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GAL  作者: zansirius
序章
2/53

Episode1 旅立ち

マルクが目を覚ますとそこは病院の病室だった。

どうやらあの後、隣の街、カクス市の病院に誰かが運んできてくれたらしい。

そばには、見知らぬ少年が居眠りをしていた。

カレンダーを見て、あの時から三日も経っていることに気づいた。


マルクが起きたのに気付いたらしく少年が目を覚ました。

「あぁ、気付いたんだね。」

「君は・・・」

「あぁ、僕?僕はルーク。君と同じ選ばれし者さ。」

「選ばれし者?」

「あれ?君、知らないのかい?この世に十三人いるとされていて、みんなこのようなペンダントを持っているはずさ。」

「もしかして、このこと・・・?」

マルクは胸にしまっておいたペンダントを取り出した。


マルクのものは白く、ルークのものは赤かった。

「そう。このペンダントと心を通わせると覚醒して、別の姿に変わるのさ。

そして、君がやったように怪物を倒すんだ。」

「そうか、やっぱりこのペンダントのおかげなのか・・・」

「なぁ、君はなんて名前だい?」

「あぁ、僕はマルク。」

「ふーん。ねえマルク、僕と一緒に旅に出ないか?世界中にはこのあいだみたいな怪物がわんさかいるらしいんだ。二人で倒していこうよ!」

マルクは少し考えた後、言った。

「今はやることがないし、いいよ。」

「本当?ありがとう!!」

ルークは嬉しそうだ。


その後、マルクのいる病室に医師と看護師がやってきた。

「どこか痛いところはあるかね?」

医師はマルクに尋ねる。

「いえ、大丈夫です。」

マルクは答える。

「外傷は特に無し、記憶等も問題ない。これなら大丈夫だろう。また何かあったらすぐに来なさい。」

医師はあっさりとマルクの退院を許可した。

「じゃ、行こっか。」

ルークの声に頷くと、マルクは身支度を整えて病院を後にした。



「旅では、世界中にいる怪物を武器を使って倒していくんだ。強い時は覚醒もしたりしてね。そして街に出されている討伐依頼などをこなしていくんだ。」

「ふーん。なんだか大変そう・・・。」

「でもそれが、世界を救うことにつながるんだ。」

「そうだね。」

「じゃあ、まずは武器を買いに行かなくちゃね。」

「まって。」

ルークが走り出そうとしているのを、マルクは止めた。

「どうしたの?」

「一度、村に戻りたいんだ・・・。」

「・・・そうだね。僕も一緒に行って良いかい?」

「うん、いいよ。」


「ねえ、ルーク。」

マルクは、歩きながら話しかけた。

「なぁに?」

二人は立ち止まる。

「僕の村って、どの道を行けばいいのかな?」

「・・・、そうか、マルクはこの街初めてだもんね・・・。えっと・・・、こっちかな?」

「そっち、海が見えるよ・・・。僕の村は山だよ?」

「あれ?おっかしいなぁ~」


二人は案内板のところへ行った。

「えっと・・・マビリ村はだいたいこの辺だから・・・こっちに行けばいいのかな?」

「だったらこの通りを向こうに行けばいいね。でもこれを見る限り、かなり距離があるよ。」

「なんか乗り物があればいいけど・・・。」

「じゃあ、バスに乗ろう!確か近くの峠までのバスがあるよ。」

二人はバス停に行き、バスを探す。

「えっと・・・。あ!あれだ!」

向こうから一台のバスがやってくる。


二人はバスに乗り込み、席に座った。

「そういえば、どうやって僕はこの街に運ばれてきたの?」

ルークは思い出すように言った。

「あの日、デカイ火柱はこの街からも見えたんだ。何事かと消防が見に行って、帰ってくるときにマルクを運んできたんだ。僕はそのペンダントを見て、気付いたんだ。選ばれし者だってことに。それで病室にいたんだけど・・・寝てたみたいだね・・・」

