11:ステータスおーぷん?
ツッコミを入れたい。
トイレ能力ってなんやねん! と、エセ関西弁で。
だがしかし、それは今ではない。たぶん。
騎士さんたちが、体に付いた返り血を洗い流している間に、なぜか全く汚れていないエアリスさんから説明を聞くことにした。
「自身のステータスを見るには――――」
ステータスを見る方法があった。
方法はめちゃくちゃ簡単で、心の中で『ステータス表示』と唱えるだけ。相手に見せたいときは『ステータス開示』で、消したいときは『ステータス解除』。
初心者や子どもは目を閉じて行うらしい。ということは、視界と被って表示されるパターンってことよね?
流石は剣と魔法の世界! 異世界バンザイ! 魔法少女爆誕! うぉぉぉぉぉ…………?
「…………読めないっす」
なんか占いとかでよく流行ってた、ルーン文字的なものがワジャァァァと並んだネオン掲示板みたいなのが目の前に見える。
なんで文字がふわっと縁取りされてんのよ。そのオシャレさを追求する前に、読めるもの出しなよ……………………ってか、コレ、誰が出してるの? 神か仏かそんなん感じの存在?
ぶっちゃけ、騒いでもどうにもならないだろうから郷に入っては郷に従え精神でいたけど、ツッコミは入れたい! もうちょっと、設定優しくしてよ、と。
「読めない?」
「文字が、私の世界と違います」
「言葉は通じているのに、か……」
考え込むイケメン眼福ぅぅぅとニヤニヤしていたら、顎ヒゲおっさんが思考の邪魔をしてきた。
幸せ空間にヒゲと血みどろを持ち込まないでほしい。さっさと水浴びしろ。
「言語聞き取りの能力持ってんじゃね? ステータス見せてもらえや」
「読めないなら、開示したくないものを消せないじゃないですか。流石にそれは――――」
エアリスさんがちらりとこちらを見ながら、申し訳無さそうな顔をした。よく分からんが、ステータスには見せないほうがいい情報も書いてあるらしい。だがしかし、私には読めんから関係ない!
――――よしっ!
『ステータス開示』
心のなかで唱えると、見えていた文字が、くるりと反対側を向いた。コレで相手に見えるようになっているっぽい。
私には裏も表も文字もわからないけど。
「…………え? 二十八歳? 年上?」
「ぶはははは! 子どもじゃなかったのかよ!」
ヒゲよ、うるせぇ。
あとエアリスさんはエアリスくんに格下げだ。