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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

男女比1対10、男女役割交代の世界に迷い込みAEDを使って死刑を宣告された男の末路

作者: 山田 勝

「「「男がいなければ生理だけ!男がいなければ生理だけ!」」」



 昼休み、最近話題の激安マンガ喫茶に行った。ここはカレーが食べ放題だ。

 一時間300円でカレーを三回もお代わりをした。

 しかも飲み物までついて、何て素晴らしい店なのか。


 さて、店を出て、会社に戻る途中に首回りまで肉のついた太った男達がピョンピョン飛び跳ねながら、下品でヒドいラップを披露している。

 周りは男・・・だ。皆もれなく太っている。


「豚田さん。格好いい!」

「すてきー、豚田さん!」

「キャア、ホって!」


 と歓声を上げている。


 俺は見て見ぬ振りをして通った。


 だが、豚田という男は苦しみだした。


「ウウ、苦しい・・・」

 バタンと倒れた。


「豚田さん!大丈夫!」

「救急車よ!」


 俺はAEDの講習を受けた事があった。捨て置けないな。AEDの標識を見つけ。

 取り出し。すぐに駆けつけ。息の確認をした。


「キャー!豚田さんに許可取ったの?」

「意識無いぞ!そんな場合か?」


「「「キャー!破廉恥」」」

「服を脱がせたわ!」


「だから、AEDを使う!そのためだ」


 もし、女性が倒れたら、通行人に呼びかけ。背を向けて壁になってもらう。

 これがセオリーだ。


 しかし、男でもそうするべきだと思って、壁を作るように呼びかけたが。

 周りの男達はキャー!キャー!叫んでいるだけだ。


 命がかかっている。一刻の猶予もないと、そのままAEDを使う事を決意した。



 俺は豚田という男を何とか助けた。


 やったぜ。やり遂げたぜ。


 救急車と警察がやってきて。


 あれ、全員女だ。


 俺は逮捕され。


「12時58分確保!」

「え、何で・・・」



 そして、裁判が行われ。男の裁判官、裁判員の法廷で


「被告、普山中男、死刑!」


 と宣告され。俺は思わず


【な、何でだよー!】


 と絶叫した。



 意味が分からない。俺は死刑執行のために金網のついた護送車で刑務所に送られた。


 キキー!


 あれ、止ったぞ。


「ああ、やってられないな。犬子、ヤニ吸いに行くベ」

「熊子、ナイスアイデアだべ。コンビニで涼んでジュース飲むベ。熱中症になるべさ。やんや、男様がネットでうるさいさけえ、やってらねえちゃ!」



 警官の2人は、俺に。


「ええか、男様よ。オラ達、30分間だけ、涼んでくるっちゃ。目の前の建物はネップランドの大使館だべ。そこに逃げて保護されようと思っちゃなんねえだ」


「んだ。小便は自分でやれ、あそこの電柱だ。手錠を外すけえな」


 と告げられ手錠を外された。


 これは、逃げろと言っているみたいだ。

 俺は大使館に逃げ込んだ。







 ☆ネップランド大使館


 聞いたことない国だ。北欧に位置しているらしい。地図を見ると、スカンジナビア三国の一つ・・に位置する。



 大使は金髪で薄い青い瞳の女性だ。若い。

 話をしたが聞いてくれなかった。


「はあ、また、亡命希望者ですか・・・、いいですか?日本男性、大使館は、本当に迫害されている方なら、保護します。ジェンダーギャップが低い我国に来られても、現状を目の当たりにしたら後悔しますよ。キラキラした職ばかりに男性はいません。

 インフラを維持する職業にも男性がいます。

 それに日本男性が世界で人気というのも少々間違った情報の捉え方ですよ」


「大使殿、俺は死刑を宣告されました!理由はAEDで男性を助けたからです」


 その時、ニュースが流れた。


『男性を助けると称して、服を脱がせた普山中男24歳に死刑が確定されました・・・

 被害者の豚田ブタダトンさんは涙の会見をしております』


『はい、この写真の男が、呼吸停止をした私の体をまさぐり、精神的苦痛を味わされました!』



 ・・・・・・・


 ニュースで俺の顔を確認した大使は態度を豹変した。


「名誉女性の方ですね。歓迎しますよ!さあ、我国に亡命を!」

「え、何ですか?名誉女性とは・・・・」

「え、ご存じない・・」



 説明をしてくれた。名誉女性とは、男性でも、男子枠に頼らずに、大学に進み。仕事をして生活をする者・・・普通じゃん。


「男子枠って何ですか?」

「ほぼ、無試験で、入学したり企業に採用されることよ」



『次のニュースです。また、旅客機が墜落しました。原因はパイロットの技量不足、性別は公表されていません。パイロットの性別と男子枠かどうかを公表しろとデモが起きています!』



