21:高反発枕 vs ……?
◇◇◇◇◇
うーん。ううぅーん。
なんか、硬い。枕が、とてつもなく硬い。
高反発枕的な強い弾性がある。
頭をグリグリと動かして、シンデレラフィットする場所を探すが、全然見つからない。
「んあ……ふぁぁぁ…………」
目蓋をゴシゴシ擦りながら、パチクリと目を開いた。
「あえ?」
いつの間にか寝袋から出ていた。しかも、大の字で寝ていた。エアリスくんのお腹を枕にした状態で。
「……おはよう、ございますっ」
「ん…………おはようございます」
目の下にくまを浮かべたエアリスくんに挨拶しつつ、ごめんねと言うと、苦笑いされてしまった。
寝相、そんなに悪くないはずなんだけど。知らない環境だから? いやほんとごめん。
眠れなかったよねと聞くと、また苦笑いされた。
「…………ゼファー、何も言うな」
「ブフォッ」
エアリスくんの肩に腕を置いた顎ヒゲおっさんが、吹き出しつつ満面の笑みで私を見てきた。エアリスくんはそこはかとなく不機嫌。
――――私のせいだよね?
「目の下、真っ黒だけど……大丈夫? 馬、乗れる?」
「大丈夫ですよ。ルコのせいではありませんので」
「あぁ、自分のせいだよなぁ?」
なぜか二人ともにフォローされた。明らかに私のせいなのに、なんでなのよ。
エアリスくんは、ニヤニヤしてる顎ヒゲを睨んで、肩に置かれた腕を投げ捨てていた。
「さっさと朝食を取ってください。出発しますよ!」
「おいおい。俺は朝方まで夜警してたんだぜ? ひでぇなぁ」
そこでふと気付いた、私は夜警しなくてよかったんだろうか? エアリスくんはしなくてよかったんだろうか? たぶん、ずっと枕にしてたよね?
「保護した女性に夜警はさせませんよ!」
「あ、そうなの?」
少人数だし、頭数に入れられても良かったんだけど。まぁ、役に立たないか!
ご飯の準備も、相変わらず役に立たなかった。またもや材料を刻む係だった。
「いやいや、あのトイレがあるってだけで、マジで大助かりだったからな? なぜか、煌々と照る……『電気』だっけか? アレ、マジで凄いからな!?」
「そうそう! めちゃくちゃ明るいし、安全に用をたせるし、本当に助かりましたよ!」
珍しくゼファーさんが普通に優しいことを言ってくれた。騎士の面々も。
この世界の人って、本当に優しいなぁって感動してたら、最初に盗賊に襲われたの忘れていないか? とゼファーさんに言われた。
顎ヒゲめ。なんで今日はまともなことばっかり言うのよ。
調子が狂うなぁ。





