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135/206

135:出てきたよ、ありがとう。

 



 備品を色々と考えつつトイレを呼び出して、ザザッと中に入って鍵を閉めた。

 スライドドアありがとう。ロープ挟んでもドアが閉まると思ってたよ! ほんとありがとう!


 あとは備品たちが出てるかどうかだけど…………。


「ぬぐぇっ、いでっ」


 ロープを急に引っ張られてドアに後頭部をぶつけた。めちゃくちゃ痛い。手洗い場の棚に必死に手を伸ばした。ワンチャン狙いでハサミも想像していたら、出てきていた。文具系もいけるのか。ちょっと謎いけど、ありがとう私の能力。


 ロープ自体はそんなに太くないし切れるだろうと思ったけど、全く切れない。


「グエッ、ゴホッ……」


 めちゃくちゃ痛い。

 ロープをグイグイ引っ張られて首が絞まるし、後頭部はドアにガンガン打ち付けられるしで、これ一歩間違ったら死ぬよ!? となっていたら、首の後ろでバシュンという変な音とかなりの衝撃を受けた。


「いっだぁぁぁ! ちょ、まじで痛っ!」

 

 後ろに引く力から解放されたことと痛みで、ヘタリと床にしゃがみそうになって、ぐっと堪える。綺麗だろうがここはトイレ! 必死に横の手洗い場に掴まり身体を支えた。


 ガンガンと叩かれるドアは無視でいいと判断して、鏡を見てみると、ロープが焼け焦げたように切れていた。


 ――――おぉ?


 もしかして、ドアの反発なんちゃらのおかげ? 過剰攻撃にはカウンター発動なんだよね? なんか知らんがありがとう。

 とりあえず首輪も外そうと思ったけど、ツルンとしていてどこにも留め金的な場所がなかった。鉄のようなガラスのような質感の首輪にはヒビが入っていたけど、パキョンとか自分で割れそうな気がしなかったので諦める。


 見た目が変態プレイ臭くなってるけど、まぁトイレに籠もっておけば誰に見られる訳でもないし良いか。


「さて――――」


 ハサミの他に備品を出しておいたのはメモ紙とペン。というか、仕事場のデスクの上に置いていたペン立てを想像したら丸ごと出てきた。全部新品でペン先にあの丸い赤いゴムみたいなのが付いている。

 

 ――――やっぱり。


 これで、どこからか既存のものを引き寄せているというよりは、想像して創造しているパターンなのだと確定した。

 トイレに筆記用具を置くことは可能なのか? という疑問は尽きないが、最近のトイレには爪楊枝や歯ブラシ、ヘアゴムや化粧水、綿棒やコットンなんてものまで置いてあるから、きっとイケるんだろう。


 メモ用紙に『助けて』と書きたいが、実は結構パニクっていて、手は震えるし、文字も思い出せない。カバンは取り上げられたから、見本もない。


 ――――ぬぐぐぐ。


 どうにかこうにか書きはしたものの、なんか怪しいから、日本語の文と絵も添えてみることにした。次郎くんが読んでくれたらどうにかなるだろう。たぶん。……日本語、忘れてないよね? ね? どうなの? 母国語だけど長年離れてるとけっこう忘れるとか動画で見たな……ぬぐぐぐ。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

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