18:騎士さんたちの待遇。
人が怒ってるのに、騎士団の面々は、トイレが洗浄魔法ってどういうことだと気にしだした。
くっそ。本当にデリカシーがない。
自分のことは基本棚上げするが、ほんっっっっとうに、デリカシーがないっ!
「ルコ、ご説明していただけますか?」
「丁寧に言えば教えると思うなよぉぉぉぉ! 教えるけどもっ」
「あはははは! ルコは優しいですね」
くそぉぉぉ。イケメンの柔らか微笑み攻撃は私に効く。
とりあえず、放置してたウォシュレットの説明をする。
お尻を温水で洗浄されても……別に? といった反応が多かったが、侮ることなかれ。実は男性の方が使用率が高いんだぞ。当社比だけども。
「今度クソしたら使ってみるわ」
顎ヒゲは、だれよりもデリカシーなし男だな。
とりあえず、なんか騒いでごめんねとみんなに謝りつつ、夕食の準備を手伝った。
ほぼ、材料を切るだけだったけど。
「うんまー! めっちゃ美味しいぃぃぃ。え、すごっ。カレルくん、料理上手なんだね」
一番最初にトイレを借りていた青年騎士――カレルくん。シェフなみの料理の上手さだった。
実家が定食屋らしい。
「騎士様って、貴族の子息とかじゃないんだ?」
「あー。そういう隊もありますよ。王族の近辺を護る近衛とかは、そうですね」
「ほほう?」
わりと元の世界と似たりよったりの感覚なんだな、と思っていたら、カレルくんがちょっと厳しい感じの表情になった。
「私たちの隊は、混合といいますか、隊長とゼファー副隊長、それからあそこにいる二人が貴族です。ルコさんは、貴族狙いですか?」
「……なんじゃそら? 貴族狙いって?」
「っ、あ……そうですね。知っているわけがないですよね」
カレルくんが気まずそうにしているけれど、そういうのいいから教えてくれと言うと、きょとんとされてしまった。
気分を悪くしてないのか、と。
言われた意味がわからないんだから、気分を悪くするも、悪くしないも、わからないのだよ。説明を、せい!
「えっと…………」
「俺たちの隊は、ちょっと特殊なんすよ」
カレルくんと同期だという青年騎士が、言い淀んでいたカレルくんをフォローするように、『貴族狙い』の説明をしてくれた。
騎士団での下働きは、平民の中でも人気の仕事らしい。それは、騎士団に貴族の子息が多く所属しているため、恋愛関係に発展すれば、玉の輿まっしぐらだかららしい。
ただ、隊によっては平民ばかりの隊や、貴族のみで編成されている隊もあるそうだ。そして、なんだかんだと待遇に違いがあるらしい。
「俺たちの隊は、基本的には戦闘特化で先発隊なんで、めちゃくちゃ人気がないんすよ」
「あー」
危険な場所に一番に送られるし、遠征も多いから、彼氏や結婚相手として、不人気なのか。
「どの世界も、肉食女子は強いもんね」
一人で納得していたけれど、私たちの会話をコソコソと聞いていた騎士さんたちは、頭にハテナマークを浮かべていたらしい。