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GAL  作者: zansirius
序章
7/53

Episode6 オレンジの要石

数十分後、ヘリはコーム村上空へ差し掛かった。

「あのときは夜だったからよく判んなかったが、こう見ると広いな~。」

コーム村周辺は、東西に広大な草原が広がっている。


そしてヘリはコーム村の側に着陸した。

村では復興のため、人が慌ただしく働いている。


「おやおや、バルカンの皆様ではないですか!」

奥のほうから村長が走ってきた。

「先日はありがとうございました。それで、今日は?」

「ああ、ちょっと聞きたいことがあってな・・・」

「村長さん、この色違いの石を持った人、知らない?」

リリーは自分の要石を見せながら尋ねた。

「それ、見たことがあるぞ!確か・・・」

村長は思い出すように言い始めた。

「一週間くらい前だったかな・・・、見知らぬ旅人がこの村に来たんだよ。一晩泊めてほしいといったから、宿を用意してやったんだ。その人はオレンジのそのような石を首に下げておったなぁ。」

ブレイクたちは顔を見せ合った。

「で、その人どこかに行くとか言ってなかったか?」

「さぁ、どうだったかな・・・」


「それだったら俺が知ってるぜ!」

後ろから作業着姿の男がやって来た。

「西のほうに行くからって、食料を買っていったぜ。」

「西って言ったら・・・」


プルルルル!

「おわっ!」

ブレイクの携帯が鳴った。

「指令所からだ・・・まさか!」


急いで電話に出るブレイク。

『ブレイクさんですね?指令所です。今緊急通報が入りまして、ガーミル地方でGALが大量発生したとのことです。』

「わかった、すぐに行く!」

予感は当たった。ガーミル地方はここから見て西だ。

「みんな、すぐにいくぞ!」

コーム村の人々に見送られながら、一行は西へと急いだ。


しばらく西へ向かうと広大な森林に差し掛かった。

「この辺からガーミル地方だ。見えたら言ってくれ。」

「あ!あれじゃない?」

進行方向のほうに黒い大群が見える。その先には街が見える。


「あそこにいるかもしれないな。」

GALの大群の上を通過し、6人は街へと降り立った。

「リリーとアリサで街の人たちを避難させろ!俺達で食い止める!」

「わかった!」


4人はやってくるGALの群れに向かって走っていった。

だが突然、群れの中で爆発が起こった。

何匹かのGALが宙を舞う。

すると、ブレイクたちの前に一人の旅人らしき人が出てきた。

「おい、誰だか知らんが危ないぞ!」

ブレイクが呼びかけるが、その人物は逃げる事はせず、むしろGALに向かっていった。

その人物が羽織っていたマントを脱ぎ捨てた時、4人は驚いた。

その男の首にはオレンジの要石が下がっている。


男は背負っていた重火器を構えると、引き金を引いた。

銃口からは、何かが発射された。

それはGALの集団へ、分裂しながら向かっていった。

GALは驚き、逃げようとしていたが、時すでに遅く被弾して倒れていった。

その一発のみで、群れのほとんどを殲滅した。


残っていたGALはブレイクたちが難なく倒していった。

リリーとアリサがもどって来ると、そのオレンジの要石の男も近づいてきた。


「ようやく会えたか・・・イェーツ。」ディックは言う。

「ああ、ディック。久しぶりだな・・・」


何も判らない5人は2人を呆然と見ていた。

「紹介する。イェーツだ。俺とは孤児院で一緒だった。」

「・・・俺は、ディックがカミキってヤツに連れてかれてから、旅に出た。ディックを探しに、何より自分の使命を確かめに。」

「それでイェーツ、俺達と戦おう。一緒に来てくれるか?」

「・・・勿論だ。」

「これからよろしくな。」


「さて、カミキのオヤジに連絡しとくか・・・」

ブレイクは携帯を取り出して電話を始めた。

「・・・・・・・・・」

カミキは電話に出ない。

「おっかしいなぁ~。まあいっか。かえろうぜ!」

「そうだな・・・」


ヘリに乗って帰る途中。

「イェーツ、お前はどのくらいGALを狩ったんだ?」

「・・・そうだな・・・もう覚えられないほど狩ってきてるな・・・」

「それで、なんか変な大量発生とか無かったか?」

「・・・2、3度見ている。ほとんどが今年に入ってからだ。」

「やはり、その『時』が近づいてきてるからなのかしら?」

「で、おまえは何故あの街に?」

「・・・特に理由はない。」

「・・・そうか・・・」


(こいつって、かなりクールだな・・・)

ブレイクは内心思った。



プルルルルル!

ブレイクからの着信にカミキは出ない。いや、出れなかった。

2人は研究所にいた。ある実験を見るために・・・



プルルルル!

