191:ここから本番。
エアリスくんの髪を乾かし終えて、ここからが本番。チュッチュじゃなくてね。
「でさー、使った感想ってどう?」
「そうですね――――」
お湯の温度を操作できることや、シャワーはとても便利だったそう。だけど、やっぱり湯船にお湯が溜まるまで待つのは、ちょっと寒かったらしい。
「手持ち無沙汰、という感じもありましたね」
「あー。そうよね。ぼーっとするだけだもんね」
元の世界には、お風呂場で読む用の本とかあったっぽいんだよね。水に濡れてもいいやつ。
あとは壁面テレビ……え? イケる? イケたら……私ずっとお風呂に入ってそうだな…………いかん、ちょっと余計なことは考えないでおこう。
いまは、やろうと思ってたことを。目の前のことを。
「とりあえず、備品として何が出せるか試していきたいんだけど、付き合ってくれる?」
「ええ、もちろんです」
とりあえず、シャンプーとかは横に置くとして。
髭剃りとかってどうなんだろう? 充電式なのなら、中で充電して、部屋の外で使えるよね?
ちょっとやってみよう。
ユニットバスに手を当て、テレビの宣伝で見てたやつを想像する。なんか首がグリグリ動いて、三つの丸いジョリジョリするとこが付いてるやつ。電動シェーバーって言うのかな?
とりあえず、充電コードは壁から出て来ているところも。
「はてさて……あ!」
ドアを開けると、小さめ洗面台の横に髭剃りが充電スタンドに立ててあった。
早速取ってボタンをポチッ。ブィーンと振動を始めた。
「なっ、なんですかそれは!?」
「髭剃りだよ?」
エアリスくん的に、髭剃りはシャキーンとなったほぼ凶器にしか見えないカミソリらしい。
電動シェーバーの利点を話す。テレビでふわっと聞いてたやつをだけど。
「なるほど。使ってみても?」
「いいけど、生えてないよね?」
「……結構生えてきてます」
おや? っとエアリスくんの頬や顎を触ってみると、少しふわチクとした手触り。
「髭やわらかっ!」
びっくりした。こんなソフトな髭ある!? ってくらいにふわっとしていた。
とりあえず、肌に当てるだけでブィーンと剃れると思うから、どうぞと手渡した。
エアリスくんが顎に当てると、電動シェーバーからジョリジョリと音がしてきた。本当に生えてたんだな。あまり生えにくいらしいけど、夕方にはやっぱりちょっと伸びてくるらしい。
そういえば、電動シェーバーだとしっかり深剃りしてくれるから、夕方もサラツヤとか言ってたな。
そこら辺もちょいと検証してもらおうかな。