思惑
シルヴィアとブラーブもタワーから離れ、ヤンスの近くに来た。通訳役のライトがいなくなったため、会話はなく、少し気まずい空気が流れていた。ライトが少し離れた場所で壁を叩きながら、入口を探していた。
ヤンスは、手を組み状況を整理してみた。
(先ほどは、危なかった。ロボットが通訳してくれないと、その髭男に頭を割られていたかもしれない。まぁ、運が良かったな。何にせよ、しばらくこの惑星にいるだろうから現地人の言葉を覚えないと不便だな。
しかし、ライトと名乗るロボットは、自立型なんだろうか?それとも遠隔操作型?いずれにしろ、オレの知ってる限り、あそこまで会話ができ、スムースに動けるロボットは知らない。現地人の会話もあの短い間に習熟して話せるようになったみたいだ。これまでタワーに住んでたとかいったな、、、しばらくここに寄せてもらって、帰る方法があるか調べさせてもらうか。)
視線を二人組の方へ移した。
(この髭の男の方は、ファンタジー小説に出てくるドワーフにそっくりだ。あの金髪の若い女が使ったのは魔法か?何か詠唱して頭上に明かりを灯したようだが、、、鎧を着てるが、知的な感じがするから、魔法使いかなんかかな。この世界は精神魔法が発達しているのかもしれない。)
ヤンスは学校で進化の方向性として、科学技術が発達していく方向と、精神魔法が発達していく方向があると学校で学んだことを思い出した。ヤンスのカプタイン星系は隣の精神魔法が発達した星系と戦争状態であった。
(まるでゲームみたいだ。しかし、まぁ、ゲームにしたらリアルすぎるな。あの髭男なんか風呂に入ってるんだろうか?ここまで臭うぞ。とにかく衣食住と安全を確保して次の一手を考えないといけないな。)
出撃する前、しばらく昼夜を忘れて熱中していたVR型のゲームを思い出してニヤっとした。そこで彼は生産型の学者であり、弓使いのエルフと、両手斧を武器とするドワーフと、回復役の人間と一緒に冒険をしていた。
「あいつ笑ってるぞ。気持ち悪い。」
ブラーブは、シルヴィアに小声で囁いた。
「微笑んでいるのかもしれません。私たちの言葉がわからないようですし、コミュニケーションをとろうとしているのかもしれません。」
「それにしても、不思議な人ですね。しかし、聞いたことのない国の出身だと言ってました。我々の言葉は大陸で一番利用者の多い言語ですし、空挺に乗るような階級の軍人なら話せてもよいはず。よほど中央から遠いのでしょうか。服の生地の材質も見たことがないです。」
「それはワシも思っていた。織り目がなくツルツルしている。それにあの腹から出てる光はなんだ?魔素を全く感じない。」
「とにかく、私たちはいったん立て直して、魔物を退けないといけません。ライトを幽閉していた魔導士が、この塔にこれまで誰も寄せ付けなかった何か大きな魔法を隠しているかもしれません。彼らに協力を仰ぎましょう。」
「まずは何か食わないと腹が減った。」
「どっちみち散り散りになった奴らも集めないといけないしな。この塔は良い目印になる。」
「おーい!ここだ。」
ライトが入口を見つけたようだ。手招きをした。