「そうだったんだ・・・」


バスは坂道を登り始めた。

数十分後、村の近くのバス停で二人は降りた。

「ここからはどういくの?」

ルークは尋ねる。

「確か抜け道があるから、そこを通っていこう。」


道の脇から続いている広大な森林の中に、人一人通れるくらいの道がある。

しばらく歩くと森が開けて建物が見えてきた。

「あれだよ。僕の村は。」


しかしよく見ると、建物だと思ったものは、実はあの事件で灰と化した木々の山だった。

「そんな・・・。」

マルクは唖然とする。

「他の村の人たちは?」

ルークはマルクに尋ねる。村の中はひと気が無い。

「わからない・・・。」

「・・・そう・・・。」


しばらく二人は、無言で瓦礫の山を見つめていた。

「ルーク、行こう。化け物を倒すために。村の人のために、世界の人のために!」

「そうだね!」

村を後にし、二人は街に戻った。



「じゃあ、武器を買いに行こうか。」

「そうだね。」

カクス市へ戻ってきた二人は、街の中に在る古ぼけた店に入った。

「・・・おや。いらっしゃい。」

だいぶ歳をとった店主が二人を迎えた。

「おじさん、武器を見せてくれよ。」

「はいはい。・・・じゃあ、こちらに来なさい。」

手招きする店主に連れられ、店の奥へ入った。


奥の部屋には様々な武器が並んでいた。

「すっげー!」

ルークは興奮しながら武器を眺めていた。

「ねえ、マルク、僕たちどの武器にする?」

「うーん。僕は戦いは慣れてないからな・・・。扱いやすいのがいいな。」

「じゃあ、この剣はどうだい?」

店主は壁に掛けてあった長剣を持ってマルクに見せた。

「うん、いいかも。ルークはどうするの?」

「僕はこの銃にするよ。弾もたくさん買ってね。」

「でもお金は大丈夫?僕あんまり持ってないよ。」

「気にするでない。見たところ君たちは初めて武器を買うのだろう?だったら構わず持って行ってくれ。私からの餞別だ。」

「おじさん本当!?ありがとう!」

「ほっほっほ、頑張るんだぞ。」

二人は店主からそれぞれ剣と銃をもらった。


「他に必要なものってなにかなぁ?」

「まず、食料はいくらかあったほうがいいし、あと、怪我したときのために、手当できるものも必要になりそうだね。」

二人は必要となりそうなものを次々と揃えていった。


「さて、日が暮れてきたし、帰ろっか。」

荷物を沢山抱えたルークは言った。

「そういえば、僕どこに泊まろうかな。」

マルクは心配そうに言った。

「ならウチに来なよ!・・・まあ僕が住んでるのはボロい安アパートなんだけど。よければ来てよ。」

「本当!?ありがとう!」

二人はアパートの部屋に入ると、一つしかないベッドの寝転がった。

「・・・マルク、これからよろしくね。」

「・・・こちらこそ。」



数日後・・・

・・・ドーン・・・ ・・・ドドーン・・・

突然、爆発音が響いた。

街の中心部にある建物が、煙を上げながら崩れていった。

その光景を見た二人は、買ったばかりの武器を持って走っていった。

「きっとやつらの仕業だ!」


やはりそうだった。マルクの村に現れた化け物と似たような生物が街の建物を破壊している。

「マルク!」

「うん!」

二人はペンダントを握り締め化け物のもとへと走っていった。


相手はリーダー格と思われる一体と、手下の五体のグループだった。


この街の軍隊であろうか、兵士達が応戦している。

しかし、敵の固い体には歯が立っていない。

今では防御に徹している。


「軍隊は下がっていて!」

ルークはそう叫ぶと、敵の下へと走っていく。

軍隊はルークを止めようとするが、ルークはそれを振り切って走り続ける。


軍隊の武器で歯が立たないのに、自分達は何ができるのか。

そう疑問に思いながらも、マルクはルークの後を走っていく。

そして二人は化け物たちに対峙した。

こちらに気づいた奴らは、けたたましく叫ぶと、こちらに向かって走ってきた。

「マルク!気をつけて!練習した通りにやれば勝てるよ!」

銃を構えながらルークは叫んだ。

「うん!」

マルクは応える。


ここ数日、二人は戦闘の練習をしていた。

マルクは突進してくる相手を素早く躱すと、背中に回って手にしている剣を叩きつけた。

ブシャァァァ

相手の背中に大きな傷ができた。

ルークの言っていた、「選ばれし者」とは、本当のことのようだ。

軍隊が苦戦していた敵に、それほど切れ味の良くないこの剣でも、ダメージを与える事ができる。


相手もこちらに反撃してきた。ほかの仲間も突進してくる。

頭数が足りない上、この剣では一気には相手できなかった。

マルクはたちまち囲まれてしまった。


ドン ドン


ルークは気を引くため銃弾を放った。

マルクは抜け出してルークと合流した。

「・・・くそっ・・・、案外キツいな・・・。」

「こうなったら覚醒しかない!」

「うん!」

二人はペンダントを握り、集中力を高めた。

次の瞬間、体が光で包まれそれぞれの姿へと変化した。

ルークは赤く光る体に変身した。


二人は力を合わせて手下の五体を倒した。

覚醒した後は、マルクの叩きつける剣は化け物の体を深く抉り、ルークの放つ銃弾はまとめて吹き飛ばした。

しかし、リーダー格の一体は、驚くほどのパワーで、しかもとても硬い甲羅を持っているようで、致命的なダメージを与える事ができなかった。


(まてよ・・・たしか・・・)

