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スライムおっそ〜、のろ〜い

え? ブックマーク15人も居ない?

カクヨム様とハーメルン様の合わせたら15人行ってるからセーフセーフ(?)

「ざこなのはボクでした……」

「おーよしよし」

:わからせられてる

:かわいそう



架夜は、スライムを煽って見事にわからせられた僕の頭を撫でてくる。やめて。



……そう思っていたら、近くに魔物が湧いた。



「……あ、またスライム」

「ひっ……」

:怯えちゃった

:かわいそう



スライム怖い……。こっち来ないで……。

ごめんなさいごめんなさい……。



「……倒してみたら? 一応武器持ってるでしょユウ」

「うん……」



……怯えている僕が気になったのか、架夜がそう提案してきた。



この世界では、ある程度の武器の携帯は許可されている。イカレているように感じるかもしれないが、けして武器社会ではないので安心して欲しい。



僕は持っている袋から(AK-47)を取り出した。

どう考えても袋のサイズからして入らないが、そういうものなのだ。



:AK-47……!?

:その体積がなんでその袋に入るんだよ



……なんでだろうね。でもそういうものなんだよ。

僕はトリガーを握り、引く。……あ、あれ?



「……弾切れだったこれ!?」

:えぇ……



そういえば、少し前に全弾使っていたような。

家に帰ったら補充しないとな。

銃は使えないので、袋から他の武器を出す。



袋に意味不明なくらい入っているナイフ。

それを、スライムに向かって投げた。



「く、くらえ!」

:投 擲 武 器

:ナイフは斬るものですが!?

:普通にナイフ投げるの上手いなこの子



ナイフは斬るものではない。投げる物なのだ。

ナイフはスライムに当たり、スライムは爆発四散した。



「……あれ〜? 意外とざこなんだ〜?」

「そりゃスライムだからね?」

:スライムが強いと思ってたのかなこの子



「……う、後ろにスライムいるよ!?」

「!? ……ほんとだ」



鈴那さんに言われたので、僕はナイフを構えて、後ろにいたスライムを見る。



スライムは僕を見るなり、跳ねて逃げようとしていた。ごめんねスライムさん。僕のロールプレイに付き合ってもらうよ……。



「逃げることが出来ると思ってる〜、頭もざこなモンスターだ〜」

:まーた煽ってるよこの子

:かわいい



スライムに向かってナイフを投げようにも、逃げるせいで狙いが定まらない。



「……ど、何処まで行くの〜?」

:めっちゃ逃げるやんこのスライム



スライムを追いかけていると、ある広い部屋に付いた。そこには、とても大きなスライムがいて、周りにはたくさんのスライム。



「……あれ、これって……もしかして……」



大きなスライムが、自分の体重とか知りません、なんて言ったように飛び跳ねる。

落下の衝撃で、部屋全体が揺れる。



「うわぁぁ!?」



その衝撃で体勢を崩してしまい、僕の周りにスライムが集まってくる。



「ひっ……ぁ……ぁ……」



来ないで……来ないで……。

スライムの一匹が飛び跳ねて、僕に攻撃しようとしてくる。



「ひぅ……っ!」



思わず目を閉じて泣きかけてしまう。

この時点で男としてのプライドはない。



「……!」



……いつまで経っても攻撃が来ない。

どうしてだろう……?




「……?」



目を開けると、スライム全員が紫色になって倒れていた。その光景にはギョッとする……。



「大丈夫!?」

「こ、こわかったぁぁぁぁ……!」



……鈴那さんが助けてくれていたようだった。

思わず助けてくれた鈴那さんに抱きついてしまう。



:百合(キマシ)……!

:お姫様かな?



コメントがそんな事を言うが、僕は男だ!

百合でもお姫様でもない!

……と思っていたら、まだ何か動いていた。



「……ぅ、うしろ……っ!」

「え?」



大きなスライムは、普通にまだピンピンしていて……鈴那さんに突進していた。

人体で鳴ってはいけない音もしていた。



「ぐぁっ!?」

「うわぁっ!?」



その巨体で突進してきたからか、吹っ飛ばされてしまう。僕にあまり怪我は無かったが、鈴那さんはかなり痛がっていた。



「ぁぁぁぁぁぁっ!」

「す、スズさぁぁん……!」

:エグい音したぞ……。

:骨折れてるだろこれ……。



見た目では分からないが、声色やスライムが突進してきた速度、へこみ具合から判断するに、骨が折れているのだろう……。勿論断言は出来ないが。



「……ヒール!」



僕が使える魔法の一つ、ヒールを鈴那さんに使った。

ヒールとは、対象の傷を治す魔法。

……というよりは、対象が生きている場合、あるべき姿にする魔法。癌、骨折、筋肉痛などは理論上は治すことができる。

ウイルス、細菌、寄生虫などの感染症や一部の生活習慣病、アレルギー、毒、死体などの場合は絶対に治せない。


語源は英単語のHeal(癒す)。



「……な、治ってる……!?」

「これが回復魔法なんだよ〜? そんなことも知らないの?」

:回復魔法ってスゲー!

:……骨折が治るレベルのヒール……?

:ヒールでは骨折は治せないはずだぞ……? たとえ治せたとしても数時間はかかる……それを一瞬で治した……?



