なろう限定書き下ろし4
ポイズン書店一号店のポージーズキッチンは大勢の女性客で賑わっていた。
熱々のフライドポテトを幸せそうに摘まむ文学少女。ナイフもフォークも使わずに手で持ってできたてのハンバーガーにかぶりつく貴族令嬢。
ふーむ、全員が己の欲望をさらけ出している。元々ポイズン書店はそういう場所なだけに、食に関しても開放的になれるということかもしれない。
あちらではチーズケーキ先生がチーズバーガーを食べているし。
……うん? なぜ人気作家の先生までこんな場所に? あ、今日は新刊の発売日だっけ。それでチェックがてらバーガーを……、にしても夢中で食べてるな。
私はチーズケーキ先生が座る席にそろりと近付く。
「先生、書店にいらっしゃるのは珍しいですね……」
「じょ、女王様! ……はい、普段は自分の本が出ても足を運ぶことはないのですが、今回は店内にジャンクの殿堂がオープンするとあって」
「ジャンクフード、お好きなんですか……?」
「司書時代は、お昼はいつもこういう物を食べていました。特にチーズを使った物に目がなくて、……実は、チーズケーキよりチーズバーガーの方が好きです」
……控え目にしてチーズケーキという筆名だったのか。
バーガーよりケーキの方がなんか作家っぽい感じはするよね。いや、やっぱり私にはよく分からないかもしれない。とにかくさすがBL界の巨匠だ。
何とか自分を納得させていると、チーズケーキ先生がバーガーを食べる手をピタッと止めた。
「やはりこのチーズバーガーは……、かなりのこだわりを持って作られていますね!」
……へぇ。
割とどうでもいいことだけど、開発したポージーに先生の言葉を伝えてあげた。するとシマリスは興奮した面持ちで語り出す。
(さすが巨匠、気付きましたか……。そう、このポージーズキッチンのジャンクフードは全て素材にこだわっています! とりわけチーズバーガーは四種のチーズをブレンドした自信作!)
ピョンピョン跳ねて熱弁をふるうポージーにチーズバーガー先生は興味津々だった。
「契約獣さんは何と?」
「このシマリスは現在、ジャンクフードについて熱く語っています……」
「ぜひとも拝聴したいです! 女王様、通訳を!」
えー……。
(私も巨匠の見解を伺いたいです! リディア、通訳を!)
えー……。
私はBL作家とシマリスの間で、自分は全く興味のないジャンクフード談義を延々と通訳するという空虚な時間を過ごすことになった。
……私、もう帰っていいかな?
チーズケーキとチーズバーガーでSS一つ書けるかと試してみた結果、こうなりました。





