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GAL  作者: zansirius
序章
8/53

Episode7 使徒

「ねえ、アリサ。マルク知らない?」

「いいえ、知らないわよ。」

「どこ行ったんだろう?」

シュミレーションを終えたルークとアリサは首をかしげる。

「とりあえず・・・お腹すいた・・・」

「食堂行こっか。」


二人がエレベータへ向かって歩き出した頃、カミキとジャックはバルカンの地下深くにいた。


「・・・実験開始!」

カミキがそう告げるとジャックは機械を操作し、ある物を起動させた。


ズウゥゥゥゥン!

突然、バルカン全体が大きく揺れた。

「何が起きた!?」

ブレイクが調査を始める。

「・・・これはただの地震ではなさそうだな・・・」

近くの地震計は反応していない。

「ということは・・・原因はバルカンの中?」

リリーは各階の責任者に連絡をする。

「・・・地下3階から地上5階、屋上含め異常なし・・・」

「という事は、まさか・・・カミキのオヤジ?」

ブレイクは電話をかける。

だがやはりつながらない・・・



『緊急警報、緊急警報・・・』

地下の研究施設では緊急事態となっていた。

「ジャック!回路切断!」

「はいっ!」


地下にはカミキとジャック以外誰もいない。

故、二人で事態を収束させなければならない

『ウォォォォォ!』

「所長!ダメです!活動停止しません!」

「・・・だめか・・・。」


二人が実験をしていたのは、人工知能を搭載した対GAL武器のニュータイプ。

武器というよりは生物に近い。

「仕方ない、試作3号は破棄する。」

「・・・わかりました・・・。」

ジャックは機械を操作し、それを活動停止させた。


マルクは見ていた。

さっきまで誰もいなかったカミキの部屋から、二人が深刻そうな顔をして出てくるのを。

二人はなにやら小さな声で話しながら歩いていく。

マルクは後を追うのを止めた。



その頃、イェーツは一人、とある山の頂上に来ていた。

周りには無数のGALがうなり声を上げている。

そしてイェーツの前には1つの石碑がある。

そう、ここはマルクが地図上に書いた円の1つの中心である。


「・・・・・・・・・」

イェーツは終始無言であった。

そして背負っている武器に手をかける。


・・・数十秒後・・・

そこのいるのはイェーツ一人。

そして石碑の反対側はGALの死骸の山となっている。

イェーツは武器を石碑の奥に向ける。

そこには通常のGALの数倍の体を持つ何かがいる。



ピピー!

小さく警報音がなる。

指令所で、転寝をしていたブレイクは目を覚ます。


モニターにはバルカンより南西に30キロ程の山で大きな赤い点が点滅している。


ブレイクは思い出す。

確かイェーツは昨日、その方角に行くと言っていた。


「・・・あいつさっさとおっぱじめたな・・・」

ブレイクは放送器具を操作して館内放送をする。

『あ~、選ばれし者全員、至急戦闘準備して屋上に来い!』


・・・数分後・・・

全員がブレイクの前にそろった。

「全員そろったな。」

「何かあったの?」

「理由はあとだ、とにかくヘリに乗れ!」

リリーとディックは感じた。

ブレイクは何故かあせっているようだ。



バルカンに連絡をしたのはイェーツではない。

その近くにある観測塔からの自動信号である。


イェーツは武器を構える。

奥から近づいてくる巨大な影。

鬱蒼と茂る森の中、二者は向かい合う。



通常よりも大きいヘリコプターに乗った6人は輪を描くように座っている。

「手短に説明するが、イェーツは今戦闘を行っている。その相手が『使徒』の可能性が高い。」

「場所は?」マルクは質問する。

「バルカンより南西に30キロ程の山の辺りのはずだ。」


マルクは出撃の際、そのまま持ってきた地図を広げる。

(南西・・・)

