いつか思い出す部屋
その白炎は、瞬く間に世界へ激震を伝える。
雲は蒸発し、海の水面が干上がり、一体の大地が焼き爆ぜた。
各国はすぐさま原因究明に努めて、そう時間もかからず、セルトゥーユにて大量の魔物の発生と、それに女王自らが対処したと知る。
誰もが知っていた、女王ソフィア・セルトゥーユの力を。
しかし此度、改めて知ったのだ。
この世は今、一人の王の機嫌の上に成り立っていると。
♡♡♡
「明日になれば街に着いてしまうわね…………もう少し、道中が長くても良いのだけれども」
ナイトドレスを身に纏い、ベッドに腰掛けたソフィアが言う。
本気でと言うよりも、雑談の種として放った一言であった。
「それでは魔物災害への対処が遅れていた可能性もございます」
「どうせ、民はハルクスが避難させて、周辺には村もないのだから…………まあ、いいわ」
魔物災害を滅ぼして二日――――二人はゆっくりと馬を走らせた道中、宿屋で一泊することとなった。
普段過ごす、王城にあるソフィアの部屋と比べれば狭く、ベッドの性能も廉価が良いところ。
しかし、ソフィアという存在が一輪入るだけで、場は豪華絢爛の社交界よりも華やいでいる。
「ねえフィーナ、結界は張ったのよね」
「はい。物理魔法と防音まで、抜かりなく。ソフィア様の私室と同じ水準には至ったかと」
「じゃあ、こういうことをしても問題ないということね?」
言いながら、ソフィアがフィーナの頬を撫でた。
フィーナは頬に伝わる冷たさにぴくりと震え、それが面白くてか聞こえた、息を漏らすような笑い声に赤面する。
「外ではあなたを可愛がれなかったから、久しぶりね」
それだけ言うと、二人の距離は縮まり、次第に息遣いも伝わるようになり、口付けを。
最初は軽く――――呼吸のために一度離れ、再度行われた口付けは、長く。
互いの唾液を交換するように行われた。
「ソフィア様ぁ…………」
「蕩けてしまって――――可愛いわ、フィーナ」
ソフィアの息が熱を孕む。
潤んだフィーナの瞳を見て、気分が上がり始めたのだ。
「ねえ、あなたのせいで私はもう大変よ――――どうしてくれるのかしら?」
「っ…………御奉仕、させていただきます」
言ったフィーナは、ゆっくりとソフィアのナイトドレスを脱がせる。
肩紐を抜き、浮かせた腰の下、足の先へとドレスを下ろす。
「フィーナ様…………とても、お美しゅうございます」
「他の誰に言われるよりも嬉しいわ。あなたも見せて」
「御心のままに…………」
夜伽の最中――――フィーナは常々、互いの想いを知る前のような口調に戻る。
それは、かねてからの習慣と、自分を出すことへの恥ずかしさから来るものか。
少なくとも、ソフィアはそう解釈していた。
フィーナがベッドから降りると、メイド服を脱ぐ。
下着を晒し、耳まで赤くして、次に何をすれば良いか、ソフィアを動きを待つ。
ソフィアはそれに応えた。
ベッドの淵に座りながら、少し足を出して見せる。
すると、フィーナは床に跪き、つま先に口付けを。
それから脛、腿、鼠蹊部、臍、胸元、肩と、唇を巡らせた。
「あなたが、したいようにして良いわ」
犬に対して、よしと言うようなものだった。
二人はタガが外れ、互いの体温を一つにしようと肌を触れ合わせる。
より広い面積で、より深く、より長く。
剥き出しの命で、一秒が過ぎるのを惜しみながら。
「私の心はあなたのものよ」
あれから、幾度か放った言葉である。
似たような状況で、似たような熱で。
「私は、ソフィア様のものでございます…………っ」
決まってフィーナはこう返す。
二人はこれを決まりごとのように、時間の終わりを感じると告げるようになっていた。
背骨が焼けるような感覚。
息が乱れ、視界が定まらなくなる。
必要はないが、二人は声を殺した。
その代わり、握り合う手に一層の力が籠る。
どちらが先に眠りについたかは分からない。
双方、同時に意識が溶けたと認識していて、間違えはないのかもしれない。
いつしか、部屋の中は寝息だけが鳴るようになっていた。
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