ルークは腰につけていたもうひとつの銃を手に取った。

「ルーク!そんなんじゃ・・・歯が立たないよ!」

「マルク、僕たちの力はこんなものじゃないはずだ!」

「えっ?」

「獄炎の(フレイムショット)!」


ルークは二丁の銃を敵に向けると、力を込める。

すると銃身が赤く光りだした

そして二丁同時に引き金を引くと、銃口から巨大な炎の玉が出てきた。

その弾は1つに合わさると、一直線に敵に向かって飛んでいった。

敵はうまく避けたが、弾は方向を変え、また追っていく。

驚くマルクの前で玉は敵を包み燃やしていった。

相手は丸こげになって、その場に倒れた。


「凄い・・・、凄いよルーク!」

「へへっ、どーんなもんだい。」


離れて見守っていた軍隊や住民達が、歓声を上げている。

二人は胴上げされたり、頭をもみくちゃに撫でられたり、と住民達の祝福を受けた。


西の空が赤くなってきた頃、ようやく二人は部屋に戻ることができた。



次の日、マルクが目覚めた頃はもう陽が真上にある頃だった。

隣で寝ているはずのルークの姿が見えない。

何処に行ったのだろうか。

ふと、下の階からルークの声が聞こえた。

誰かと話しているらしい。


眠たい目をこすりながら下へ降りると、食堂にルークと、一人の女性が一緒に座っていた。

マルクはそこに近づいていったとき、自分の目を疑った。

その女性も自分と色違いのペンダントをしているからだ。


ルークはこちらに気付いた。

「おう、おはよう!」

「おはよう。その人は・・・?」

「あぁ、この人も僕らと同じ『選ばれし者』の一人なんだ。」

「やっぱり・・・」

「あなたがマルクね。私はアリサ。緑の要石を持つ選ばれし者よ。」

「要石・・・?」

「このペンダントのことよ。石の色は十三人、全員違っているらしいわ。そして、覚醒すると石と同じ色の姿になるの。」

「へぇ~。だからルークは赤かったんだ。で、アリサはどうして僕たちのことがわかったの?」

「テレビで見たのよ。ほら・・・」

アリサは食堂のテレビを指差した。


報道番組では、突如襲来した謎の生物を、少年二人が倒したと言っている。

「街の人に聞いたらここに居るって言ってたから来たの。」

どうやら街はいまだに大騒ぎらしい。


「アリサは何をやっているんだい?」ルークが質問した。

「私はこの街にある役所に勤めているわ。」

「ふ~ん。知らなかったや。」

「そうそう、君たちにに会ったら渡せって言われてる物があるの。」

アリサはカバンから大きな封筒を取り出した。

ルークは封筒を受け取り、中をのぞいた。

ズシリと重いものはたくさんの札束だった。

「えぇっ!ナニこれ!?」

「市長がお礼だって。本当は自分で渡したかったみたいだけど。」

「これだけあれば・・・、いろんな事ができる!!」


嬉しそうなルークを横目にマルクはアリサに尋ねた。

「アリサ、僕たちと一緒に旅に出ない?」

「ふふっ、さっきルークにも言われたわ。もちろん行くわ。」

興奮しているルークは早口で言った。

「マルク!もっといい武器を買いに行こうよ。」

「それよりも、今ある武器を強化するのがいいわ。」アリサが言った。

「確かに・・・。」

少し考えたルークは突然飛び出していった。

と思ったら戻ってきた。

「武器屋行こうとしたら武器忘れてた・・・。」

「もうルークったら。」

マルクとルークは部屋に戻り武器を取って、武器屋に向かった。


「どうしてもらおうかな~。」

昼も過ぎた町は昨日の事件の復興を盛んに行っていた。

三人が通りかかると、皆仕事の手を止め、手を振ってくる。

さらに、新聞記者らしき大群が押し寄せてきた。

マルクとルークは一時間以上も取材をうける羽目になった。


近くの喫茶店で暇を潰しているアリサは、遠目で取材しているのを見ながら、コーヒーをすすっていた。


「あ~、もうくたくた・・・」

記者たちから解放された二人は、喫茶店の席でぐったりしている。

「じゃあ、ちょっと休憩してから行こっか。」



「・・・もう夕方か・・・」

「二人ともずっと昼寝してるんだもん。」

『・・・』

「まあ、気を取り直して、店にいきましょ。」


武器屋で二人の武器を見せると、店主はうなった。

「これだけ小さいと改造は難しいな・・・。」

店主の反応を見たマルクは言った。

「やっぱり新しいのを買うか・・・。」


二人は今のものよりも高性能の武器を購入した。

「さて、明日の朝出発するか。」ルークは言った。

「えっ、もういくの?早く支度しなきゃ。」

アリサは慌てて帰っていった。

「ルーク、僕たちも帰ろっか。」

「うん。」


次の日の早朝

一人早く起きたマルクは、朝日の射す街並みを静かに見ていた。

これからは何処で泊まるかわからない。こんなにゆっくり出来るのもないかもしれない。


五分後、ルークが起きたので朝食に行った。

お腹いっぱいになるまで食べた二人は、準備を整えて宿を出た。


アリサはしばらくして走ってきた。

「二人とも、おはよう!いい情報があるわ。」

「なに?」

「隣の大きな街には、私たちと同じ選ばれし者が居るらしいわ。」

「本当?」

「まず、そこを目指しましょう!」


三人は、多くの住人に見送られ、街を後にした。


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