食事
ライトは塔の入口から数分かけてアルファ居住区7層の食料貯蔵庫まで戻ってくることができた。
扉の前でライトの二機の小型ロボが近づいてきた。
「そうだおまえたちを忘れてたよ、兄弟たち」
アルファからライトは小型ロボを材料として作られたことを思い出し、兄弟たちとよびかけてみた。もちろん返事はなかったが、仕事を欲しそうな顔をしてこちらを見たような気がした。
保冷庫などは正常に動作しており、蓄えていた食料等に特に問題はないようだ。これはこのアルファ居住区には電力などがまだ正常に供給されている証拠である。運ぶための袋がないので、探そうとしてみたところ、あることに気付いた。
「これらの食料を運ぶのを手伝ってくれないか?」小型ロボに言ってみた。
すると、まるで承知したが如く上部の眼にあたる部分が一瞬光り、比較的速いスピードで部屋を出て行った。しばらくすると、1機が桶のようなものを頭の上に乗せて帰ってきた。数分後、もう1機が大きなビニール袋と布を持ってきた。
「とりあえず、こんなもので良いかな?」
ライトは、コンテナに芋などの根菜を中心にビニール袋や袋につめた。さらに、塩や胡椒などの調味料を持っていくことにした。
「そうだ、水もいるな。」
他には、何かの役に立つかもと構成物資をはじめとした医薬品も持っていくことにした。
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「!」
ブラーブとシィルヴィアは小型ロボを見て驚いた。
「こりゃー、何でできてる?魔素は感じ取れんが、ゴーレムか?精巧じゃの…」
「色々助けてもらえそうなので連れてきた。」
「ほぉー」
ヤンスはじろじろ小型ロボを見ていた。
(見たことないが、使えそうだな...)
その後、ライトが持ってきた食材を、ブラーの背負っていた鍋やヤンスが持っていた小型の料理道具を使って調理し、塔の外で遅めの夕食が開始されたた。
「なんじゃ、この純度の高い胡椒は?塩も何も混ざっておらん。」
「この赤い果物はなに?おいしい!」
「この芋は初めて見るが、ホクホクとしててうまいな。」
シルヴィアとブラーブは久しくまともなものを食べていなかったので、嬉々として食べていた。
ヤンスは持っていた長さ15cmのスティック状カプセル携帯食をブラーブに差し出した。
「なんだこれは?クッキーのようだが。」
怪訝な顔をしたが、折って一つを口につまむと顔が晴れた。
「これも、うまいな。」
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食事が終わると、ヤンスはリュックから小さな緑色の包みを取り出し、ヒモを解いた。それは折り畳まれており、開くとともに自動的に組み上がり瞬く間に一人用の小型のテントになった。
「なんだそれは?あんた便利なもん持ってるな。」
ブラーブは興味深くテントを眺めた。構造が気になるみたいだ。テントに近づいてみて触ってその薄さにとても驚いた。これなら夜露も簡単にしのげそうだ。
「とりあえず、お嬢さんにはテントに入ってもらいましょか?男どもは雑魚寝だな」
まだ、お互い会話は通じないが、この状況で話す内容は容易に想定がつくので、手ぶりと表情で意思疎通はそう難しい事ではなかった。
「いいのか?私はどこでも寝れるぞ」
「まぁここはオレの顔を立ててテントで寝てやってください。」
「まぁ、あなたがそういうならご厚意に甘えますが。」
塔の入口の小部屋の一番奥にテントを置き、全員塔の中で寝ることになった。




