風属性って僕と相性最悪みたい
……今日も今日とてダンジョンに潜ります。
そして今日のダンジョンはDクラス。
……といっても、その中でも難易度は低めのものを選んでいる。同じDクラスであっても、難易度は月とすっぽん程の差があったりもするからね……。
「……ミア連れてきた?」
「……行かせろ行かせろ言ってくるからね」
あ、そういえば僕は新しく魔法を覚えた。
ストレージという魔法。最大で1tまで収納できる。勿論、人や動物、植物含めて。
今はそこにミアを入れている。
ミア曰く、白くだだっ広い部屋の中に、テレビと布団があって時計もあるらしい。……時計は機能していなく、テレビも同じものしか流れてこないらしいが。
僕がそんなところ行ったらすぐ精神病みそうだなぁ。
「……出しておく?」
「その方がいいと思うよ」
襲われそう(性的に)だからずっとしまっていたが、出しておいた方がいいだろう。……ま、まぁ。そんなわけないよね? 本人曰く頭に海綿体なんか詰まってないらしいんだから。
『……何でずっと出そうとしてくれないんですかますたぁは……!』
「自分のやったことを思い出してから言ってほしいかな〜……」
『……だから、ますたぁが可愛いのが悪いんですよ』
ほ、┏(┏^o^)┓……。
というか僕のファーストキスを奪ったことは許さないからな。
◇
「皆さんこんにちは、カヤです」
「スズだよ!」
「ユウです……」
『ミアです』
:あっ出たロリコン
:↑辛辣で草
……コメントでもやっぱロリコン言われてる。
性別的には┏(┏^o^)┓だけど……。
『ま、ますたぁの顔が可愛くて……つ、つい……』
「もう一度何かしてきたら妹に……え〜っと、て、てらすーぱーはいぱー……ぎがんてぃっく……かおすぶりざーど……だっけ? を喰らわせるからね〜?」
:……なんか違くない?
:てらごっどうるとらすーぱーはいぱーあるてぃめっとぎがんてぃっくおーばーふろーかおすおめがぶりざーどだよユウちゃん
えっ視聴者……、何で覚えてるの……?
「なんで覚えてるの、きっしょ〜……もっと他の事に頭使いなよ〜? 頭良かったとしてもドブに捨てたような事になるよ〜?」
「ユウ……が視聴者を煽ってるし」
「……まぁわからせられるでしょ」
:大丈夫、既に人生を無駄にしてる
:↑だいじょばねえよ
:ここまででいちばん酷いコメントかもな
「あ、あはは……。もっと……こう、やり直せるとは思うよ〜?」
:ハゲデブブスメガネで風呂キャンでアラフィフで独身で中卒で子供部屋おじさんの自分がやり直せる……と?
:↑涙拭けよ
……聞く限りダメそう。
「……ごめんね〜、やっぱ無理だと思うかな〜、本当に人生無駄にしちゃってる〜……というかお風呂は入りなよ〜……?」
「下は見るもんじゃないんだね……」
:知ってた
:↑可哀想
:↑↑ここまで来ると同情するわ。風呂キャンさえなければ
:臭いから風呂入れよ
「……え、えーっと、じゃあ潜っていきます」
◇
「……」
拝啓、行方不明のお父さん、お母さん、妹。
僕は今、ミアに抱っこされてます。
何もせず、二人が戦ってるところを見ています。
……だって仕方ないじゃん。
ここに出てくる魔物が風属性だから、戦えば吹っ飛ばされるし、僕の武器はナイフと銃、魔法。……遠距離武器ばっかなんだもん。
遠距離武器は風で吹っ飛ばされるんだよ?
……魔法? いやまぁ通じるけど、光でどうやって目以外にダメージを与えろと?
いや、まぁ。光属性の攻撃魔法でもダメージ自体は与えられるんだよ。
……ろくに使えるのは目潰しか紫外線しかないんだけどね。
でもライト! とか言って光らなかったら(紫外線は不可視光線)どう思う?
え? 何? ってなるよね?
