153:確かに、乙女の尊厳だけど。
まずもって、『乙女の尊厳』という名前が気に入らない。つか、なんて説明されてんのさ?
次郎くんの胸ぐらを掴んでガクブルと揺さぶった。
「えええっと、『公衆面前での失禁・脱糞を阻止する』です」
「バカにしてんのかぁぁぁぁぁ!」
「知りませんよ! スキルに文句を言ってくださいよ!」
「他のは!?」
次郎くんに読み上げてもらった。
『乙女の日々』生理用ナプキンを呼び出せる。
『乙女の囀り』音を流して排尿・排便音を誤魔化す。
『乙女の芳香』消臭剤・消臭スプレーを呼び出せる。
『乙女の嗜み』使い捨ての簡易化粧品を呼び出せる。
『乙女の接吻』口腔ケア用品を呼び出せる。
他にも色々とあるらしい。私、自分のスキルにバカにされてるくね? あと、どんだけ乙女言うねん。
いや、有り難いんだけどさ。生理用ナプキンとかまじで! 闇売買したいくらいにおすすめだし。
「ペーパーもすごいんですよね。あんなに柔らかくて肌触りがいいものはこの国にもこの世界にもないと思います」
「あぁ、『乙女の柔尻』ですね」
――――なんじゃそら!?
「トイレットペーパーを呼び寄せる。というスキル内スキルですね」
スキルの中にさらにスキルがあるとかいう意味不明さは置いておいて、『柔尻』ってなんやねぇぇぇん!
まじで、なんやねぇぇぇん! しりぃ!
まーじーでー、バカにしてるよね?
「ルコの柔らかいお尻――――」
「ちょぉ! そこに当てはめるなぁ!」
ボソリと呟いたエアリスくんの目の前に走って行って、ビンタ&腹パンした私は悪くないと思いたい。
エアリスパパンがガタブル震えながら、とりあえず今後の方針を決めていこうと言って……いるんだと思う。
「ふひひひっ……できればふふふっ、エア……え、ええエアリスとぶはははは!」
「ちゃんと喋ってくれません? 全然聞き取れないんですけど」
「んんんっ…………うん。ブフッ。ふはぁ。……よし!」
エアリスパパンが両頬をペシペシと叩いて、気合かなんかを入れていた。いいからはよ喋れ!
『乙女の〇〇』なんかいいものあったらください←