189:水も滴る……。
エアリスくんの部屋の窓際にあるレターデスクたるものを借りて、ユニットバスで出せそうなもの、出したいものリストを考えた。
先ずは、やっぱりシャンプーとコンディショナーだよね? 私はうねり髪対応のしっとりタイプがいい。
エアリスくんはどれだろう? サラサラタイプかな?
ワクワクとして考えていたけど、ふと思った。今日ヘアケア用品を買ってもらったばっかなんだよね。しかも沢山。
それなのに当日に異世界のもの出すって、なんか嫌だな。リストは作るけど、暫く出さないでおこう。
それら以外で出すとなると、やっぱりドライヤーとかだよね? いま出してるユニットバスの中にもドライヤーがあった。なんか安っぽいやつ。
どうせならマイナスイオンが出てきて、風力の調節とか細かく出来るやつがいいよね?
あとは、化粧水とかか!
さっきチラッと見たアメニティ入れの中には、歯ブラシとミニミニな歯磨き粉、ヘアバンド、髪ゴム、折りたたみブラシ、T字カミソリ、一回用の洗顔料と化粧水があった。
たぶんビジネスホテルセットだな。
ということはだよ? それらの上位版は、必ず出てくると言っていい。
あとは、どのブランドにするか、どんな派生商品を出せるかになってくる。
先ずは、ユニットバスのステータスを確認することにした。
ステータスで唯一間違えずに読める場所がある。備品の枠だ。白丸と黒丸になるから、見間違えようがないもの。
枠数は五枠までなのかも気になる。
ユニットバスの扉にそっと手をあて、ステータスを表示する。
備品枠が十に増えていた。
「おお、マジか。いろいろと試せるじゃん」
予想外の増加にちょっと嬉しくなった。
シャワーの音は止まっているから、たぶん今は湯船でふわふわしているくらいだろう。
エアリスくんにはゆっくりといつも掛けてる時間で入っていいからねと伝えている。どうせならちゃんと疲れも取って欲しいしね。
レターデスクに戻って色々とメモをしていたら、ユニットバスのドアがガチャリと開いた。
風呂上がり、髪がしっとりと濡れたエアリスくん、ごちそうさま案件だった。水も滴るいい男とはこれか。くっそ……勝てる気がしない。
「とりあえず、髪乾かそうか」
ユニットバスに手を当てて、最新式のドライヤー出てこい! と願ってみた。