 何だ。男子枠、似たような話、どっかで・・



「さあ、普山様、何かご希望はありますか?」

「なら・・」


 とお願いした。

 俺を逃がしてくれた2人の警官を大使館の警備で雇ってもらうように頼んだ。

 既に懲戒処分で解雇だった。


 名前は、犬山犬子に、熊山熊子、田舎出身。だが、スタイルは良いし。ギャルみたいだ。


「オラ達は山有県の農村出身だぁ」

「都会でキラキラするには下級官吏になるしかなかっただ」


「その節は、有難うございました」


「お礼だなんて、チン触らせてくれたらええだ」

「やるか?」


「良いですよ!」


「ええってことな、ええちゃ!許可受けただ!」

「ヒャッハー」


「結構ですの意味・・・ウワワー、あれー」


 とまあ、いろいろあった。


 出国だが、軍隊に囲まれている。

 自衛隊じゃない?自衛軍、女ばかりだ。


 俺は大使館内では、逮捕されないそうだ。


「うかつに外に出られないわね。外にでたら、私もスパイ容疑で逮捕されるわ」


 大使も外に出られないらしい。どこの国だよ。在留邦人をスパイ容疑で逮捕する国の逆か。



 そして、ニュースを見るが見知っている男の顔が出ていた。


『男性枠首相が誕生しました!豚田豚男さんです』


「はい、私が手本になって、ジェンダーギャップをなくします。男性が輝ける未来を約束します」



 変な内閣が誕生した。


 歴史の資料で見たが、ルーマニア革命の政府首脳陣みたいな雰囲気を感じる。どうみても、リーダーたちには見えなかった。

 だから、チャウシェスク失脚からの謀殺はCIAの仕業とかそんな陰謀論が誕生したのだっけ?



 それから、日本は・・・苦難の道を進む。


『新卒採用0人の企業が続出しています。しかし、男性枠は健在です。女子新卒0人、男性枠10人なんて企業もザラです』


『キー、これは不公平を是正するためよ!』



 ・・・・・・


 どんどん雲行きが怪しくなってきた。



『ニャースです。本日、貿易決済の不履行が確定しました。つまりデェフォルトです・・・』

『これで、遂に我国も発展途上国に・・なりました。グスン、グスン』



『首相、豚田豚男君!』


『これはしょうがないわ!だって、仕方ないもの。払えないものは・・・グゥ!』


『首相!・・・誰か、AEDを!』


 不思議な光景だった。男達は騒ぎ立て、誰もAEDを操作しない。


『女、助けなさいよ!』

『私の知り合いの妻は西欧女性よ。西欧女性ならまっさきに助けるわ』


 女性議員たちは無言だ。そりゃ、死刑になるもの。



 ・・・・・



 それから、自衛軍は。


「大使殿、治安出動の命令が下ったから、ネップランド大使館警備の任を解かれた」


「オホホ、監視のくせに、武運を願うわ。あの男は無事よ」


 と去り。軍は国会に向かい。

 クーデターが起きた。


 俺は空港に向かい。ネップランドから迎えに来た飛行機に乗ることになった。


「中男さま、手紙かくだー!」

「ハメ撮り動画で慰めるだ」


 犬子、熊子、いつのまに撮ったんだ、ついでに大使とも仲良くなった。


 3人は、涙を流しながら、手を振ってくれた。


 俺は・・・


「残ります!」


 日本国に残る決断をした。


 再審請求が行われて。


「普山中男、無罪!」


 と死刑判決が覆った。



「普山中男さん。良かったですね。感想をお願いします」


「はい、この件に関わった方、応援してくれた全ての方に感謝します」


「これから、何をしますか?」


「俺は・・・・」


 とりあえず。熊子と犬子と暮らしながら、土木会社を経営した。何故だが、重婚OKな国らしい。

 いつの間に変わったんだ。いや、パラレルワールドのようだ。

 ジェンダーギャップ、この世界では男女比が1対10くらい。役割は交換状態だ。


 だから、圧倒的に男が少ない3Kの仕事で模範を示そうと思う。

 しかし、男性を募集をしても誰も来ない。


「社長、AED、各現場に配置ずみっちゃ」

「熊子、有難う・・通行人が倒れたら」


 しかし、もし、男性の通行人が倒れたら、助けろとは言えないことに気がついた。

 まだ、まだ、ジェンダーギャップ解消は苦難の道だ。


最後までお読み頂き有難うございました。

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