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142/206

142:しゃあなし!

 



 ◇◇◇◇◇




 なんかガッツリ寝こけてたなぁと、両手を前に出してうーんと伸びをして、妙な違和感を覚えた。

 あったけぇ。そして、なんか程よく硬い。腰痛い。何かに抱きついてやしないか?

 そっと頭を動かしたら、目の前に煌煌しいエアリスくんの顔。


 ――――ほへ?


 状況が掴めなさすぎてぽかーんとしていたら、首の後をガシッと押さえられた。そしてねっとりと重ねられた唇。


 ――――ふおおぉ!?


 割り入ってきた舌にビクリと震えたら、エアリスくんが慌てて離れていった。


「っ、すみません! ………………あの、頭痛は大丈夫でしょうか?」

「え……あ、うん。頭痛?」


 あ、そういえば治癒士さんに治癒魔法をかけてもらったんだっけね。だんだんと脳みそが働き出したぞ。

 頭痛というか後頭部痛はあったっちゃあった。

 なぜに頭痛の心配かと思ったら、頭蓋骨にヒビが入っていたと言われてちょいとビビったよね。

 そんなに痛くなかったよと言うと、悲しそうな顔をされてしまった。なぜに?


「痛みより、怖さが先にきていたんだと思います」

「怖さ……あっ。あー……」


 完全なる殺人事件現場みたいになってたもんね。

 いや完全にビビっちゃったんだっけね。一回寝たらスッキリしたのか、『まぁ、しゃぁなし!』って気分になってきた。

 …………死んでないよね? そこはちゃんと確認しとこう。


「っ……」

「え!? 死んでっ……!?」

「いえ、一応生きてます。証言は取らねばなりませんし」


 エアリスくんや、そのセリフはつまりは証言不要ならば……。という意味に取れるぞ?

 じっとりと見つめたら、視線を逸らされた。


 ――――おおん。


 いやまぁ、世界観の違いとかあるからね。特に戦闘が当たり前に職業として認められてるこの世界では、そういうこともあるんだろう。

 拐われた私を助けに来てくれたのに怖がってごめんねと伝えると、エアリスくんがふるふると顔を振り、肩に頭を乗せてきた。


「大切な人を拐われて焦っていました。それとともに、貴女に頼られて、有頂天にもなっていました」


 相手の力量を無視し、過剰に攻撃したらしい。まぁ、そうじゃないとああいう惨状にはならないよね。

 

 エアリスくんが頭を肩にグリグリと擦り付けてくる。


「おぅぅぅ、くすぐったいよ?」


 ――――どうした?


 ちょっと可愛いなと思いつつ、くすぐったさに身を捩っていると、エリアスくんが唇を首筋へと移してきた。

 チクリと感じる甘い痛み。

 

「ちょぉい?」

「無事でよかったです」

「うん」

「護れなくてすみませんでした」


 いや、そんな四六時中守れとかないから。こんなにも早く助けに来てくれただけで、めちゃくちゃ感謝してるから。そう伝えるけれど、エアリスくんはふるふると顔を振り、首筋をハムハムするばかりだった。


 ――――いやだから、くすぐったい!

 



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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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