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140/206

140:治癒されて。

 



 エアリスくんの顔を、真っ直ぐに見れない。

 胸元を見たり、手を見たり、足を見てみたり。視線をどこに置こうか迷ってしまう。


「ルコ、私は――――」

「隊長、失礼します。治癒士が来られました」


 騎士さんが部屋に入ってきて、エアリスくんの言葉が遮られてしまった。

 エアリスくんは、なんでか寂しそうに笑ってる。

 理由を聞きたいけれど、治癒士さんが部屋に入ってきたから、更に聞けない状況に。

 

「治癒を始めますので、お座りください。怪我の状態によっては酷く疲れたり、眠気が強くなりますので、お手洗いなどは先に済ませておいてくださいね」

「はい、大丈夫です」


 治癒士さんは金髪の綺麗な女の人で、どうやらエアリスくんの顔見知りのようだった。


「セリーナ、助かる」

「いいのよ。怪我の状況は?」

「あぁ、まず――――」


 二人が私の首や頭について、そして首輪についても何やら話し込んでいる。暇だ。

 私は勧められたソファに座って足をプーラプラするだけ。何やら専門的すぎて、会話に参加できそうもない。


「――――変ね」

「あぁ。状況が合わないんだ」


 なんの状況だ。私にはなんも分からんぞい。ぼーっとしすぎてて、二人の話も聞いてなかったし。


「とりあえず、怪我の治癒を先にするわよ」

「ん、頼む」


 エアリスくんタメ口なんだ。なんかいいな。

 うむむ? もしや私は羨ましいのか? 嫉妬? んんんん? なんかよくわからん感情が、お腹と頭の中で渦巻いてて、モヤモヤする。


「先に首から治癒するわね」


 治癒士――セリーナさんが私の首に手をかざすと、全身がほんわりと温かくなった。そして徐々にではあるけれど、なんでか身体が重たく感じる。

 これが疲れたりするってやつなのかな?


「治癒士は、その人が持っている治癒力を、魔力によって引き上げているんです。私の能力で治癒しているわけではないのです。身体に無理をさせて治癒させているようなものなの」

「だから疲れたり眠くなる?」

「ええ。気分が悪くなったらすぐ言って下さいね」

「はい」


 首の治癒を終え、全身がなんとも言えないほどに怠い。うとうとしてしまいそうで、頬をペシペシと叩いて眠気を散らした。

 次に頭を治癒するから、ソファに寝そべるように言われた。後頭部だからうつ伏せでと。

 ふかふかのソファにうつ伏せとかさ、普段でも寝るよね? 治癒の効果なのか全身がぽかぽかするし、寝るよね? 一瞬で眠ってしまった私は、悪くないと思いたい。

 



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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

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