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■第15章 第6節:そのまま

夕方。

白花の薬屋は、いつも通りの流れに戻っていた。


「ストロング、体力二つ」

「ライトも一本」


リナが受ける。

ミアが渡す。

クロエが確認する。

シャーロットが作る。


変わらない。


――


だが、動きは違う。


客がポーションを受け取る。


すぐには飲まない。


ポーチに入れる。


「予備で」


短い一言。


ミアが小さく言う。


「さっきと違うね」


リナが頷く。


「はい」


クロエが言う。


「使用優先順位が変更されています」


――


別の冒険者。


腕に軽い擦り傷。


前ならすぐ飲んでいた。


だが、今回は違う。


「まだいいな」


そのまま様子を見る。


仲間が言う。


「無理するなよ」


「分かってる」


短い会話。


だが、それで十分。


――


店の外。


準備をする冒険者たち。


「一回戻るか」

「深追いしない」

「余裕見て動く」


言葉が整っている。


――


ミアがぽつりと言う。


「なんか、安心した」


小さな声。


リナが静かに言う。


「はい」


クロエが続ける。


「安定しています」


――


シャーロットは杖を使う。


混ぜる。

整える。

揃える。


結果は変わらない。


――


客がポーションを受け取る。


一人が言う。


「これ、いいな」


前と同じ言葉。


だが、意味が違う。


「ちゃんと使えば」


続く。


クロエが小さく言う。


「認識完了」


――


ミアがシャーロットを見る。


「何も言わなくてよかったね」


少しだけ笑う。


シャーロットは答える。


「同じだから」


短く。


ミアが首を傾げる。


「何が?」


シャーロットは言う。


「作るだけ」


それだけ。


――


リナが静かに続ける。


「使う側が変わりました」


クロエも言う。


「最適化されています」


――


シャーロットは何も言わない。


ただ、次を作る。


変わらない。


それでいい。


――


夕日が差し込む。


店の中が少しだけ赤くなる。


ミアが言う。


「なんかさ」


小さく。


「前よりいい感じ」


リナが頷く。


クロエは変わらない。


シャーロットは――


「うん」


短く答える。


――


白花の薬屋は、そのまま回り続ける。


何も変えない。


何も足さない。


ただ、同じことを繰り返す。


それだけで――


外が変わる。


それで十分だった。

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