154:のんびり。
エアリスパパン曰く、なるべく後ろ盾は付けておきたいとのこと。
それで行くと、エアリスくんと婚約するのが一番早いらしい。
「ルコくん、エアリスのこと好き――――」
「思考をだだ漏らししてるかもですが、勝手に言われたくありません。怒りますよ?」
「うん、そうだね。すまなかったね」
私の心の中の考えは、私だけのものだ。
読まれるのは我慢するが、言われたくはない。特に、人への想いは。
「二人で話し合ってもいい案件ですか? それとも確定?」
「すまないが、確定しているんだ」
「ハァ……わかりました。それを踏まえて二人で話し合います」
エアリスパパンはそれでいいと言いつつ、何やら書類を数枚渡してきた。
読めないからそのままエアリスくんにパス。
エアリスくんは終始困惑した表情だったけど、まぁいい。後でフォローしよう。
住居はエアリスくんのところに移すよう言われた。直ぐではなくていいらしいので、ホッと一安心。
ただ、冒険者としては崖っぷちに立たされている。なるべく希望は汲み取るが、ソロだけはダメとのこと。
ボッチ冒険者なのに……。そして、パーティーメンバーには同性も必ずという条件がエアリスくんから足された。
「えー? 面倒だなぁ」
「お願いしますっ!」
「はいはい。もぉ、面倒だなぁ」
「二回っ…………」
エアリスくんが更にしょんぼりしていたが、無視でいいだろう。
しかし、本当に面倒なことになってきた。
パンチラ親子が断罪されて平和になるとかいうストーリーじゃないのかこれ。
「氷山の一角だと思うよ。君の能力はそれ程なんだと…………あぁそうか、理解はしているんだよね。ただ本気で使う気がないだけで」
「面倒ですもん。のんびり平和に生きたいんですよ」
彼氏とか出来ちゃったし? のんびりいちゃいちゃデートしたり、異世界系グルメに舌鼓打ったり、のんびり異世界堪能系の冒険したりしたい!
いまのはやりはスローライフなんだぞ!? たぶん!
「激しく口から漏れ出てますよ。のんびり……いいですよね」
次郎くんが呆れ顔だった。
そいや次郎くんは、忙しめの異世界堪能系騎士になってるね。
もしや、次郎くんものんびりしたかった派?