」

「ッ」

 あの成穂が息を呑んだ。あの呼吸をしているのかどうかも分からない、あの成穂がだ。

 そうか、そこまでなのか……。

「いや、無理言ってごめんな……でもあの食堂は凄かったから――」

「可能です」

 簡潔キター!

 これで俺もアストロノーツだ!

「え⁉ 本当に嘘じゃない?」

「嘘は付きません」

「えー怪しいなあ……言い淀んでいたじゃない」

 焦らされたことでちょっと鬱憤が溜まっていた俺は、ここぞとばかりに成穂を弄りまくった。それはもう鬱陶しいくらいに。

「ほんとにほんとにほんとうに~? それじゃあ何で言い淀んでたの~?」

「それは……」

 俺は楽しかった。何時もはしてやられていた俺がここに来て初めてマウントを取れたのだ。

 あとすっごく可愛い。

 困っている(風に見える)成穂がすっごく可愛いかったのだ。

 俺のからかいは、成穂の目に冷気が宿っていることに気付くまで続いた。

 

 だがそれがいけなかったのだ。

 

「三日準備期間を下さい」

 そう成穂が言ってから三日たった。


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