拠点
ゴンゴンゴン、バン、ゴンゴンゴン。
ブラーブは外から聞こえる大きな音で目が覚めた。どうやら起きるのは一番遅かったみたいだ。
塔から出てみると、周囲は既に朝になっており、前方で、シルヴィアが芋を茹でて朝食の準備をしていた。その後ろ側では、辺りの木々が伐採されており、そこでヤンスが指揮をする形で、二機の小型ロボが働いていた。ちょうど四角く加工された石の土台の上に、木の板を床として順番に敷く作業の最中であった。
ヤンスは何か小さなパネルと多数のボタンをついたを何かの装置いじりながら、あーだこーだとブツブツ言いながら操作していた。
「あ、起きたのか?」
ブラーブに気付いたシルヴィアが声をかけた。
「何か作っているようだが、あれは何だ?あんまり目立つモノを作ると追手に見つかるんじゃないか?」
「それもそうなんだけど、ヤンスがいつまでも塔の入り口部分に隠れているわけにもいかない言って、今朝ライトとも話し合ってここに拠点を作ろうと決めたんだ。ヤンスはあの小さなゴーレムを使って家を作ることができるらしいよ。」
「ふーむ、大丈夫なんかな…」
ブラーブは二機の小型のロボが次々と石や木材を加工していく様子と、その精度に驚いた。
「ヤンスは考えがあると言ってた。彼らは不思議な力を持っているでしょ。その考えとやらにちょっと期待してみようかなって思って。私たち、ここまで逃げてきたけどちょっと八方塞がりでしょ?それに、私が隠蔽の魔法をかけるるからそう簡単にはバレないって。大丈夫!」
「まぁ、わかった・・・周囲を警戒してくる…夕方には帰る。」
ブラーブは、このような音をたてながら実施していることがやはり心配になるようで、周囲を見て回るためにここを離れた。
ライトは塔から毛布や機材などを持ってきて、一か所にまとめていた。
昼頃になると、建物を囲む壁が完成し、そうこうしているうちに建物の周りに簡単な足場ができ、屋根部分を作り始めた。そして、夕方には外壁と屋根の隙間を埋め、簡単な扉がつき、風雨を凌げるかなり広い空間が出来た。
「よし、とりあえずの新居完成だ!さぁ、入って入って。」
ヤンスは嬉しそうに宣言した。
丸太でできた5段ほどの階段を上り、扉をくぐり、木の良い香りがする部屋の真ん中に集まって座った。この部屋には窓がないが、中央にとても明るいランタンが光っていたため、暗くはなかった。
「そのランタンは何だ?部屋の片隅の機材から紐が伸びておりランタンとつながっているようだが…」
シルヴィアとブラーブは見たことのない強烈な光を発するランタンに興味を持っていた。
「屋上に太陽光パネルで発電して蓄電機に蓄えて、それをランタンに供給している。」
ライトはこのように表現しようとしたが、"太陽の力を魔素に変え畜魔機に蓄えて、それをランタンに供給している"と発声した。どうやら電気という単語は彼らの世界では魔素と同等のようだ。
「蓄魔機?そんなの聞いたことない…魔素を紐で送って蓄えることができるのか?」
シルヴィアは驚いた。
「そんなことより、聞いてほしいことがある。提案がある。」
ヤンスがシルヴィアの話を遮った。ライトが通訳をする。
「今朝言っていた考えのことか?」
「そうだ、この星に不時着したときは、万事休すと思ったが、この塔とライトに出会った。この塔は俺が見るに、とても強力な力を持っている。そして、シルヴィアとブラーブは敵から追われてここに逃げてきた。」
ヤンスは一呼吸おいてさらに続けた。
「ここをいったん拠点を作り準備をして、その敵とやらに反撃したい...やってみないか?」
ライトは強くその話に興味を持った。
「おぉ助けてくれるのか!有難い。」
シルヴィアは喜んだ。
「こらまて、助けてくれるのは嬉しいが、ワシらは4人しかいないぞ。それに敵は強力で数も多い。可能なのか?」
ブラーブは少し困惑した。
「その敵とやらのことは詳しく教えてもらう必要があるし、この塔の実力とやらも調べてみないとわからないが、可能だと思ってる。この小型ロボを少しいじってみたが、かなりの造形能力がある。この建物が証拠だ。」
「塔の中には、他の工作機械もある。別のロボットもいる。」
ライトは塔の3層の工作室のことなどを思い出した。
「本当か?それは良い情報だ。そういう話をこれから色々教えてほしい。」
「私たちの敵の話もしましょう。」
彼らが話す中、小型ロボはヤンスがプログラムした通り、シルヴィアの水脈を知る魔法であたりをつけた場所で、井戸を掘る作業を開始した。
1章として、いったんここで区切りをつけます。




