焚火から移動
「オレは、、、先ほども言いましたが、あの塔から来ました。」
今度は、ライトが自分の話を始めた。
「やっぱ思った通りだ。あの塔には魔導士が住んでいるんだろ。誰も近寄らせないなんてよほど強力な魔道を使う奴に違いない。逃げてきたのか?」
「はい、そのアルファという塔の主が死んでしまって、、、」
ライトは、『アルファという人工知能がダウンして』と表現しようとしたが、このように自動翻訳され発話された。あながち間違いではないので、追加で説明することは止めた。
「命を与えた魔導士がいなくても、あなたは動けるのですね。そのような術は知りませんが…」
シルヴィアは驚いた。
「ほぉ~自由になれてラッキーなこったい。あんたはその魔導士に作られたんだな。」
「はい、長い間、外の世界に興味がありませんでした。塔の主が死んでしまって、塔の外に興味を持ち出てきました。塔の外のことは何も知りません。」
「ということは、やっぱりあんたは村を襲った魔物とは関係ないんだな。」
「あなたの仲間は、もう塔にいないんでしょうか?」
「塔の中を全て見たわけではないのですが、おそらくいないと思います。塔の主も死んだので、塔に近寄ることができます。」
「じゃぁ、近寄れるわけだ。わしらだけじゃなく魔物も。」
シルヴィアとブラーブは険しい顔になった。
「オレにも何を話してるか教えろよ。」
先ほどから、会話の輪に入れないヤンスがライトに尋ねた。ライトはヤンスに同じ話をした。ヤンスは、人工知能という言葉を理解した。
「バカにするなよ。うちのマザーシップにも高性能なAIが搭載されてた。学生の頃はこれでもAIの研究をしてたから少し詳しいつもりだ。」
「そんなことより、ここでずっとこのまま焚火の周りで話しているのか?安全な寝床がいる。腹も減った。タワーに食べ物の備蓄はないのか?」
「タワーの地下でオレは農作物を栽培してました。結構ありますよ。」
「うぉ!いいね。カプセル食が尽きたらどうしようかと考えていたんだ。そんじゃ、とりあえず、タワーに行って何か食おう。」
ライトは二人組にヤンスの提案を伝えた。
「私たちも当面の食べ物と隠れ場所を探す必要がありました。両方そろっているなら是非お世話になりたいと思います。」
「実は、村から逃げるとき、ほどんど食料を持ってきていなくて…」
ライトはヤンスを見た。
「彼らも行くと言ってます。」
「そんじゃ、行くか。みんな訳ありみたいだし、協力しようや。」
ヤンスは腰を上げ、砂を払った。大きなリュックを背負った。
シルヴィアが何か詠唱し周囲が仄かに明るく照らされた。
そして、彼ら4人は、焚火の痕跡を消し、聳え立つ塔の方に歩き始めた。




