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GAL  作者: zansirius
序章
9/53

Episode8 孤高の剣士

GALを示す赤い点がみるみるうちに増殖していく。

「ディック!早く皆を戦闘準備させるんだ!」

「・・・・・・。」

「どうしたディック!早くするんだ!」

「・・・その必要はない・・・。」

「どうしてだ?」


そのとき、数百もあった赤い点は、一瞬と言っても良いほどの時間で消え去った。

機械が壊れたわけではない。全て倒されたのだ。

「誰がこんな事を?」

プルルルル!

電話が急に鳴り始めた。ブレイクは受話器を取る。

『オィ、ブレイクっていうのはいるか?』

「それは俺だが?そして君は?」

『俺は・・・、名前言ってもわかんねぇか。そうだな、藍色って言えば分かるのか?』

「・・・そうか。カミキのオヤジはいるのか?」

『アァ、いるが?』

「・・・いや、なんでもない。今GALを倒したのはあんたか?」

『アァ、そうだ。』

「まあ、とりあえずオヤジと一緒にバルカンまで来いよ。」

『へいへい。』

ブツッ


電話は切れた。

「オヤジさんはソイツに会いに行ってたんだ、ブレイク。」

ディックは静かに言った。

ちょうどその頃、リリーが指令所に入ってきた。

「何かあったの?」

「リリー、準備しといてくれ。」

「? 何の?」

「新たな選ばれし者だよ。」



翌日・・・

バタバタバタ・・・

「何かあるのかなぁ?」

マルクたちと廊下ですれ違った事務員らしき人たちは、挨拶はするものの、小走りで移動している。

「だれか偉い人でも来るとか?」

「まさかね~。」


三人はいつものように、戦闘シュミレーションをやりに来ていた。

『じゃ、また後で~』

それぞれの部屋に分かれた後、マルクは思い出した。

確かイェーツがバルカンに来た時も、事務員達は忙しそうだった。

(そのイェーツは滅多にバルカンに戻らないが・・・)

