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GAL  作者: zansirius
序章
5/53

Episode4 草原の剛火

しばらくして、ルークとアリサがマルクの部屋にやってきて、食事に行くことになった。


「そういえば、食堂ってどんな感じなんだろう」

エレベーターを待ちながらルークは言う。

「たぶん、この広さだから相当大きいと思うよ。」

到着したエレベーターに乗り込みながら、マルクは答える。


エレベーターが地下1階に到着した。

ドアが開くとそこには、町のレストランとは比べ物にならないほどの大きさの食堂が広がっている。


十人ほどが座れるテーブルが、ベンチと共に数十も規則的に並んでいる。

そこではさまざまな服装の人々が、食事をしている。

楽しそうに仲間と話している者もいれば、一人でパソコンとにらめっこしている者もいる。


「・・・すげ~・・・」

ルークは声を漏らす。


「おっ、やっと来た!」

向こうから、ブレイク、リリー、ディックがやって来た。

「まあ、見ての通り、ここが食堂だ。」

ディックはさっきのように説明を始めた。

「あっこの受付で、食べたいものをオーダーするんだ。しばらくすれば、向こうの受け取り口から出てくる。とりあえず、頼んでみるといいよ。」

「・・・まさかとは思いますが、お金は掛かりませんよね・・・?」

「勿論、掛からないよ~」

『よかった~』


三人は受付に向かった。

「あら、新入りさんかしら?」

受付に座っている女性が話しかけてきた。

「私はサクラ。見ての通り食堂の受付をやってるわ。」

三人も簡単に自己紹介をする。

「そう、選ばれし者だったのね、アナタたちは。・・・あら、行列が長くなってきたわね。アナタたち何食べる?」

そう言ってサクラはメニュー表を差し出してきた。

「え~と、じゃあ、これにしよっと。」

ルークは一番オススメらしい、定食セットを頼んだ。

二人も同じものを頼んだ。

「OK~。じゃ、あっちの受け取り口で待っててね~」


受け取り口でしばらく待っていると、定食セットが3つ出てきた。

三人はそれを受け取り、席を探し始めた。

すると、リリーがこちらに手を振っているのが見えた。

「あんたたち~、こっちこっち~。」

リリーの呼ぶ方に行くと、普通の席とは違った空間があった。

「ここは私たち専用の場所なの。・・・・・・」

リリーが簡単な説明をした。

「食事以外でもここは使えるから、自由に使うといいわ。」


中に入るとブレイクとディックが既に食事を始めていた。

「おーう、来たか。」

「ていうかお前ら、もっといいもん食えよ~」

「いいじゃないですか~、オススメだったんですから~」

ルークは反論する。

「ほらっ、あんたたち食事中は静かに!」

『・・・は~い・・・』

リリーの声で静かになる男子たち。


「・・・いつもこうなのよね~」

「でも元気でいいじゃないですか。」

リリーとアリサは微笑む。


「ふ~。美味しかった~。」

満足そうに言うルーク。

「じゃ、俺らはこれ位で行くが、このあと三階にある指令所に来てくれ。」

ブレイクたちはそう言い残して、食堂を去っていった。

「これだけ飲んだら行こっか。」

「そうね。」


三人は飲み物を飲むと、食堂を後にし、エレベーターで三階まで行った。

三階は、ほかの階と比べて落ち着いた雰囲気だった。

「指令所って、どっちだろう?」

左右にのびる廊下を眺めながら、ルークは言った。


「おーい、こっちこっち!」

「あ、ディックさんたちだ!」

三人は、ディックが手を振る方に行った。

指令所と書かれた札のかかる入口を入ると、そこは広い空間が広がっていた。


「じゃあ、ここに座ってくれ」

巨大な画面が中央にある。そこには近辺の地図が表示されている。

その脇にある簡易スペースに6人は座った。


「それじゃ、これから君たちのここでの任務のことについて話す。」

ディックは話し始める。


「ここでは、世界各地に出現しているGALを殲滅すべく、指示を出している。現地に出向くのは、ほとんどの場合でここに所属している兵だ。兵は討伐は出来ないが、誘導する事によって一箇所にあつめる。そしてそこに俺たちが出動して、一網打尽にするわけだ。」

