ヤンスロット
連投です!
焚火で各人の顔が照らされた。パイロットスーツの男がサングラスを外し、切り株の上に座って話し出した。彼の年齢は、30後半から40前半の間かとライトは思った。
「オレの名前は、ヤンスロット。ヤンスと呼んでくれ。技師をやっている。カプタイン星出身だ。農園経営の民間企業でオペレータとして働いていたが、元々軍属だったんで、軍から召集されて宇宙母船に乗ってたんだ。」
「ちょうど隣の星系と戦争状態で、旗色が少し悪くて、人員が不足してて拒否できなかった。」
ライトは、中世風の二人組とパイロットスーツを見比べ、この内容を適切に翻訳できるか不安になった。ヤンスは続けた。
「敵の船団から攻撃を受けてる中、オレたちの工兵船隊は、小惑星に推進装置と爆弾を付けて、敵船団に突撃させようとしたんだ。まぁ、こんなん当たらないんだけど。」
「ん?オレの話って、こいつらに通じるのか?」
ヤンスも気づいたようだ。相手の姿見形は中世風、明らかには文明レベルが違うように見えた。
ライトが翻訳してシルヴィアとブラーブに伝えると、どうやらうまく伝わったようだ。空に浮かぶ船というモノは彼らの世界に存在しており、他の単語も近い単語に置換されているようだ。しかし、宇宙という言葉がうまく翻訳できないようだ。"空より上"という表現となった。
「あなた方の飛行船は、空より上を行けるのですか?高度を上げると、次第に息ができなくなりますが...」
シルヴィアは、空と船の話にとても興味が出たのか身を乗り出してきた。そして、フードを取った。金髪で堀の深い顔をしている。かなり美しい顔立ちをしている。ヤンスはぎょっとした。声からして若そうだと思ってたが、ここまで美人だとは思っていなかった。
「え?何を言ってるんだ?通じてるのか?」
「はい、理解してるみたいです。空で高度を上げると、息ができなくなると言ってます。」
「まぁ、それについては、息をする方法はあると答えておいてくれ。」
ヤンスは、話をさらに進めた。
「運悪く、敵さんに見つかって、攻撃を受けたんだ。すごい衝撃を受けて、もうだめだと思ったんだけど、気づいたら、母船とも連絡がつかなくなって、一人で未知の星系を漂ってたんだ。」
「1週間ほど救援信号出して宇宙空間を漂ってたんだけど、どこからも応答がなく観念してた。そんな時、この惑星からの信号をキャッチしたんだ。敵味方わからなかったが、漂ってても先がないんで、この惑星に降りて信号源に近づいたんだ。」
「すると、信号源にはタワーがあって、近づいたら攻撃を受け船が自動で反撃した。この攻撃でオレの船が致命傷を受けて、この惑星の重力から離脱できなくなり、10日ほど成層圏にいたんだ。住める環境だということはわかってたけど、結局、食料と燃料がなくなり、しかもオレの船、地上に着陸する機能を持ってなかった。船をタワーにぶつけてやって、パラシュートで緊急脱出したんだ。そして、他に目標物がないんで、とりあえずどこからでも目立っているタワーを目指して半日ほど歩いてたんだ。」
「タワーに住んでいたのなら申し訳ないことをした。」
「いえ、あなたのおかげでタワーから出て外の世界を知ることが出来ました。」
ライトは、要点をシルヴィアとブラーブに伝えた。彼らは、ヤンスを遠い異国から飛行船に乗ってきて、見知らずの場所に不時着してしまい困ってる、と理解した。




