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141/206

141:すやすやと眠るルコ。

 



 □□□□□




 すやすやと眠るルコをゆっくりと抱き上げた。


「そんなに大切なら、ちゃんと護りなさいよ」

「っ、分かってる」

「本人は我慢して黙ってるようだったけど、相当頭痛がしていたはずよ」


 大きなため息を吐き出して、セリーナがそう言った。ルコはそこまで痛そうにしてなかったのに?


「頭がい骨に、少しヒビが入っていたもの」

「――――は?」

「打ちどころが悪かったら、危なかったわよ?」


 膝から崩れ落ちそうで、慌ててソファに座った。

 未だ腕の中ですやすやと眠るルコを見つめる。モニュモニュと口を動かしている様子は、いつもどおりの可愛さだ。何か食べる夢でも見ているのだろうか?


「全然、そんな素振りなかったのに」 

「もしかしたら興奮から痛みが飛んでいたのかもね。とりあえずもう大丈夫だから、治癒院に戻るわよ?」

「ん、助かった」


 執務室から出ていくセリーナに再度お礼を言い、ルコに視線を戻した。


 膝の上で横抱きにしていたので、寝心地が悪かったのだろう。眉間に皺を寄せてもぞりと動きだした。

 慌てて膝に座らせるようにして体勢を整えると、私の首に抱きつくように腕を回してきた。


 密着した身体の凹凸(おうとつ)、じっとりとした温かさ、耳にかかる淡い吐息、甘く痺れるような匂い。

 どれもが脳の芯を痺れさせる程に官能的な刺激だった。


 ――――まずい。


 


 どれくらい時間が経ったのか。

 誘惑に耐え続け、脳が焼き切れるかと思った頃に、執務室の扉が勢いよく開いた。


「エアリ――――何やってんの? え? 執務室でヤるなよ。猿か?」

「……どうやったらそういう思考になるんですか。ちゃんと見てください。猿は貴方です」

「お? なんだよ。ルコは寝てんのか」


 わはははと笑うゼファーにイラッとはするものの、助かったのは助かった。

 

「静かにしてください。ルコが起きます」

「んあー。起こせ」

「なぜですか」

「陛下とお前の親父が呼んでる」

「――――っ」


 私だけではダメかと聞いたが、ルコも必要だといわれた。


「分かりました。少しだけ二人にしてください」

「……ヤるなよ?」

「ゼファー!」


 怒鳴れないこの状況で、ゼファーの冗談はタチがわるい。ゲラゲラ笑いながら執務室を出ていくゼファーを睨んだ。


 深呼吸をして息を整えてから、ルコの背中をトントンと叩いた。


「ルコ。ルコ……起きてください」

「んっ……んー、なぁにぃ……んんんー、ねむぃー」

「ルコ」


 何度か名前を呼ぶと目を覚ましてくれた。ルコが身体を少し起こしたことで、顔が間近まで迫り、あと数ミリで唇が触れる距離に。

 ルコがきょとんとしているのがあまりにも可愛くて、つい。

 首の後ろを支え、唇をそっと重ねてしまった。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


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脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

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