113:設置してみよう。
ギルドに到着して、二階に上がった。ギルド長はいるかなーとデスクを見たら、めちゃくちゃ居眠りしていた。自由だなぁ。いいなぁ。居眠りしたらその分の給料削減だったよ私の仕事場。
「ギルド長、ルコさんが来られましたよー。起きてくださーい」
ギルド長、受付のお姉さんに完全におじいちゃんの扱いされてるな。良いのかそれで。
「んー? おお、ふぁぁぁ。ほいほい」
――――おじぃちゃぁぁぁん!
あふあふと欠伸をずるギルド長に、またもや奥の部屋を案内された。
「ん? エアリス様とゼファー様? 今日もダンたちとの訓練日じゃなかったかのぉ?」
「いろいろありまして」
「聞いても?」
ザクッと説明したら、ギルド長の目が覚めたらしい。急にメモを取り出した。
そして、今後私を紹介する相手は、なるべくランクの高い者が良いだろうということになった。
あと、私の希望でギルドの入口近くにトイレを置かせて貰うことになった。
「ええんかい?」
そもそも一度に五台も出さないし、男女用に分かれたから、実質二台扱いだし。
出しっぱなしでどうなるかを試したくもある。
トイレットペーパーがなくなったら?
汚れたら?
「なるほどのぉ。面白そうじゃな」
一応、ギルド受付のお姉さんに数時間おきにチェックしてもらうことにはなった。
トイレ掃除とかの雑用を押し付けて申し訳ないと言ったら、この世界のトイレの清掃より断然マシだと言われてしまった。
怖くてこの世界のトイレをまだ使ってないんだよね。
うーん。気が向いたら、使ってみるかなぁ。うーん……ううぅぅぅん……。
ギルド長から昨日今日の報酬をもらい、またもや懐ホクホクになった。
まだ夕方前だけど、お屋敷に帰っちゃおうかなぁと考えていたら、エアリスくんに手首をがっしり掴まれてしまった。
「ルコ…………忘れていませんか?」
「あ……いや、わざとじゃないけど……うん。ごめん」
「知ってます。ルコの中での私の存在がまだまだ小さいことは。これからもっと頑張ります」
いや、頑張るな。いまもすでにグイグイだよ。かなり圧がすごいよ?
そう言いたいけど、美麗な顔をキリッとさせて見つめてくるので、なんとなく言えなかった。
とりあえず、ギルド入口横にトイレを設置して、受付お姉さんに軽く説明して、何かあったらマチョォを飛ばしてねとお願いした。