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The Land of the Last Moon  一章  作者: しんまお
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一章 二十一話

 …痛い…痺れて感覚がなくなってきている…


 「ル…ド…すまん…」


 あれから2時間近くは耐えた。が、もう限界。

 ヒシリアが言うと、はっとしてルドが目を開いた。


 「?!」


 自分の寝ている状況に驚きルドはまず声が出ない。


 「わ…わりぃ、腕痺れていてぇんだ…ちょいどけて…」


 腕?


 自分がヒシリアの腕の上に寝ていたことを自覚して顔が赤くなる。と同時にがばっと起き上がる。


 「悪い…俺…」


 なぜヒシリアと添い寝なんかしてるんだ??理由も経過もわからない。


 「いや、すまんて。あ…俺がルドを横に寝かそうとして失敗しただけだ。わ…わりぃな」


 ヒシリアも照れながら痺れた腕をもう片方の手で揉みほぐしている。


 「…ヒシリア、目のほうはどうだ?痛みは?」


 意外に添い寝が気持ちよかったのと緊張とで忘れていた。右目は…


 「なんかピリピリしはじめてる」


 「あぁ、魔法きれかかったか。でも大分効力が持続するようになったな」


 まぁ何度も失敗することなくヒシリアにかけているわけだから、上達しているのは間違いない。

 ルドはヒシリアの右目に手をかざすと詠唱を始めた。


 「サンキュ…」

 

 目を合わせずにヒシリアが言う。


 「気にするな。お陰で上達してきた。」


 二人仲良くベッドの上に座っている様はできれば誰にも見られたくない…

 ベッドがすごく小さくみえる光景だった。


 「ルドはもう寝なくても大丈夫か?起こしてすまん…」


 暫くの沈黙の後に何か言わなきゃと思ったのかヒシリアが声をかける。


 「重症を負ってるお前に心配されるほどではない。大丈夫だ」


 ルドに…変に思われるかな。いや、思われたよな…腕枕なんてありえねぇよな…

 あ、俺いい加減自分のベッドに戻ったほうがいいか。いまさらだけど…


 そう考えてヒシリアが動こうと思ったとき


 コンコンコン


 扉がノックされた。


 ルドがすっと立ち上がり扉を開けるとミノアとメノアがそっと部屋の中を覗き込んできた。


 「あ!起きてる!ヒシリア大丈夫?」


 ミノアが真っ先にヒシリアのほうへ駆け寄る。


 「やっと起きたか。飯は食いにいけそうか?ビッグ・ママも心配してたぞ」


 メノアは扉のところで中に入らずに様子を見る。


 「ん…もう大分体力もどってるから大丈夫。心配かけてすまなかった…」


 「あ、すごぃ。もう傷すっかり乾いてるね。もう痛くない?左目ちゃんと見えてる?」


 ベッドから降りて立ち上がるヒシリアを覗き込むようにミノアが見つめる。


 「あぁ、ルドが魔法かけてくれてたお陰でもう痛みはない。心配するな…」


 ヒシリアがぽん、とミノアの頭に手を置く。


 ルド、メノア、ヒシリアと180近くの身長があるのに、ミノアだけはやっと160センチくらいあるだろうか、といった小ささ。思わず置いた手でわしゃわしゃと子犬をあやすように頭を撫でたくなるのだが、背が伸びなくなりそうだ、とミノアは最近それを嫌がる。


 じゃ、行くか。とヒシリアが部屋をでる。ルドは最後に部屋をでた。





 食堂に行くとめったに出て来ないビック・ママ本人が料理を運んできた。


 「いや、ほんと心配したわよ。朝の仕込みしようとしてたらすごい音が響いてくるし、メノアにきいたらヒシリアが歩けないほどの大怪我したっていうし。いやでもよかった、さすがあんた達ね。一日でなんとかなるもんなのね!」


 どん、と座ったヒシリアの背中を叩くビッグ・ママ。

 

 「今日はだから、元気出るように朝からだけどスタミナ系料理。あ、あとね。コダがさっき来て食事終わっても帰らないでここで待っててって。コダがあとで来るからって言ってたわ」


 ああ、コダ…に一瞬部屋で見えたコダのこと話したほうがいいだろうか?いやでも、ほんと一瞬だったし。痛みと何度もかけた魔法のせいで幻覚見たかな。ま、いっか。きっと色々あって疲れてたんだ、俺。

 ヒシリアはほんの少し考えるとあれはきっと何かの間違い、ということにして食事を食べ始めた。起きてすぐ一食分食べたのにまだ食べれる。ビッグ・ママが心配して作ってくれた料理だ。残すわけがない。うまい。



 何の会話をするでもなく食事を終え、食後の紅茶を飲んでいるときにコダはやってきた。

 「おはようございます。ヒシリアの具合はだいぶ良くなったようですね」

 と、にっこり。

 あれ?今のにっこり、俺じゃなくてルドのほう見てなかったか?とヒシリアは思ったがまぁ痛みがないのはルドのおかげだし。と気にしないことに。


 「では、紅茶飲み終わったらハデス様のところへ参りましょう」


 ぶっ、とヒシリアは思わず飲んでいた紅茶を噴出した。


 「きたねぇヒシリア!俺にかかった!」


 ミノアが騒ぐ。


 「ハデス様・・・のところ?」


 ルドが言う。4人がコダを見つめる。


 「はい。ハデス様がお呼びですから」


 もうかなり長いことここに住み込んでるが、その間ずっと名前は聞いてたにしろ会った事も見たこともないここの世界の長。最初は興味津々で会ってみたいのになぜ会いに行けないんだ?と思っていたが暫くそれがあたりまえのことだとおもっていて忘れていた。

 この城の主が呼んでいる。

 

 4人は紅茶を飲み干すと、緊張した足取りでコダの後をついて食堂を出た。

 


 


 


 


 





              


(ビッグ・ママ…朝からスタミナ料理はきっと私食べられない…という独り言。) 


 

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