「ま、そうじゃなくても好きな時に狩りに行ってるけどね」

リリーは楽しそうに言う。

「そうしながら、選ばれし者たちを集め、例の日に備えるんだ。」


するといきなり、警報音が鳴り響いた。

『現地より入電。隊が壊滅するほどのGALが大量出現。至急、援護要請!』

「しかたねぇ、行くか。」

「そうね。・・・この子達はどうする?」

「そうだな。せっかくだし連れてくか。」

「おまえたち、すぐ準備して来るんだ!」

『はいっ!』


三人は部屋に急いで戻り、準備し、再び指令所に戻った。

「よし!出発しよう!」

屋上には移動用のヘリコプターが準備されていた。

「いそぐぞ!」

全員乗り終わったところで、ヘリコプターは飛び立った。



「それでは、今回のミッションについて説明します。私は情報部主任のジャックです。」

前の席に座っていたスーツ姿の男が話し始めた。

「場所はカルマキ地方、コーム村の付近です。大きな草原地帯の中央にあります。ここからおよそ80キロのところです。皆さんもご存知の通り、現地の派遣隊からの通報です。」

「ヤツはどのくらいいるんだ?」ブレイクは質問する。

「はい、当初、派遣隊が到着した頃はそう多くなかったそうですが、次第に勢力を拡大し、今では200体ほどだそうです。」

「そこに、ボスが現れたということだな。」

「ええ、そのボスは普通の個体の数倍の戦闘力を有しているそうです」

「厄介だな。」ディックは言った。

「皆さん六人での戦闘ですので、作戦として勢力を分散させるといいと思います」

「そうだな・・・、三つに分ければうまくいくと思うぜ。」

「じゃあ、あの子達と私たち、2人ずつのチームね。」

「攻撃方法を考えると、ディックはアリサ、リリーはマルク、俺はルーク、ってとこだな」

「そうね、そうしましょう。」

「わかった、では、細かい作戦等は各チームで考えてくれ。」


数十分後、ヘリは現場へと到着した。

ヘリのライトに照らされた草原には、上空からでもGALの姿が無数に見て取れた。

「それでは、頑張ってください」

ジャックが見送る中、六人は降り立った。


「お待ちしてました!」

傷だらけの隊長らしき人物が走ってくる。

「状況は?」

「現存の兵力で、村の奥のほうに追い詰めておりますが、いつその壁が崩れるか・・・」

「わかった。今から隊を引き上げさせろ。俺たちがいく。」

「わかりました。」

隊長が無線機に叫びかけるのを横目に、六人はGALの群れを囲むようにして3チームに分かれた。


「じゃ、始めるぞ!」

ヘリが上空から照らす先にはおびただしい数のGALがひしめいていている。

隊が引き上げたところで、作戦を開始した。


『・・・聞こえるか・・・、今から俺とルークで敵の注意を引く。そのうちにリリー、あの術を使うんだ!』

無線でブレイクは言った。

『分かったわ、それで分散したところを叩けばいいのね。』

『うん、そうしてくれ。』


ルークは上空に火炎弾を撃ち、ブレイクは照明弾を打ち上げた。

それと同時にリリーは術を唱える。

「霊術“大地鳴動”!」

術を唱えると、大地は引き裂かれるように中心から盛り上がりGALの群れを襲った。

『今だ!』

ブレイクの叫びと共に六人は逃げ惑うGALの群れに向かって走っていった。

「霊術“硬化ノ地”!」

GALの群れを分散させた大地はリリーの新たな術で岩石のように固まった。

「うおおおおおお!」

混乱しているGALは何もできないまま、なぎ倒されていった。

『ディック!リリー!いい機会だ、あれを試そう!』

『分かった、ではリリー、術を解いて一箇所に集めてくれ。』

『うん。霊術“沈静”!』

リリーが唱えると、盛り上がっていた大地は何も無かったように元に戻った。


GALはマルク、ルーク、アリサが中心にひきつけた。

「三人は離れていろ!」

三人がはけるとブレイクたちは集まった。

「いつでもいいぞリリー」

「じゃあ、いくわよ。」

ブレイクは刀を取り出し、上に向けた。

『霊体心術“三位一体の煌き”!』

上に向いていた刀は炎に包まれディックの拳は雷を纏い、リリーは水流を呼び寄せる。

水流はGALの群れを襲い、ディックの雷で動きを封じた。

「今だブレイク!」

ブレイクが高く飛び、群れを纏めて斬った。



ブレイクは静かに地面に降り立った。

一面にGALの死骸が転がっている。


「・・・す、すごい・・・」

その光景を見ていたマルクたちは目を丸くしていた。

GALは一体残らず倒れている。


