194:やりたいこと。
色々と試したいことをやっているうちに、そこそこいい時間になった。
明日こそ一緒に朝ごはん食べようねと約束して、ユニットバスを収納。
部屋に戻る際に、エアリスくんがそっと抱き寄せて来た。
「ルコ、今日は本当にすみませんでした」
「んー?」
「不安にさせましたよね。これからは絶対にしないと誓います」
そうしてゆっくりと重ねられた唇は、とても甘く感じた。
朝起きて、ササッと着替えて、ダイニングでエアリスくんと挨拶。
おはようって、いい言葉だなぁと思う。
「ルコ、荷物の片付け等は?」
「終わったよ」
今日はちょっと真面目にこの世界の言葉の勉強。休んで忘れ掛けてるとこでもう一度頭に入れて……と繰り返して行くうちに少しずつ覚えていけるとは思うんだよね。結局、言語とかって繰り返しの勉強法が一番な気がするし。
「また執務室に来ませんか?」
「んー、今日はちょっと真面目に勉強するよ」
やりたいこともあるしね。
お誘いを断られてしょんぼりしているエアリスくんに、夜は何時に帰ってくるか聞いた。
別に何時でも帰って来る時間さえ知れたら良かったんだけど、今日こそはちゃんと定時に帰ってくると約束してくれた。そういうところが凄く良い子なんだよね。ありがとうと伝えると嬉しそうに微笑むところも可愛い。
玄関でエアリスくんを見送って、部屋で真面目に勉強をした。お昼までは。
普段使わない脳みそを使うと凄く疲れる。
一時間ほどお昼寝をしてから、行動開始。
侍女さんと執事さんには、今朝エアリスくんに内緒で話をつけておいた。
「おじゃましまーす」
一階の奧にある、使用人スペースの一角の厨房にお邪魔する。
そこには料理長さんと、キッチンメイドさんが二人いた。通常は三人で回しているらしい。
住んでいた主人はエアリスくんだけだけど、使用人さんたちのごはんも用意しなきゃだから、三人って結構ギリギリだなぁと思ったら、そうでもないらしい。
「それぞれ休憩時間が異なりますから、そこまでバタバタはしないんですよ」
――――ほほう。
それならば、キッチンの一角を借りてもそこまで邪魔にならなさそう。ちょっとホッとした。
「こちらが食材庫になっております。お好きに使われて構いませんよ」
「古い食材はどっち側?」
「へ……あ、手前側です」
食材庫の中は綺麗に整理されていて、よくわからなかったので聞いたら、何故か驚かれた。普通に古いのから使いたくない?
――――さて、始めますか!