「はいっ!」

翌日、マルクは電話の音で起こされた。


部屋の時計を見るとまだ5時だ。

『よう、俺だ。早くに起こしてすまないな。』

電話はブレイクからだった。

「どうかしたんですか?」

『いや、出撃とかではないんだが、GALのことでわかったことがあるから、早く教えようと思ってな。他のやつらも起こしてある。今すぐ指令所まで来てくれ。』

ブレイクに呼ばれ、マルクは指令所に向かった。

窓の外は生憎の雨模様のようだ。


「おっ、来たな。じゃあ、さっそくだが話すぞ。」

ブレイクはモニターを使いながら話し始めた。


マルクが周りを見ると、全員ベンチに座っている。

一人イェーツは離れたところに座っている。

マルクは視線をモニターに移す。


「まず、GALの成り立ちからだ。皆も戦っていて判るだろうが、ほとんどが動物の姿に似ている。研究した結果、なんらかの理由により、動物の死体がGALへとなっているようだ。」

「その何らかの理由はわからないの?」

リリーは質問する。

「今のところは。」


ブレイクはモニターの表示を切り替える。

「次にこれだ。」

モニターには古びた石版らしきものが映し出された。

「これは南部地方に派遣されている調査隊が、とある遺跡で発見したものだ。」

石版には古代文字のようなものが彫られている。

「研究チームが一部解読したところ、驚くべきことが書かれていた・・・」

モニターに解読文が映し出される。

「『1つの神、12の使徒。共に眠り、共に起きる。』だいたいこんな感じだな。」

「『1つの神』は暗黒神で間違いないだろうけど、『12の使徒』とは何なんだ?」

ディックは考える。

「12体の何かがいるということは間違いなさそうね。」

「そうだな。そして最後にコレだ。」

ブレイクはまた表示を変える。

「これは俺達を含め、バルカン全体での戦闘記録だ。これに俺達の最近の行動ルートを照らし合わせる。すると、俺達が行動していない範囲にも戦闘記録が多いところがある。」

「つまり、そこにGALが多い。そして、選ばれし者がいるというわけか。」

「だから、現在この地方に調査隊を増員して向かわせている。」

「で、いざとなったら私達がいくのね。」

「ま、そんなとこだ。一応これで伝えることは以上だ。質問がなければ今日は解散!」


「マルク!朝飯食べに行こ!」

ルークに誘われて、アリサと共に食堂へ向かった。

「なあ、マルク?」

食後、食堂で休憩していているとき、ルークが話しかけてきた。

「なに?」

「訓練所行こうよ。アップデート終わったって言ってたよ!」

「う、うん。」

三人は訓練所へ向かった。

「?マルク?どうかした?」

「ううん、なんでもない・・・」

「?」


マルクはさっきからずっと考え事をしていた。

『1つの神、12の使徒。共に眠り、共に起きる。』

この『共に眠り、共に起きる。』という文章。

そして『12の使徒』。

どこかで聞き覚えのある言葉だった。


しばらくして、訓練所へと到着した。

中に入ると、係員らしき人がパソコンをいじっている。

「おや、訓練しに来たのかい?」

係員はこちらに気付いたらしく近づいてくる。

「はいっ、シュミレーションやりたいです!」

ルークははしゃいでいるようだ。

「ではこちらへどうぞ。」


通路の脇には大きめの部屋がいくつも続いている。

「ここでは、一人づつ個室でのシュミレーションを行います。また、団体戦は別の部屋で行います。詳しい使用方法は部屋に用意してあるので、お好きなだけ戦いましょう。」

そう言い残して係員は去っていった。


「よっしゃぁ、ヤルゾー!」

ルークは気合満々で部屋に入っていく。

「もう、ルークったら落ち着きがないんだから・・・」

アリサも部屋に入っていく。

マルクも部屋に入った。


部屋はだいたい学校の教室の倍くらいの大きさだ。

入口のすぐそばにはモニターが設置されている。

モニターでは、戦闘の条件などが選択できるようになっている。

マルクは手始めに簡単そうなモードを選択した。

『それでは、戦闘を開始します』

アナウンスの直後、部屋の中央にGALのような生物が出現した。

本物と似たつくりの外見で、戦闘力はほぼ同じ、と説明書きがある。


マルクは剣を構え、GALに切りかかった。

本物と同じように倒れていく。

マルクはよくできたものだと思う。

もう一度やろうとして、モニターの方へ歩いていったとき、ふと1つの考えが浮かんだ。



30秒後、マルクは廊下を走っていた。


自分の部屋へ駆け込み、部屋に最初からあった近辺の地図を広げる。

始めから不思議に思っていた。

何故ここにはGALが攻めてこないのか。


(あった・・・)

バルカンの位置にペンで印を付ける。

続いて、次々と印を付けていく。


(やっぱり・・・)

地図上につけた戦闘の場所。

それぞれがある一点を中心とした円の中に納まっている。


その数は・・・12.


そして全てがバルカンを避けるように配置している。


12=『12の使徒』


つながった。


あとは何故ここを避けているようになっているのか。


そのためには・・・カミキに聞くしかない・・・


マルクは地図を握り締め部屋を飛び出した。


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