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136/206

136:焦るエアリス。

 



 □□□□□




 ゼファーからルコが拐われたと聞いて、助けに行くための隊を編成している時だった。妙に丸くて変な飛び方をする魔鳥が胸に突進してきた。


「お? ルコの鳥じゃねぇか?」


 この前ゼファーに飛ばしてきた魔鳥のフォルムと一緒だ。手紙というかメモだったが、開いてみると、中に文字と絵が書いてあった。


『けむたて!』


 読めない。なんだ『けむたて!』とは……。こちらの文字の他に、ルコの国の文字も書いてくれていたが、私には読めなかった。


「ジローに見せてみたらどうだ? 故郷が一緒なんだろ?」

「っ…………そうですよね」


 緊急事態なのに、ジクリとした嫉妬が沸いてしまった。手紙を握りしめ、ジローの執務室へ走る。




「は? けむたて? あ、こっちが本文ですね……」


 やはり『けむたて!』はこちらの言葉だった。まだまだ書けるようなっていなのだろう。そして、それはルコも理解していたようで、絵と母国語も一緒に書いたのだろう。きっと怖い思いを――――。


「えっと……『助けてー! さらわれたっぽい。王都を出てちょっと行ったくらいだと思うんだけど、とりあえずトイレを出して、中に立てこもってるの。これ、エアリスくんに伝えて!』だそうです」

「なんか軽いな?」

「…………いえ、まぁ、思いましたが……ルコが助けを求めています、急ぎましょう」


 ちょっと力が抜けてしまった。

 泣いている顔の絵と……紐か? なにか描いてあるが、よくわからない。とりあえず泣いているのは分かった。


「いや、これふざけてんだろ……」

「ルコですよ!? 本当に泣いているはずです! たぶん」

「たぶんって言ってんじゃねぇか」

「あっ……」


 いやきっと……たぶん、怖がってはいるはずだ。トイレは安全だが、絶対ではない。万が一にでも攻撃力の高い者がいた場合、中のルコに危険が及ぶ。それだけは避けたい。


「急ぐぞ!」

「「ハッ」」


 隊は少数精鋭の五名で構わない。なぜなら、私が全力を出すからだ。

 

「ゼファーは万が一に備えて留守を頼みます」

「団長とお前の親父には?」

「伝えておいてください。もしかしたら、諸々を頼むかもしれませんので」

「りょーかい。ルコを怖がらせるなよ?」


 ゼファーの言う意味がわからない。ルコを怖がらせているのは、誘拐したやつらだろう?

 私は全力でルコを取り返すだけだ。


「総員、衝撃に備えろ。転移するぞ!」

「「えっ……」」


 緊急時にしか使わないと団長と約束しているが、今は緊急時だ。後で何を言われようとも構わない。


 ――――ルコッ!




【ルコが書いた手紙】


挿絵(By みてみん)

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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ルコさん、緊急事態で慌てながら描いたにしては絵がお上手ですね。 ただ、なんというか微妙に気の抜けるというか、緊急事態と分かっていても脱力してしまう感じなのが面白いです(笑) [一言] ルコ…
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