バルカンから、ほぼ南西の位置に赤い印が密集している。


「何を見てるの?」

皆マルクの地図を覗き込む。

「この印は?」

「・・・戦闘のあった場所・・・」

「なんかこう見ると固まっているなぁ。」ディックは言った。

「・・・僕の分析だと・・・書いてあるとおり、密集している所が12箇所ある。」

「まさかそれが使徒だというのか?」

「・・・断言できないけど・・・」

「じゃあ、今イェーツが戦っているのって・・・本当に使徒?」



両者の間は約20メートル。

ようやく敵の全貌が見えてくる。

イェーツは銃に弾を装填する。

敵が飛び出すと同時に、引き金を引く。



ヘリコプターの進行方向にある山の頂上に爆炎が広がる。

「戦闘が始まった!」

6人は山のふもとでヘリを降り、一斉に山を駆け上る。


なおも爆発音が続く。

幸いこの山はそれほど大きくなかったので、数分で登る事ができた。

息を切らせて辿り着いた山頂は変わり果てた姿だった。


周囲の木々は薙倒され、一部はまだ燃え続けている。

さらに無数のGALの死骸。

中央に目を向けると、そこに一人の男が立っていた。

そう、その男はイェーツ。

その姿は、返り血を浴びた紅の戦士であった。


彼の視線の先には、大型のGALのような生物が倒れている。

「イェーツ、倒したのか?」

ディックが問いかける。

イェーツは静かに言った。


「倒しはした・・・、・・・使徒では無いがな・・・」


全員に衝撃が走る。

「使徒じゃない?」

ブレイクは叫ぶ。

「ああ、アンタが最近報告した石板には『1つの神、12の使徒。共に眠り、共に起きる。』って書かれてたんだろう?その文通りになるなら、もう既に残りの使徒と暗黒神が復活している事になる。」


「じゃあ、この地図は間違っているの?」

マルクはイェーツに見せる。

「・・・この点はGALとの交戦位置でいいんだな?」

「ああ。」ブレイクが答える。

「・・・俺の予測だと、使徒の勢力範囲はこんなものではないと思う。この地図に書かれた円はまだずっと弱いやつの勢力範囲だ。」

「それが今倒した奴ってことね。」

『・・・・・・・・・。』

全員が無言となる。


「とりあえず、帰るぞ。」

7人はヘリに乗って、バルカンへ戻った。



帰りのヘリは皆無言であった。

機内はプロペラの爆音と、パイロットの通信のみが響いていた。


「とりあえず、今日のところは各自でゆっくりしていてくれ。」

バルカンに戻ってきた後、ブレイクはそう言い残して、去っていった。


その後マルクはルーク、アリサと共に食堂に来ていた。

三人は会話もせずに無言で食べていた。


「あっ!いたいた~!」

突然、研究員らしき人が、マルクたちの所に走ってきた。

「マルクさん、ルークさん、アリサさんですね?主任から物を預かってきました~」

「主任?物?」

ルークは首をかしげる。

「主任って言うのは僕ら研究員のボスみたいな人。で、その物って言うのはこれっ!」

持っていた紙袋から同じものが三つ出てきた。

「これって?」

「これは高性能情報端末だよっ!選ばれし者みんなに配備される事になったんだ!」

「おお~、すご~い!」

早速ルークは端末の電源を入れている。

マルクとアリサも手に取った。

「これは、電話やメール機能、他にもいろんな機能があるんだよ~」

端末は縦15cm横10cm程だが色々とオプションも付けられるらしい。

研究員が去っていき、端末を眺めながら、三人は食事を終えた。



「それでブレイク、何か解った?」

指令所でブレイクは使徒に関しての調査を行っていた。

「そうだな・・・、まだ何も・・・。」

「そう・・・。」

「ただ、オヤジが何か知っているのは確実だな。」

「オヤジさんが?」

「ま、そのオヤジの姿ががここんとこ全く見えないんだよな。」

「外に出ているの?」

「それさえも分からないんだよ。電話も繋がらないし・・・。」



そのころ、カミキはある地に来ていた。


月明かりだけが照らす大森林の奥、そこだけ異様に木が一本も生えていない。

そして、そこにはその場所に不釣合いなほど巨大な石碑がある。


カミキの後ろには一人の男がいた。

胸元に光るのは藍色に透き通る宝石、いや、要石だ。


辺りを見渡すと、木々の陰に赤く光る眼が無数に彼らを見ている。

「おい、どうするんだこれ。」

「さっさと雑魚どもを片付ければいいさ。」

「片付ける、ねぇ・・・」

男は腰に下げている二本の剣を掴む。

「こういうことか?」

二本の剣が青白く光る。

そして・・・


辺りに血生臭い匂いが漂う。

「・・・派手にやりすぎたか?」

「まあいいさ。処理はこちらに任せておけ。」

カミキはバルカンには連絡をせず、自らの手で処理をした。


「・・・で、俺を呼び出したのは何故だ?」

「それはだな・・・」

・・・・・・

「・・・、そうか、そりゃ楽しみだ。」





「おーい、起きろー。」

ディックの声で目を覚ますブレイク。

既に陽は昇っているようだ。

「おまえ徹夜で調べてたのか?」

「ああ、まあな。」

「それで、徹夜の甲斐はあったのか?」

「・・・それを言われると何も言い返せないな・・・。」

「・・・だろうと思った・・・。」


ピピー!

警報音が鳴る。

「何だ?」

場所は、遥か北の大森林地帯だ。

「・・・これはなんかヤバイ気がするぞ!」

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