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125/206

125:取捨選択なし。

 



 冒険者のお兄さんいわく、文字を教えるだけでこんなにお金がもらえて、ご飯まで食べられるのは、たちの悪いいたずらの可能性か、後から何やら追加で要求を出される可能性があるのだとか。


「ギルドを通してる依頼なのに?」

「それでも、裏で何やらやるやつはいるもんだよ。罰金とかのペナルティがあってもな」

「ほへぇ」


 恐ろしい世界だ。

 そして、私にはそんなつもりは毛頭ない事を伝えると、それならとお兄さんが依頼用紙を掲示板から剥がした。

 お兄さんが受けてくれるのかと思ったら、依頼用紙をペラペラと振りながら、高く掲げた。


「おーい。このガキに文字教えてやれるやついるかー!? まじでこの金額と飯付きだとよー!」


 そんなでかい声で言うな。『ガキ』と。ガキじゃないのよ……訂正が大変だし気まずいのよ。とてもとても気まずいのよ!

 きえぇぇぇぇ! と叫びそうになっていたら、男の子と言えそうな年齢の冒険者くんがおずおずと手を挙げた。


「あの、妹たちによく文字を教えてるので、そういったのは得意です」

「おー。ペーペーにはありがたい依頼だな! お前、受けてやんな!」


 お兄さんが勝手に依頼を受ける冒険者を決めてしまった。

 この状況じゃ取捨選択は出来ないパターンじゃ……まぁ、いいけど。


「えっと、ルコと言います。よろしく?」

「うん。よろしくね、ルコちゃん。俺はビンスだよ」

「ビンスくんね! で、どこで勉強しようか?」

「おいおい、その前に二階で依頼を受ける手続きだ」

「「あ……」」


 あんまりにも話が纏まっちゃったから、このまま移動してしまいそうだった。

 

 二階で依頼の手続きをしたら、受付のお姉さんに頑張れと応援された。

 ギルドを出て、ビンスくんのおすすめである図書館の勉強部屋を借りることに。図書館には、一人用の貸個室や複数人用の貸部屋などがあるらしい。


「部屋代は俺の報酬から引いて――――」

「え? 私払うよ?」

「……ルコちゃんって貴族? 服もそんな感じだし……」


 そんな感じとはどんな感じだ。あれ? 商人さんは平民が使うような服って言ってたけど。もしや平民の服にもランクがある?


「普通にペーぺーの冒険者だよ。この前デビューしたばっか。文字が書けないし、読めないからすっごく困ってるの」

「全く読めないの?」

「うん! 数字も読めない」

「あ、もしかして、異世界の人? 最近話題になってた」

「どんな話題かわかんないけど、たぶんそれ」


 ビンスくんが少し悩むような仕草をした。もしや教えてもらえない方向になりつつある!?




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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