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第13章

「なんだか、ずいぶん楽しそうですね」


朝の身支度を終えた頃、カリナがやってきてなにやら忙しそうに動き回りながらあたしに言った。


「なにか、いいことでもあったのですか?」


「うん、ちょっとね」


あたしはベッドのそばにある窓辺に飾っていた、ルクの花の蕾をそっと触った。


「そうですか。それより、鈴様。そろそろお出かけの準備を」


「出かける準備?」


「ルカ様から聞いておりませんか?」


その時、扉がノックされルカが顔を出した。


「ね、出かけるって、どうゆうこと?」


「昨日はわたしの不用意な発言でご迷惑をおかけしましたので、お詫びに狩りへご招待したいと思いまして」


狩り……?


「ここから少し行った所に王家の狩り場がございます。ちょうど、今日からアシル様が行く予定をしておりましたので、よろしければご一緒にと思いまして」


「狩りなんて、やったことないし」


「狩りには参加しなくても、ご覧になるだけでもどうでしょう。この国の事もいろいろ知っていただく良い機会かと」


あたしはどうしようか迷ったが、せっかくの機会だし結局行く事にした。


しかし、出発したのがお昼を過ぎていたこともあり、2時間程馬に揺られ王家の別荘へ着いたのは夕方近くだった。


狩りは明日からだということで部屋でゆっくりと過ごし、湯浴みを終え部屋に戻る途中、最初にいた部屋とは反対方向に行こうとするカリナを呼び止めた。


「方向違うんじゃない?」


「お休みしていただくお部屋は別で用意しておりますので」


なんだか慌てた様子のカリナを不審に思いながらも、あたしは言われた通りの部屋へと案内してもらった。


「それでは、わたくしここで」


いつもなら、一緒に部屋まで入って来るカリナが扉の前で言ったので、あたしはおやすみを言って部屋へと入って扉を閉めた。


2部屋ある部屋の壁にはすでに火が灯されている。


あたしが奥にある寝室に足を踏み入れると、人影が見えた。


人ってビックリすると意外に声って出ないもので、一瞬体が固まり息を飲んだ。


「誰!」


数秒後に出た言葉にこちらを向いた人物はアシルだった。


突然現れたあたしにアシルは驚いたように目を丸くした。


「なぜ、お前がここにいる?」


「それはあたしの台詞よ! 勝手に人の部屋に入ってなにしてんのよ!」


「お前の部屋だと。何を勘違いしている、ここは俺の部屋だ!」


俺の部屋って、一体どうゆうこと?


部屋を間違えた?


カリナがまだ近くに居るかもしれない。


あたしは訳が分からないまま急いでドアまで行き、ノブに手をかけた。


しかし、いつのまにか鍵が閉まっていて開かない。


なんで鍵がかかっているの!


「カリナ、カリナ!」


あたしは扉を叩きながら、カリナの名前を呼んだ。


「鈴様」


すると、扉の向こうからカリナの声が聞こえて来た。


「カリナ、そこにいるならこの扉を開けてくれない? なぜか鍵がかかっているみたい」


「申し訳ございませんが、扉を開ける訳にはまいりません」


申し訳なさそうな声でカリナが言った。


「なんで!?」


「アシル様の部屋へご案内するようにとのご命令でして」


はぁ?


「命令って、どうゆうこと? 一体誰が……」


「アシル様と鈴様の仲が良くならない事を心配しての事でございます。今夜はおふたりでごゆっくりお過ごしください」


ごゆっくりって……。


アシルと一緒にゆっくり出来る訳ないじゃない!



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