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異世界のお酒?

「ホストクラブ【るな】こんな日が来るなんて感動です」



 キューは、嬉しくてボロボロ泣いている。

 俺だって感動してる。

 だってずっと店を持つのが夢だったから。

 夢って、口に出せば叶うもんなんだな。



「キュー太、一緒に頑張ろう」

「はい、月さん。でも、何出すんすか?」



 キューの言葉に肝心なものを忘れていた。

 内装が出来上がり、食器も用意してもらったのだが。



……お酒だ。

 お酒がない。



「ミズはありますけどね」

「いやいや、ミズだけはダメだろうよ」

「ですよねーー」


 当たり前だ。

 どこの世界にミズだけを提供するホストクラブかあるんだよ。

 そんなとこあるわけないだろ。



「兄ちゃん達、何か困ってんのか?」

「あ、赤穂さん。あのですね」



 お酒が欲しいことを伝えると赤穂さんは、眉間に皺を寄せる。

 もしかして、ここにはお酒なんか存在しないのだろうか?



「お酒……。それって、どんな飲み物だ」

「どんなって……何かふらふらになるというか」

「ああ、それってシュビィのことかい?」

「シュビィ?」

「ああ、シュビィだ」

「それって買えますか?」

「ああ、買える。ただ、シュビィを販売する証明書ってのを取りに行かなきゃならない!シュビィを売りたいんだろ?」

「はい」

「じゃあ、提供する証明書ももらわなきゃいけないな。ちょっとついてきな!」

「はい」



 俺は、赤穂さんについていく。

 シュビィってのはいったいどんな飲み物なんだろうか?



「いらっしゃいませ」

「シュビィが欲しいんだけど」

「お店で提供しますか?」

「ああ、彼がな」

「じゃあ、提供証明書をご提示ください」

「それが、持ってないんだわ」

「それでは、証明書の取得ですね」

「はい」

「それでは、こちらに行ってください」

「ありがとう」



 赤穂さんは、店員から紙のようなものをもらってくる。

 シュビィを提供するためになるように書類か何かを書くのだろうか?



「じゃあ、行くぞ」

「はい」



 赤穂さんに言われて歩く。

 俺達の住んでいる場所とは違って、ここは自然と共存している。



「ここだな」

「ここっすか?」



 キューが驚きながら辺りを見渡している。

 一緒にやってきた場所は、樽のようなものがたくさん並んでいた。

 ワインとかビールのような飲み物だろうか?

 


「どうも」

「シュビィの提供証明書が欲しいんだ」

「どちらが取得しますか?」

「彼だ」

「わかりました。それでは、お待ちください」



 まだ人間に近い顔をしている。

 耳が尖っているからエルフ族ってやつだろうか?

 俺も、キューと同じように順応してきたんだな。




「こちらがシュビィになります。まずは、味見をしてみてください」

「はい」


 シュビィをもらって匂いを嗅ぐとツーンと酸っぱい匂いが鼻をつく。

 ヨーグルトみたいな感じだろうか?

 色は、やや白濁している。



「いただきます」

「どうぞ」

「ゴクッ……オェーー」



 口に含んだ瞬間。

 猛烈に吐き気が襲ってくる。

 何だ、この気持ち悪い液体は……。

 こんなものを俺の店で出して、客に飲ませるだと!!



「ふざけるな!こんなの出せるわけないだろ」



 俺の言葉に赤穂さんとキューは困った様子を見せる。

 

 

「飲ませてみろ」



 赤穂さんの言葉に「あなたも提供証明書を取得しますか?」と尋ねてくる。



「いや、取得しない」

「それでしたら、味見はご遠慮ください」

「それは、何でだ?」

「こちらは、シュビィの提供証明書を発行するために必要なものになります」

「これが?だったら、俺はこんなもの提供しなくていい!キュー、赤穂さん行こう。もう、ミズでいいから」

「そうか?」



 俺は、シュビィの提供証明書をもらうのをやめることにした。

 だって、こんな不味いものを出したくはない。

 俺は、ずっとNo.1だったんだ。

 こんな不味くて気持ち悪い酒を出すぐらいならミズを渡して、トークを磨く。

 そっちの方がましだ。


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