151:褒めていいんだよ?
エアリスパパンの執務室でのんびりお茶菓子を貪りつつお茶を飲んで次郎くんの到着を待った。
「おぅ、きたぜ!」
ゼファーさんがノックなしドアを開けた。そういうとこよゼファーさん。エアリスパパンは結構上の立場の人だよね? まじで自由すぎない? いやまぁ、人のこと言えないかもだけどさっ。
「緊急とのことですが――――あ、ルコさんの件ですか」
「へい。あ! 次郎くんありがとうね、手紙」
「いいんですけどね、あの気の抜ける絵はなんなんですか……嘘かもとか悩みましたよ」
いや、もし次郎くんに伝わらなかったらさ、絵で伝えないとじゃん? 画力の限界値を突破して、かなり上手に描けたと思うんだけど!?
火事場の馬鹿力とはこれか! って自画自賛してたんだけど?
「ルコにそっくりで可愛かったです!」
エアリスくんは全肯定ボットかなにかなの!? まぁ、嬉しいけどさ!
「で、ご用とは?」
「ああ、ルコのトイレについて調べて欲しくてね」
「…………能力のほう、ですよね?」
「んふふふ、ははっ、そうそう! すまない、紛らわしいな! ははははは!」
エアリスパパンが爆笑しているけど、次郎くんは普通に私のトイレ事情を調べるのか迷ったのか!? どんな羞恥プレイだよ。
とりあえず、ステータス開示して次郎くんに見せた。
「え……なんでこんなにレベルが…………」
「あー、攻撃力がバカ高い四人と遊んだんだよね」
「……え?」
剣聖親子とゼファーさんとエアリスくんだと話すと、次郎くんがなぜそんなにもピンポイントで最高峰をえり抜けるんですかとドン引きしていた。ゼファーさんとエアリスくんに関しては、勝手に来ただけだし。
「おやおや、これは…………おやおやおや…………想定外すぎますね……」
レベルが十八も上がって、出せるトイレの数は二十に増えていたんだけど、報告するタイミングを失っていた。ちょうどいいや、といま報告したんだけど、全員が啞然としている。
「あのレベルのトイレが二十も出せるように?」
「うん!」
凄いでしょ、褒めていいよ! とエアリスくんに笑顔を向けたけど、顔面蒼白。エアリスパパンは真顔だった。
「本当に、国を落とせるね」
「早急にルコの安全を確保しなければ……」
「いや、国とか落とさないよ? 面倒だよ!? 嫌だよ!?」
そう言うのに、エアリスくんも、パパンも、次郎くんも、難しい顔をしたままだった。