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水洗トイレとともに異世界に飛ばされたら、美麗な騎士様に拾われました。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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43/206

43:記載に嘘はない。

 



 入口すぐの左手側に階段があり、そこを登っていく。

 二階はロフトのような感じ――吹き抜けって言うんだっけ?――だった。

 登るよう言われた階段は、手すりがあるだけのものなので、一階の様子が丸見え。

 チラチラとこちらを見て、ヒソヒソと小さな声で囁いている。明らかに何か噂をしてる。

 騎士団と冒険者、仲悪すぎない? こんなに警戒されるとか聞いてないよ。

 このままの勢いで二階に行って大丈夫なのかと、さすがの私もチキンになるってもんだ。

 

 そして二階に到着すると、やっぱり同じような空気ではあった。そも、二階から一階が見えてるしね。


「エアリス様、本日はどういった御用で?」


 ロングの白髪に、鼻下にハの字と顎ピョロヒゲのおじいちゃんがいた。なんというか、印籠を出しそうな好々爺感。

 一番奥にある偉そうな席に座ってるから、たぶんギルド長的な人だろうと思っていたら、ビンゴ。


「ルコ」


 スッと椅子を勧められたので座ろうとしたら、ちょっとお高めの料理屋さんみたいに、イスを引かれて、座るときにはスッと動かされた。

 場違い感が凄いが、エアリスくんは貴族だから、基本的にこうするのかもしれない。会議場ではなかった気もするが。


 エアリスくんがギルド長と声をかけつつ書類を二枚渡し、説明を始めた。

 どうやら一枚は、騎士団が私を保護観察対象にしているというものらしい。

 残り一枚は、登録するための書類。


「エアリス様、記載に嘘は――――」

「ない」

「…………二十八?」


 どうしてこうも、年齢を連呼されるんだか。

 そんなに私って童顔だったっけな? いや、普通に普通だよ。アジア系、恐るべし。


「ジローと同じ国の出身だそうだ」

「なんと! そういう種族なのですな」


 いやまぁ、そうなんだけどね。他人に言われるとなんとなく、攻撃力が高いなと思った。


 登録自体はすぐに終わった。

 何も書かれていないクレジットカードみたいなものを渡されて、説明を受ける。

 魔力を流すと、カード面に文字が浮かび上がる仕様らしい。


「ほむん? ……ほむん」


 流してみろと言われ、流し方など知らんと堂々と宣言した。

 私が流せるのはトイレの水くらいだ。


 エアリスくんが慌てて説明してくれた内容によると、体中に張り巡らされた血管をイメージするといいかもしれないとのことだった。そして身体の中心から指先に移動していくような――――。


「うぉっ、出た出たっ! 出たよ!」


 なんか便秘解消したくらいの勢いで喜んでしまった。カード面に浮き上がった文字に喜んだだけだからねと、謎の言い訳をしていたら、エアリスくんが机に突っ伏してカタカタと震え出した。

 大丈夫かね? 何かの病気かね?




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

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