122:どうしようもないし、丸投げで。
まぁ、流石にどうしようもない問題なので、どうしようもない。確かにエアリスくんの立場になって考えると可哀想な気もしなくも……うーん?
「どうしようもないから、エアリスくんに丸投げで!」
私は私が今まで生きてきたことを否定はしない。それらで私が形成されているからね。アホなこともしたし、ズルいこともした。しょうもないケンカもした。仕事をちょっとサボったりもしたしね。
「ルコって強いわよね」
「よく言われますけど、別に強くはないんですよね。逃げるのは上手いと思いますよ」
真正面から行くのも好きだけど、回避してメンタル守らないとね。折り合いの悪い先輩とぶつかったとき、次の日の仕事サボったりもしたなぁ。同僚には申し訳なかった。あそこで休まないと、私のメンタルはグズグズになる予感がしたから。
つまりは、野生の勘で生きているのだ。
「それを堂々と言えるのは、やっぱり強いわよ。エアリスは……そういうのが下手なのよ」
それは何となく分かる。真面目なんだよね。真っ直ぐに真っ直ぐに進もうとするもんなぁエアリスくん。
そこが可愛くて心が綺麗なんだろうだなと思える。
「眩しいですよね。見た目も中身も」
「あら、ルコもそう思う? 可愛いのよねぇ、あの子」
うんうんと頷いていると、ゼファーさんはよくわからないといった感じだった。
レイラさんが、ゼファーさんは鋭いのにそういうところは鈍感で、おじさんらしくて可愛いのよと言いながら、ゼファーさんの隣に座ってクスクスと笑いながら頬にキスしていた。
これから二人は夫婦の時間だろうから、おやすみなさいと言って、夫婦の部屋の前・使用人さんたちの居住区・自分の部屋の前ににトイレを出してから、部屋の中に戻った。
――――ああいう夫婦って感じ、いいなぁ。
いつか、エアリスくんとああいう風に暮らせる日は来るんだろうか? まぁ、エアリスくんとエアリスパパンの判断次第になりそうだから、私は冒険者としての経験積みをしよう。
明日も冒険者ギルドに顔を出して、同行してもらえる人探しからかな。ギルド長は高ランクの人たちのほうがいいって言ってたけど、直ぐに何かしらは出来なさそうだけど。
挨拶とか連絡とかだけでもできればありがたい。
あとは、勉強だよね。数字だけでも覚えないと本当にまずい気がする。
とりあえず、いろいろと明日から! ってことでお風呂に入って、寝ることにした。