158:イチャコラしたら。
最終的な考えとして、エアリスくんと婚約関係になるのは構わない。
まだまだお互いを深く知る前だし、一緒に生活できるかとか、なんにもわかってない。なんとなく恋に恋してるような浮かれ具合なのに、ガンガン進んでいる怖さもある。
「この気持ちは、絶対に揺らぎません。どんなに幻滅したり、喧嘩しても、やっぱりルコが好きだという想いに戻るという確信があります!」
エアリスくんがドヤ顔でそう言うから、信じてみようと思う。
「んじゃ、いまから婚約者ね!」
「軽っ……あの、婚約証書にサインしたりありますし、貴族院に届け出もしなければなりませんので、いま直ぐは無理かと」
「はぁ? 貴族めんど――――」
エアリスくんといろいろと認識の違いをすり合わせつつ、今後のことについても話し合った。
ゼファーさんの家からこんだけ近いんなら、別にこのままで良くない? っていうのが私の希望。
エアリスくんは、いますぐに引っ越して来て欲しいというのが希望。
「なぜ、そんなに離れて暮らしたがるんですか」
「…………いちゃいちゃしだしたらさ、止まらなくない?」
わりと好きなんだよね、スキンシップ。そんでたぶんあっちの世界の感覚で触れ合ってたらさ、エアリスくんなんか爆発しそうだもん。
一応、結婚後に初夜たるものをやるんでしょ? 貴族って。
「っ――――ルコの煽りがエグい!」
「ほらぁ、耐性ないじゃん!? トイレットペーパーくらい溶けやすいじゃん!?」
二十四時間ずっと一緒にいたら、絶対にちょっとボーダー越えのイチャコラとかしちゃうじゃん!?
「た…………耐えますから」
「信用ならんっ!」
「そもそもですよ? 貴族的なルールなので、わざわざルコに当てはめずとも……」
「エアリスくんは貴族でしょうが。エアリスくんの名前に泥を塗るようなことはしたくない!」
だからこそ、断固拒否だ! と言うと、エアリスくんが頬を染めてモジモジしだした。
なぜにそんなにもそこいらの女子よりも可愛く頬を染められるのか。
いつもなら、美人の頬染めご馳走様です案件だが、今日はなんとなくモヤッとする。
「エアリスくんがビシッとしないから、余計に信用できないんだよ?」
「っ……はい」
しょんぼりさせてしまった。
「婚約証書が受理されたら、同棲とかはありなの?」
「はい。通常は結婚直前に同居を始めますが、婚約期間を一緒に生活してみて、最終結論を出す場合もあります」
「それなら…………まぁ、ちょっと早めの同居くらいなら、ありかな?」
「っ! はい! それが良いです! そうしましょう!」
前のめりで言質を確保しようとしてくるエアリスくんは、まぁまぁ可愛かった。