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賢者の塔  作者: あんにゃのパパ
第一章:出会い
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邂逅

 ライトがタワーから離れていく方向に砂利道を歩いて行くと、遠くの方にふと視界に3つのunknownが表示された。さらに少し歩くと、その一つ一つが人であることを認識した。

 まだ、その対象達はライトに気付いている様子がなく、警戒した方が良いと考え、道と森の境界を木に隠れながら少しずつ近づくことにした。ほどなく3人の人影を目視で確認することができた。ライトから見て左側に見えるのは、ファンタジー映画に出てきそうな中世風の女性と男性の組である。女性はフードのようなものを被っており、高級そうなドレスの上から装飾された動きやすそうな革鎧を着ている。中世風の男性の背丈は短く樽のような体系である。立派な長い髭を持ち両手用の斧を構えている。男性が叫び、女性が男性を止めているように見えた。両者とも服装は泥でかなり汚れ、所々破れた部分もあった。彼らから30m程離れた右側には、近代的なパイロットスーツに身を包んだサングラスの男がいた。彼は大柄で太っていた。そして、銃を中世風の二人組に向けて何か叫んでいる。彼の服装も少し汚れていた。どうやら何か一発触発のトラブルの最中のようだ。


「彼らは、生身の人間のようだ!間違いない。」

 ライトは興奮してしまい、警戒していたことを忘れて、そのまま足早に近づこうとした。


 彼らはほぼ同時にライトに気付いた。

 同時に、こちらに向けて叫んだ。

「OOoOOOO」

「XXXxXxXX」

「XXXxXXXXxxXX」

 残念なことに彼らの言語は理解できなかった。


 そのT字路から彼らの息遣いがわかるぐらいまで近づくと、中世風の男が斧をライトに向けて構え、パイロットスーツの男の銃もライトの方へ向いた。髭の男は驚愕の表情でライトに向けて何かを叫んでいるが、結局のところライトは何を言っているのか理解できない。パイロットスーツの方は、サングラスをしているため、表情を読み取ることはできなかった。髭の男とパイロットスーツの男のunknownの表示の下に、languageの項目が追加され、???と表示されていた。どうやら、言葉を聞くと追加されるようだ。斧や銃をこちらに向けられていることもあり、ライトはこれ以上近づくのは危険と感じ停止した。


「はじめまして、ライトといいます。後ろに見えるメインタワーから出てきました。お友達になってください。」

 何を話していいかわからなかったので、この場の雰囲気にマッチしない感じはしたが、とりあえず挨拶をしてみた。しかし、彼らはライトの言葉を理解できなかったようだ。髭の男はより驚愕の表情を大きくして、フードの女に話しかけ、さらにこちらにチラチラ顔を向けて何かを叫んでいる。お互い睨み合う状態に陥った。


 ライトが状況を打開しようと思い、動こうとしたら、パイロットスーツの男が何かを叫び、銃身が持ち上がった。怯えているようだ。中世風の二人組は何かを話し続けている。ライトの耳の性能はよいため、話している内容は聞こえてくるのだが、理解はできない。さらに時間がたち、日が暮れてしまった。中世風の女性が何か呟いて、交差点全体が微かに光った。パイロットスーツの男は少し驚いたようだ。


(…さて、この状況はどうやって打破するかな。もし攻撃を受けたら、斧でも銃でも致命傷を受けそうだ...こちらのレーザー簡易銃は射程は30cmないことがばれないようにしないと...)


(!)

 突然、中世風の二人組に重ねて表示されていたunknownという表示が、「シルヴィア」「ブラーブ」に変わった。相変わらず、会話の全体的な意味は分からなかったが、会話の抑揚から単語が頭に残り、その単語の頻度を朧げながら把握することができた。どうやら、ライトの頭脳は、まず、お互いを呼び掛ける名前を自動的に認識したようだ。


「シルヴィア、ブラーブ!」

 そこで、ライトは手に持つ銃を地面に落として、手を横に広げ敵意のないことを示し呼びかけてみた。


 長髭の男が何か叫んだ。これまでと違って、「なぜ、XxX、知ってる?」と言っているように感じた。

「お互いそう呼んでたからわかったんですよ。」とライトは答えた。ライトは、自分自身が明らかに今まで知らなった言語を発していることに驚いた。どうやら、言語を高速に習得しつつあるようだ。しかし、より驚いたのは、中世風の二人組だった。

「おまえ、なんだ、XXXxXか?」


「お前たち言葉が通じるのか?」パイロットスーツの男が言ってることが突然理解できた。ライトの視界には彼の頭上にunknownと表記されているが、languageの項目に、カプタイン語と表記された。彼の言語はライトが使える言語の一つだったようだ。


「はい、あなたの言うことはクリアに理解できます。」

 パイロットスーツの男に向けては、彼が分かる言語に変えて返事してみた。今度は、パイロットスーツの男が驚く番だった。


「オレの言ってることがわかるのか?君はロボットか?」

「まぁいい、そんなことより、彼らと話せるなら、その髭に説明してくれないか?敵ではないことをを。乗ってきた船が墜落して状況がわからず困ってるんだ。」


「わかりました。」

 墜落という言葉が気になったが、このパイロットスーツの男とは後から話ができそうなので、後で確認することとして、当面の課題を解決することとし、中世風の二人組の方を向いた。

「我々は敵ではありません。話し合いませんか?」


 また、二人であれこれ話し出した。次第に彼らが小声で話しあってることも理解することができるようになってきた。彼らもこの状況に対してどうすべきか迷っており、相談し合っていた。彼らが話せば話すほど、彼らの会話が理解できるようになってきた。


「我々は敵ではありません。助けてもらえませんか?」

 ライト自身も、パイロットスーツの男と同じく、情報を欲していた。彼らがこの近辺に住んでいるのなら、色々聞けそうだと思い繰り返し敵でないことを強調した。


 攻撃すべきだと主張する髭の男と、そうすべきでないと二人で話し合っているようだった。ブラーブと表示された髭の男を制して、ライトとパイロットスーツの男にフードの女が話し出した。

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