183:商人さんから買う。
なかなか豪華なお昼を済ませ、ボディケア類などの商人さんをサロンで迎えた。
服は流石にちょっと豪華そうなワンピースに着替えた。
「お好みの香りはありましたかな?」
目の前に並べられたのは、香水瓶のようなもので、その中から気に入った匂いの製品を出してくれるそう。
どの世界でもフローラル系やスパイス系ってあるんだなぁと思いつつくんくん。
基本的に好きなのは柑橘系だった。
「あ……これも好き」
金木犀のような匂いがするものがあった。
オリーブ科の樹木の花から採られた物だそう。もしかしたらこの世界にも金木犀があるのかも?
「では、これらを使った製品をお出ししますね」
テーブルの上を一度片付け、並べられたのは、石鹸、シャンプー、トリートメント、ヘアオイルやボディクリーム、化粧水など。
侍女さんが、後からそっと全種類お買い求めくださいと伝えて来た。まじか、すげぇ値段になんね? とは思ったけど、引きつった笑顔で頷いた。たぶん、誤魔化せてない。
テーブルに出されていたのは六種類の香りだった。
「とりあえず、好きなの二種類でもいい?」
「三種でお願いいたします」
三種類も使うのかという疑問はあるけど、侍女さんの圧には従っておこう。
「じゃぁ、これとこれとこれ、お願いします」
「お買い求めありがたく存じます」
金木犀ぽいのとグレープフルーツっぽいのと、オレンジと何かの花っぽいやつを選んだ。
商人さんニッコニコだ。
でもそうか、わざわざ呼び出しといて、石鹸一個でいいとか最低か。呼び出した時点で、沢山買えって話なんだよね。
その後も、バスローブやタオルや浴室用スリッパなど、すでにあるのに? と思わなくもないが、可愛らしいデザインの物をいろいろと見せられて、侍女さんと相談しながら買うことになった。
商人さんが帰ったあと、侍女さんたちが浴室で楽しそうに買ったものを並べている。
なんとなく、彼女たちの楽しみの一環でもあったんだなと理解。だがしかし、風呂は一人で入るぞ派閥である。
「ヘアオイル等の手入れくらいはさせてくださいませ」
「むぅ……はぁい」
逃げられないかなと思いつつも返事をすると、クスクスと笑われた。
これからエアリスくんと夜会などに参加することになるから、そういうときの手入れは任せてほしいとのことだった。それは確かにお願いしなきゃだ。
「うん。お願いします」
「「はい!」」
いい笑顔で返事された。
こうやってお互いの希望を確認しつつ、仲良く過ごせるのはとてもいいなと思う。