162:合掌。
スキル内のスキルをあらかた確認し終え、ちょっと把握は無理だなと判断した。
結局は私が欲しかったり記憶にある何かしらが具現化するっぽいから、妄想すればいいだけだ! たぶん。
「お前、解決の仕方が脳筋だよな」
「失礼な! 頭脳派ルコちゃんをナメんなよっ!?」
「あはははは。ふたりとも頭脳プレイとか無理よね」
レイラさんがケタケタと笑いながら、『乙女の秘密』で出てきたポーチをちゃっかり自分の横に置いていた。
「それ、拡張されてませんよ?」
「後付させればいいだけよ。このポーチ可愛いもの。もっと出しなさいな。売ればボロ儲けよ?」
普通に百円均一とかで売ってそうなやつだけど。レイラさんはかなり気に入ったらしい。
可愛いかと言われれば可愛いけど、拡張を付与するのってどのくらいするんだろ? それを踏まえて販売金額決めるんだよね?
「んー? この大きさなら、二倍拡張くらいなら五千ルドよ。四倍なら三万くらいね」
「たっか! ばか高い! それを何円で売れと!?」
「えん?」
「あ、ルドっす」
ほぼ金額のズレがないからつい『円』って言っちゃうんだよね。ルドルドルドルド……ドル? いや、ルド。
「ポーチの値段も入れるなら、四倍付与にして五万で売れるわよ?」
ボッタクリだよ。そもそもタダで出て来てるやーつだし。なんかすごく詐欺感があるんだけど!?
レイラさんは私の力で出してるんだから、それに対して値段をつけるのは当たり前であり、異世界ベースのものならばより付加価値が上がるという。
魔力を1しか消費しないのに? とは思うけど、それを否定すればそれで生計を立てている人さえ否定するので……郷に入っては郷に従え! だな!
「一攫千金狙っちゃう?」
「え、めんどいんでしません! トイレ設置して、放置でお金儲けしたい! 働かずに儲けたいっ!」
「煩悩にまみれてるわね……」
不労で所得がしたいんじゃぁぁぁ! と力いっぱい叫んでおいた。
レイラさんにその思考回路は貴族寄りよねと言われて、貴族が羨ましくなった。が、それに連なる人付き合いや諸々の諸々が諸々あるらしい。
「貴族めんどぉぉぉぉっ!」
「そうなんだよ。めんどくせぇんだよ! まじで!」
「あら? 私と結婚したことを後悔してるの?」
レイラさんの目がマジだ。ゼファーさんがめちゃくちゃ慌ててるな。これはそそくさ退散が最善策!
「んじゃ、おやすみなさぁぁぁい!」
早足で逃げた。
明日の朝、ゼファーさんが死んでたら手を合わせてあげようっと。