第二話 女嫌い
俺は毎日を普通に過ごしたかった。
だけどそんな儚い夢は叶わない。
タツキが何かをすれば俺までもが狙われるから。
いい加減…疲れたよ……。
只今昼休み…学校廊下で持久走中……。
「俺様を捕まえられるのはただ一人!城ヶ崎郡だけだ!」
「俺を称えるようなことを言うのは許そう…。しかし俺まで巻き込むなッ!」
「そんな堅いことを言うな!何だかんだで楽しいでわぁ〜ないか!」
こいつと話すのは疲れる……。
俺はタツキと離れるべく、タツキと別の道を行った。
見事に俺はタツキ&風紀委員から逃れることに成功した。
「さて、昼飯にでもするか…。あいつらの持久走には付いていけんな。」
教室に戻り鞄を取り、屋上に向かう。
途中にいろんな人に見られていたが俺はシカトする。
ホントは屋上は立ち入り禁止なのだが、前日にタツキに鍵を開けて貰っていた。
ここで昼飯を食べるために。
俺は賑やかなのは好きではない。
しかし嫌いでもない。
でもやっぱり静かなのは大好きだ。
屋上のドアを開けると風が全身にぶつかってきた。
心地よい風。
「さてと……。」
俺は屋上のドアから真っ直ぐ前に進むとある、ベンチに腰を掛けた。
なんでここにベンチがあるのかは謎だ。
鞄からパンを取り出す。
「このパン……もう買わない…。」
あまり美味しくなかった。
そろそろ予鈴が鳴るな…。
ガチャン…
閉めた筈のドアの音が聞こえた。
振り返ると初めて見る女の子が立っていた。
「あの…。」
「ん?」
「こんなとこで何を?」
「昼飯。」
素っ気なく返す俺。
女の子はちょっと困った顔をした。
「それじゃ。」
俺は話したくなかった。
だって……。
俺は女の子の横を通り過ぎ、ドアへ向かう。
「あの!」
何故か呼び止められる。
「なに…。」
少し怖く言って見せた。
「あなた…城ヶ崎くんでしょ?」
知っていても当たり前か…。
タツキとあんだけ風紀委員に眼をつけられてるんだから…。
「だったらなに?」
「出来れば……お友達に…。」
頬を赤くして何を言うのかと思いきや…。
「無理。」
「どうして…?」
「俺…女嫌いだから。それだけ。」
女の子は顔を伏せた。
そして俺は屋上を後にする…。
放課後……。
「おい、郡。お前また女と何かあっただろ?」
勘が鋭いやつめ…。
「あァ…。大したことはない。」
「大ありだ。もう少しくらい女にも慣れろ。」
「無理な相談だ。」
そう…。
俺は女性が嫌い。
苦手とかそんな生易しいもんじゃない。
大ッ嫌いだ。
「お前…まだ引きずってんのか…。」
「いいだろ。タツキには関係ない。」
「大ありだッ!」
教室の中に居た人は俺とタツキを見る。
「あまり大声を出すなよ…。」
「俺にだって責任が有るんだよ!だから………。」
「タツキは何も悪くない。俺のせいだ。だから…お前だけは忘れてくれ…な?」
タツキは物凄く悔しそうだった。
そしてタツキは教室から走り去っていった。
ありがとう…タツキ…。
と、俺は心の中で呟いた…。