「な~、この技ブレイクが良いとこ持って行きすぎじゃね?俺にもちょっとはやらせろよ~」

合流したディックは言った。

「いやいや、この技は広範囲用なんだから俺が適任なんだよ。お前の拳じゃ無理だろ?」

ブレイクはそれに対抗する。

「まあまあ、今度ディック主体の技も考えるからいいでしょ?」

リリーはそれを仲裁する。

「まあそうだな。さて、これで雑魚どもは片付けたか・・・」

「ボスはどこにいるのかしら」

「そう遠くないはずだ、いくぞみんな!」


村の裏側には壮大な森があった。

「ここにいるんじゃない?」

「それじゃあ、三人、やってみるんだな。」

「え?何をですか?」

「三人でボスを倒すのよ。」

「えっ!でも、そんなこと無理ですよ!」

「しっ!・・・ヤツがいたぞ・・・」


暗闇の中でわずかに黒い影が動くのが見える。

「・・・かなりデカイぞ・・・」

「どうする?この子達に任せてみる?」

「・・・よし、やらせてみよう。俺達は補助に回る!」

「三人とも、ちょっと集まって」

リリーに呼ばれ、三人は集まった。

「いまから私達がヤツの気をひくわ。ぶっつけだけど、やってみなさい。」

「どういうふうにやればいいですか?」

「そうね・・・、マルク、あなたはどんな技が使えるの?」

「えっ・・・、僕は・・・」


そう言いかけたとき、GALのボスは動き始めた。

“ウォォォォォォ!”

「チッ・・・グズグズするな!いくぞ!」

ブレイク、ディック、リリーは草むらから飛び出した。

「三人とも!早く!」

マルク、ルーク、アリサも草むらから抜け出し、GALの後ろに回った。


「マルクとアリサ、ちょっと耳貸して」

「え?ルーク、なにするの?」

「アリサ、ヤツの周りに氷の呪文を当てられるか?」

「それはできるけど・・・」

ルークは、銃口をGALに向ける。


ブレイクたちはGALの動きを止めるように四方八方から攻撃している。

「いまだアリサ!」

「うん!“氷結術”!」

GALの周りに氷柱が無数に出現する。

「よしっ!マルク突っ込め!」

ルークの声で走り出したマルクはGAL目がけて剣をふるった

ズシャァァァ

剣はGALの顔面を直撃すると同時に、ルークの銃は火を吹く。

「ウォォォォ」

GALはもがくように倒れる

「今だ!たたみかけるぞ!」

ブレイクの声で六人はGAL目がけて攻撃する


「・・・ふぅ。やったな。」

巨大なGALは遂にその動きを止めた。


その後、派遣隊の手を借り、おびただしい数の死骸を草原に集めた。

「さて・・・、これをどうするか・・・」

東の空は赤くなりつつある。


『それなら私にお任せください』


ヘリが近づいてきた

「その声は・・・ジャックか?」

拡声器からジャックの声が響いてくる。

『はい、今からこの死骸をある場所に転送します。手伝っていただけますか?』

「それは構わないが、ある場所とは?」

『後ほど説明いたします。』


ジャックはヘリから降りてくる。

「では、始めましょう」

ジャックはトランクケースからいくつか小さい装置を取り出した。

「これを手分けして、死骸の周りに設置してください」

ブレイクたちは装置を受け取り、言われた通りに設置した。

「それではいきます。」


ジャックはリモコンのボタンを押した。

すると装置が光を発し、死骸の山を包み込んだ。

光が消えるとそこには装置のみが残っていた。

「転送終了です。みなさん、帰りましょうか。」

「そうだな・・・」


日の出を見ながらヘリはバルカンへと向かった。

「それでジャック、さっき言っていたある場所を説明してくれ。」

「はい。ある場所とは、バルカンの地下深くのことです。」

「バルカンの?そんなものは聞いたことがないが・・・」

「このことはカミキさん及び、技術部、情報部の極一部の人間しか知りません。」

「で、そこはどんな場所なんだ?」

「はい、そこでは世界中で殲滅されたGALが集められ、研究されています。その研究データから、対GAL武器の開発を目指しています。」

「では、何故このことを公表しない?」

「実は、その対GAL武器は、非常に危険を伴うものでして、安全が保障されないと・・・」

「そうか・・・、ありがとう。」


「対GAL武器ね・・・。どういう物かしら。」

「さあな。」

「だが、開発に成功すれば、かなり楽になるんじゃないか?」

「そうかもね・・・。」


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