「……よし、倒したし進もっか」
「ボク何もできないな〜……」
「大丈夫、居てくれるだけでいいから」
「はぇ?」
……架夜の言葉に何上がってんだ僕の口角。
声も出ちゃってるし……。
:あらかわいい
:めっちゃ喜んでて草
:可愛い
「……おアツいね〜お二人さん、まさか人前でイチャつくなんてね?」
「ぁ、ぅ」
「そういやいたね」
「なんで忘れるの!?」
:えぇ……
:何忘れてんねん
……さ、作者が鈴那さんの事忘れたり会話に出しづらいなんて事、絶対に言っちゃダメだ。
……うん、メタいな。
……って、僕は何を……? 作者ってなんだ……? まぁいっか……。
「ぁっ、スライム……!」
「話逸らした?」
「てかユウ、スライムにビビりすぎでしょ」
:うわでた
:腹パンされるもんね
……黄緑色のスライムを見つけた。
ミアに抱っこされてるから飛ばされることも攻撃されることもない……だろう。
……スライムは僕に向かって飛びかかろうとしていた。
「スライムは視聴者がリ〇ナラーになる前に帰ってよ〜っ! ふしゃ〜っ!」
「もう手遅れじゃないの?」
「スズは視聴者をなんだと……」
:なってねぇよ
:初配信でリョ〇要素を出した人は凄いなー
な、なんか展開が読めるな……。
……まぁ、多分そうなるのは決定事こ
「ぐべはぁっ!?」
……け、決定事項で、僕のお腹にスライムが突撃してきた。おいミア、なんで僕のお腹じゃなくて胸側を持ってるんだ。
そのせいで僕のお昼ご飯が……!
「……ぉぇ、またかよ」
『お疲れ様ですますたぁ』
「このヤロ」
……スライムは架夜に潰されていた。
南無南無。摩訶般若波羅蜜多……。
「……進んでくよ」
「あっうん」
◇
「皆ストップ……!」
「え?」
架夜が止まってと言うので、何があったのだろうか? と架夜の視線の先を見る。
「グリフォン……?」
何か部屋みたいな所で、その中に……鷲みたいな頭で、翼があって、鉤爪があって、ネコ科動物の体……グリフォン? がいた。
でもなんか……体黒いな?
「うんグリフォン。和名をシシガラス」
「……カラスには見えなくないかな〜?」
「そんな事言われてもねぇ……? 昔の日本人に言って?」
……鈴那さんの言うことが本当なら……えっと、植物みたいな和名してる……。
いや、まぁワシだったら語感悪いけど。
「ここで皆に言うことが一つ」
「何?」
「……さっき後ろの天井が崩れたよ」
「……ほ、ホントだ」
架夜が言うため後ろを見ると、本当に天井が崩れていた。……音で気づくだろって?
……いや、デッカイ岩がドーンと落ちた訳じゃなくて、サラサラした砂が少しづつ落ちたから……。
「つまりアレと戦うしかないと」
「セーブポイントってある〜……?」
「ないに決まってるでしょ?」
グリフォンはこっちに気づき、観察するように見てくる。
「……倒そっか」
グリフォンに向かって突撃ー!
先手必勝! って事でグリフォンの目にライトを放ち、目を使えなくさせた。
それに続き、鈴那さんが何かの液体を針状にして、グリフォンに飛ばしていた。
……が、グリフォンが起こした風によって弾き飛ばされていた。
恐らく飛び道具はダメだろう。
「ねぇ、近距離武器って〜……」
「……あるとすればユウが持ってるのくらいだよ」
近距離武器があるとすれば……ナイフかぁ……。超至近距離の武器だしやりずらいって……。
「……ほら、その……殴ったら鈍器になりそうな……」
「……これ?」
:AK-47で殴るの!?
鈴那さんが言うので、僕は銃を取り出した。
銃で殴れ……ってこと!? そんなこと重いしできないよ!?
「……ほら、頑張れ頑張れ」
「ボク吹き飛ばされるよ〜!? できるわけないじゃんバカなの!?」
「ミアに抱っこされてたら突撃出来ると思うけど」
「……ならミアがやればいいと思うけど?」
「確かに」
:ミアフリーズしてて草
:えっ何で!? って顔してる草
えっオレがやるんですか!? と言いたげにミアはこちらを見てきたが、満面の笑みを返してやった。早くやって。
:ぅゎょぅι"ょっょぃ
:容赦なくて草
脅迫されてぐるぐる目のミアが殴った後、グリフォンは少し怯んだが、ミアを吹き飛ばした。
『うわぁぁぁっ!?』
「……うん。攻撃は通じそう」
『……ま、まさか』
「と、言うわけで。グリフォンを倒すまで繰り返して?」
『ぁぁぁぁぁぁっ!!!』
:可哀想
:可哀想は可愛い
:残当
……時間はかかったが、グリフォンを倒した。
『もうやだ戦いたくない』
「はいはい。ストレージ」
ミアは引きこもった。
もう二度と出たくないとか言ってくる。
……グリフォンを倒したからか、何かの扉が開く。
「……あ、なんか先進めそう」
先に進んだ。
グリフォン Griffon
学:Gryphus gryphus
鳥綱 タカ目 鳥獣科 鳥獣属
和名:シシガラス(亜種を指すことが多い)
日本に生息する亜種の学名は以下。
学:Gryphus gryphus corvus
全長3~4m 体重300kg程度
生息域:北半球全域
ネコ科動物のような体を持つ鳥類。翼は2m程あり、飛ぶために滑走を必要とする。