165:銀行って何?
銀行があると聞いて、どういうシステムなのかの説明をしてもらった。
私が知っている銀行ではなかった。そもそも銀行って、何? どういう意味なの? 『銀』と『行』がなんで合体したのよ? スマホで調べたい! 無理だけど。
この世界の銀行は、貸金庫のようなもので、小切手帳でお金を動かすシステムらしい。年間契約で、一枠は預け入れている金額の〇.三パーセントらしい。
預け入れ額って、基本は上下するのにどうやって金額を決めているんだろうかと思ったら、初回の契約金は一万ルドで、翌年からは前年の預け入れ金額の平均値から割り出すそう。
「ややこしい!」
「はははっ。ん、ややこしいですが、銀行が全てやってくれるから、私たちは支払日に払って、動かしたい金額を伝えるだけでいいんですよ」
それって結構膨大な量の情報管理になりそうだけど、パソコンがないこの世界でどうやってるんだろう?
いやまぁ、説明されたところで理解はできないだろうから、聞いたところで……だけどね。
とりあえず、エアリスくんが騎士団長に報告しに行くそう。それから契約書を用意するので、執務室で大人しく待っていてと言われた。
私、基本的に大人しく待っている派なのに、なんでだ?
応接スペースで真面目に勉強していたら、ゼファーさんが迎えに来た。そういえば見習い騎士さんたちに混ざって、勉強するんだった。
「あれ? エアリスは?」
「騎士団長のところに行きましたよ」
「んだよ。タイミング悪ぃなぁ」
エアリスくんは直ぐに戻って来そうにないし、ゼファーさんにマチョォを飛ばしてもらった。
「んじゃ行くか」
「はーい」
騎士団舎の中をぐねぐね移動して、自分が建物のどこらへんにいるかなんて分からなくなった頃、勉強部屋に到着したと言われた。
「よぉ、お前ら! 今日は特別ゲストを連れてきたぜ」
勉強部屋には十代前半に見える男の子たちが七人いた。部屋の前の方は黒板になっていて、小さな教室のようだった。
そして、部屋への入って行き方からゼファーさんが教師役なのかと不安に思っていたら、ゼファーさんより少し年上くらいの男性が部屋に入ってきた。
「おう、コレがルコだ。頼むぜ?」
「承知しました。ルコさん、よろしくお願いいたしますね」
「本日は急に飛び入りで参加してしまい、大変申し訳ございません。こちらこそよろしくお願いいたします」
先生役のイバンさんに挨拶をしていたら、ゼファーさんに硬すぎるとツッコミを入れられた。
確かに堅苦しいけども、初対面でお世話になるのに、ゼファーさんみたいな扱いは出来ないでしょうが!