序章 雪のように
初投稿です。
よろしくお願いいたします。
暗黒に近い闇の中で大きな獣が駆け抜ける。時より森の木々から射し込む月の光が、獣の美しい銀の毛を輝かせた。
雪がまだ残る森の険しい道を駆け抜ける獣は、やがて脚を止めた。
銀の毛に隻眼の瞳の狼は、その大きな瞳をその木に寄りかかったものに向けた。
木に寄りかかったものはその気配に気がついたのか、弱々しく瞳を開く。黄金の瞳が狼を捉えた瞬間、狼はただひれ伏せた。
黄金の瞳の子どもが冷たくなった手で狼に触れる。
「わたしを,たべるの?」
片言の言葉でかろうじて話す子どもが、ただ微笑んでいる。
狼は子どもに寄り、古の契約の紋章を雪に刻む。
『我が名はエディアス。雪と氷を統べる王。汝との契約のために参上した。主よ、古の契約を交わして貰えるか?』
エディアスの言葉を聞き、子どもは起き上がる。
「ずっと一緒にいてくれる?」
ただエディアスが頷くと子どもは微笑み、エディアスに抱きつく。
「私の名前はフィオナ・フォルトゥーナ・フェルマータ。契約を望みます。エディアス」
この時まだ世界の誰もが知らない。
最強のウィザードが雪と氷を統べる王に拾われたことなど。
ただ雪がすべてを覆い隠した。
閲覧ありがとうございました。
まだ序章なので急いで次の仕上げますので、また読んで下さると嬉しいです。