表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

156/206

156:ルコは?

 



 エアリスくんのお屋敷は、ゼファーさんのお屋敷より少し小さめ……と言っても、メゾネットタイプのアパート三個分くらいはありそうだけど。

 ほぼ部屋を使っていない案件だな?


「ルコ様、ようこそおいでくださいました。エアリス様、おかえりなさいませ」

「サロンは?」

「用意できております」

「ん」


 ちょっとゴツめの執事のような人が恭しく礼をして迎えてくれた。白いおヒゲはカッコイイけど、なんというか猛者感が凄い。執事服のシャツの胸がパツンパツンしてる。

 エアリスくんに屋敷内を案内してもらいつつサロンに向かったけど、執事さんが気になりすぎて屋敷内をどう歩いたか覚えていない。


「さ、ここですよ」

「おおん、ありあと」


 三人掛けのソファを勧められてそこに座ると、リーチゼロで隣にエアリスくんが座ってきた。


「近いよ」

「…………恋人になったこと、忘れていませんか?」

「おあっ! おん、隣に座るよねっ!」


 慌てて全肯定の姿勢を取ったけど、じろりと睨まれつつ顎クイッをされた。


「ななななにをなさりやがりますのかね?」

「すっかり忘れているし、ずっとトマスを気にしているし、私に集中してくれると嬉しいのですが?」


 ちゆ。軽く触れるキス。

 人前でするなと怒りたかったけれど、サロン内にいたはずの執事さんはいつの間にか消えていた。


「私たちの未来の話をしても?」

「ふぁい…………」


 エアリスくん的には、急かしたくはないし無理強いもしたくはないそうだ。そしてまた、キスをしてきた。今度は深めのやつ。


「んぷ。話し合いにキスはなくていいんじゃ?」

「…………ふうん?」


 ――――あ、やべ。


 エアリスくんの目が据わっている。ものすごく据わっている。


「聞きたくもなかった過去の男のことを、ああもハッキリと公表され凹んでいたら、今度は煽りに煽ってきたのは誰ですか?」

「煽ったつもりは毛頭ござうぃませんぐぁっ」


 腰に腕を回してぐいっと抱き寄せられたせいで、声が裏返ってしまった。


「ルコ」

「へい」

「私はちょっと怒っています」


 なんとなくそんな気はしている。謁見室のときから、漏れ出る空気がなんだか暗かったんだよね。笑ったり話したりしてても、ちょっとだけそれが出てて、本当は機嫌が悪そうだなって。


「好きな相手に、仕方なしに結婚を決められて、喜ぶ男がどこにいると?」

「っ……ごめんね」

「ルコ、私は本気で好きなんです」

「うん」

「貴女に愛されたいんです」

「うん」

「私は心から望んでいるんです、貴女と結婚したいと。ルコは?」


 真剣な顔で聞かれてしまった。

 いままでは誤魔化したり、茶化したりしていたけど、ちゃんと真面目に答えないと、本当に傷付けて後悔することになりそうだなと、反省した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