コメントに驚きの声や、困惑の声が上がっている。

……確かに、ヒールだけで骨が治ることはない。

ヒールだけで治せるのはせいぜい小さな怪我くらいであるのだが……僕は、とある工夫で治せる範囲を広げている。



ヒールという魔法は、使った場所から同心円状に広がっていく。

ヒール全体の強さを100だとして、使うと一番回復力が強いところでも100もない。

全体で100なのだから、広がっていたら分散して弱くなってしまう。



そこで、ヒールを使う際、ライトという、光属性の攻撃魔法も少し使う。攻撃魔法といっても、けっして治す対象を攻撃している訳ではないが。

ライトを使う事で消毒もできるし、攻撃魔法と回復魔法は反発し合うため、回復したい場所の周りにライトを放ち固定すれば、ヒールの分散も防げる。



つまり骨だけにヒールを集中させる、という事をして治しているのだ。……そのため粉砕骨折や複雑骨折などを治すことは少し……いや、かなり厳しい。



……この芸当はかなり難しいらしく、光属性の攻撃魔法でないと成功しないという。



まず火属性は論外、水属性は血液が薄まる、雷属性は固定ができない、氷属性は血液が凍る、風属性も固定ができない、土属性も論外、闇属性は不明。

論外って言ってる属性はどう足掻いても絶対にダメージを与えてしまうのだ……。そのため攻撃の意思さえなければ光ってるだけの光属性が適している。



「……怪我したらすぐに言うんだよ〜?」

「あっ、うん……」

:やさC



「……とりあえず安静にしててね。大丈夫、ボクがなんとかするから」

:ぅゎょぅι"ょっょぃ

:かっこよ




……どうしよう。

つい、僕が何とかするから―――とかいう、馬鹿みたいにかっこいいヒーローみたいな台詞言っちゃったけど……。




あんな……一軒家みたいにでっかいスライム、どう倒せばいいのさ……!?




「かかってきなよ〜。それとも何? 今になって急に日和ってるの〜?」

:また煽ってるよこの子!?

:よく煽れるな……。



どうしよどうしよどうしよどうしよ……。

なんか口が勝手に煽っちゃうし……。



と思っていると、そのでっかいスライムが突進してきた。

気づけばそのスライムが目の前にいて……何故だか、体が動いて避けていた。



「あははっ! のろいのろ〜い! おっそ〜、そんなデブってるからのろまなんじゃないの〜?」

:デブだと?

:↑落ち着けメタボリックシンドローム



気づけば跳んで回避できていて、こんな思ってもいない事を口走っていた。口角は何故だかずっと上がっている。何かもうメスガキムーヴが染み付いてないだろうか……? 何でこんな早く染み付いているんだ……?



というかスライムに攻撃をしていなかった。

武器の入った袋からナイフを取り出し、スライムに投げる。僕のナイフ投げの速度がやけに速くないかな、と思える。



「あっはは! でっかい的〜! ほらほら、ナイフまだ喰らいたいの〜? このまま食らってってザコだと認める〜?」



……なんで僕はこんなに煽っているんだろう。



拝啓、僕のお母さん、お父さん、妹。

僕は今、メスガキごっこしながらナイフを投げています。笑わないでください。……助けてください。



「あったまわる〜い、どこ向かって動いてるの〜?」



そんなこと言う僕の方があたまわるーい、なんのためにメスガキごっこしてんのー? いやホントに……。



「ナイフだけじゃつまんないよね〜? じゃあ魔法だって撃ってあげるよ〜? ライト、あっはは! ぜーんぶ受け止めてくれてる〜! やっぱキミおっそいね〜? その天下取れるよ〜?」



遅いの天下とはなんだろうか……と現実逃避をしてしまう。



「てか無駄に硬いね〜? ……さっさと終わってくれな〜い? 部屋に気色が悪いくらい湧いてくる茶色くて雑食性の、汚ったないし気持ち悪い茶色い昆虫みたくしぶといクセにドブから出たことのない蛙の糞尿みたいな見た目してて気持ち悪〜い」

:今なんて言った!?

:ドブから出たことのない蛙の糞尿……?

:その前もなんて言った……?



……何で僕はこんな……長ったらしいことを口走っているのだろう。口が悪いにも程があるだろう……。

というかゴキ……えっと、Gの一言で良いだろ。



「もしかしてまだまだナイフ喰らいたいの〜? それほど美味しかった〜? ならあと20本あるよ〜」



……美味しい訳がないだろう。何言ってんだ僕。



「あははっ! 光のナイフだよ〜、どうせなら一気に喰らわせてあげるよ〜」


ナイフにライトを放ち、刃が光属性を帯びる。それをスライムに向かって一気に投げた。閃光弾のように眩しく光り……


……その瞬間、何故かスライムは僕の目の前にいた。



「おぇぁっ!?」

:ユウちゃん!?

:大丈夫!?



また腹を狙われ、何かがまた口から出る。

……もう怒ったもんね!



今まで以上に強く、ナイフにライトを込める。強く込めすぎたのか、持ち手が結構熱いが、そんな事を気にせず投げる。



スライムに当たった瞬間、雷鳴のようなとんでもない音が聞こえ……



スライムは塵となって消えていった。



「や〜っと倒れた〜。……何で離れるのさ」



架夜と鈴那さんの方に戻ろうとすると、2人とも遠ざかっていく。

まぁ、当たり前か。あんな異常者っぽいメスガキの演技をしていたんだから……。



「……い、いや。何でもないよユウ……」

「そ、そうそう! 何でもない何でもない!」

「ふぅん……いやだから逃げないでって」

「逃げて……ないよ?」

「逃げてるじゃん!」

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