だが、国の政治家が来た時はそうでもなかった。

「といことは、また新たな選ばれし者が来る?」


マルクはもらったばかりの端末でルークとアリサに連絡をした。

『どうしたの?』

「僕の考えが正しければ、新たな選ばれし者がもうすぐ来るかもしれないよ!」

『本当!?』

「とりあえず指令所に行ってみようよ。」

『そうね。』

三人は合流して、指令所に向かった。



三人が指令所に着いた時には、そこには情報部の人間しかいなかった。

「おっかしーな、いないのか。」

「ねえ、あれってブレイクさん達じゃない?」


アリサの指差す方には、巨大画面が何分割もされ、バルカン内の監視カメラの映像が映し出されている。

「その方向はエントランスの方だね・・・」

「行ってみようよ。」



移動する航空機の客席で、二刀流の剣士が寝息を立てている。

通路を挟んだ座席には、カミキが腰掛けている。

窓の下にはバルカンの建物が小さく見えていた。



ババババババ・・・

飛行機の音が近づいてくる。

「いよいよお出ましか~。」

ブレイクはつぶやく。

「案外早かったのね。」

「どうせかっ飛ばしてきたんだろ。オヤジのことだから。」


バルカンの近くにある滑走路に、飛行機は着陸した。

飛行機の中からは、まずカミキが出てきた。

「おや、三人とも来てたのか。」

「まあな。で、ソイツは?」

「そのうち出てくるさ。」

そう言い残してカミキはバルカンへの車に乗り、帰っていった。


「・・・なんでソイツは出てこないんだ?」

「見に行ってみるか。」

三人は飛行機に近づいていった。


中を覗くと一人の人影が見えた。

寝息を立てていたその男は、こちらの存在に気づいたらしく、目を覚ました。

「ん?もう着いたのか?」

その男は背伸びをする。そしてこちらに顔を向けてきた。

「おやおや、お出迎えか?」

「そういったところだな。」

「とりあえず早くバルカンまで行きましょ。」

「へ~いへい。」


そう言うとその男は横に置いてあった刀を手にし、飛行機から出てきた。

イライラ顔のパイロットを横目に、四人は歩き始めた。

「そういえば、アンタの名前、聞いてなかったな。俺はブレイクだ。」

「私はリリー。」

「そして俺がディックだ。」

それぞれ要石を見せながら自己紹介をした。

「俺の名はフォルテだ。」

そう言って刀にぶら下がっている藍色の要石を三人に見せる。

「そうか。フォルテ、これからよろしくな。」

「あァ。」



「あ!あれってカミキさんじゃない?」

エントランスに着いたマルクたちは、入口の前で車から降りるカミキを見つけた。

「聞いてみましょ!」


三人はカミキの下へと走り出す。

エントランスにはいつの間にか、かなりの職員達が待機している。

「カミキさ~ん!」

「おぉ、ルークたちか。どうした。」

「もしかして新たな選ばれし者が来たりします?」

マルクは恐る恐る尋ねる。

「おお、なんだ知ってたのか?」

「じゃあ、本当なんですね?」

「ああ、そうだ。そのうち来るだろう。」

そう言うとカミキは去っていった。

「マルクの考えは本当だったんだ!」

「待ってみましょ!」


しばらくエントランスにある談話スペースで暇を潰していると、何やら周りが騒がしくなってきた。

「来たのかなぁ?」

ルークが眠たそうな顔をしながらつぶやく。


すると自動ドアが開き、まずブレイクが入ってきた。

続いてリリーとディック、そして最後に黒い服の男が入ってきた。

「あの人かなぁ?」

「きっとそうじゃない?」


マルクたちに気づいたらしく、ブレイクたちが近づいてきた。

「おう、お前らここにいたのか。」

「カミキさんに聞いたら、新しく選ばれし者が来るって言ってたんで、待ってたんですよ。」

「そうか、ちょうどいい。じゃあ紹介しておくか。」


するとその黒い服の男がマルクたちの前にやってきた。

「俺ァフォルテだ。藍色の石を持ってる。お前らは?」

三人も自己紹介をする。

「ま、そういうことだから、これから一緒に戦うことになる。」

「俺は人と必要以上に馴れ合うのは嫌いだ。一人でやらせてもらう。」

(・・・こいつもイェーツ属性か・・・)

ブレイクたちは内心そう思う。



日も沈んだ頃、マルクたちはブレイクに呼び出され、指令所に集まっていた。

とは言っても、やはりイェーツの姿は見えない。


「みんな集まったようだから、始めるかな。」

ブレイクは前に立って話し始める。

「今日フォルテが来て、バルカン所属の選ばれし者は8人になった。そろそろマルクたちもだいぶ戦いには慣れただろう。そこで、今までと戦闘方式を変えようと思う。」

「戦闘方式?」

ルークは尋ねる。

「ああ、そうだ。今までは派遣部隊が誘導して集めた群れをみんなで狩っていたが、これからは、個別任務方式にする。」

「個別とは言っても、一人だけとは限らないけどね。」

リリーが補足する。

「個別でそれぞれで行動していたほうが、効率よくGALを狩れると思うんだ。こちらから攻めてもいけるしな。」


「じゃ、俺ァ一人でやらせてもらう。」

フォルテはそう言うと、指令所から去っていった。

「・・・やれやれ、まだ説明があるのにな・・・」

困ったような顔でブレイクは頭を掻く。


「ま、詳細はまた文章を送る事にする。今日はもう休んでいいぞ。」

「おやすみ~」

ブレイクとリリーは指令所の奥へ歩いていった。



その夜、それぞれの端末には、個別任務についての詳細文章が送られてきた。

「・・・経費は全てバルカンが負担。出現情報などもバルカンより随時送られる。付き添いとして、兵などを数人連れて行くことが出来る・・・」

自室のベッドの上で横になりながら、マルクは文章に目を通していた。

「・・・一人で行くなら、武器を強化してもらおうかな・・・」

そんなことを考えながら、マルクは眠りに落ちた。



翌日。

早朝に、フォルテは一人でバルカンを後にした。

「どこいくか~ァ。」

フォルテは技術部に用意させておいたバイクに跨ると、走り去った。



朝食を一人で済ませたマルクは、技術部のフロア、ファクトリーへと来ていた。

「では、急いで仕上げますね!」

要望を伝え、剣を預けたマルクは、ついでに戦闘服を作ってもらうことにした。

今までの服は、ブレイクたちと会った街で買ったものなので、かなりくたびれていた。

「素材は軽くて丈夫なものを使っているので、戦闘にはうってつけです。」

「じゃあ、こんな感じのを3着くらいお願いします。」

採寸を終えたマルクは、自室へと戻り、任務の準備を始めた。



指令所では、ブレイクが徹夜で忙しそうに作業をしている。

各自の端末にGALの出現状況を通知するプログラムを作っていた。

「・・・よし、出来た!」

いつの間にか窓からは朝陽が差し込んでくる。

早速、各自の端末にプログラムを送信する。

「あ~疲れた~。」

そう言って机に倒れこむと、ブレイクは眠りに落ちる。


ピピー!

GAL出現の警告音が鳴る。

瞬時に爆睡したブレイクはそのことに気づいていない。

画面上では、赤い点とイェーツを示す点が接近する。

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