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【完結】LV1魔王に転生したおっさん絵師の異世界スローライフ~世界征服は完了してたので二次嫁そっくりの女騎士さんと平和な世界を満喫します~  作者: 東雲飛鶴
第九章 女騎士さんの、侍女と侍女

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第35話 女騎士さん、結果発表

 ロインがこの一週間、ダブルメイドのしごきに何度もくじけそうになりながら、やっと迎えた最終日。


 途中、脱走して捕まったことは一度や二度ではなかった。

 その度に、主人の生態を熟知したラミハに速攻で捕獲されていた。


 昼夜問わず監視がつき、プライベートはトイレと自室のみという、以前よりも厳しい軟禁生活を送っていたのだった。


                  ☆


 晶とロインは、寝室で朝を迎えていた。


「ようやく最終日だな、ロイン」

「サーイェッサーッ!」

「シーツにシワはないか」

「サーイェッサーッ!」

「パジャマは正確に畳み、所定の位置に置いたか」

「サーイェッサーッ!」

「休め!」


 晶は腕組みをし、下から上へとロインを見て、指差しチェックする。


「靴よし」

「ワンピースよし」

「髪よし」

「メイクよし」


「う~ん。完璧だ。室内も散らかることなく、全てが以前より美しい……。最早、あの二人の手を借りるまでもなくなっているな」

「……大丈夫、でありますか、教官」

「大丈夫だ、問題ない。さあ、あと1分。――やつらが来る!」


 ガチャリ。


「「おはようございます!」」

「おはよー」

「おはようであります」


 侍女二名は、一分の隙も見逃さない、といった、まるで特高か秘密警察のような風情で室内をチェックしはじめた。


 休めの姿勢で真っ直ぐ前だけを見つめるロイン。

 その視線の先には、ただ壁だけがあった。


 緊張した時間が流れる。


 二分ほどして、マイセンが口を開いた。


「合格です。この一週間、お疲れさまでした、お嬢様」

「お疲れさまでした、お嬢様」


「サーイェッサーッ!」


「よかったな、ロイン」


「サーイェッサーッ!」


「あの……陛下。よくお嬢様をここまで調教し……と言いたいのですが、このかけ声は一体?」

 困惑顔でマイセンが尋ねた。


「ああ……。こっちの世界の人に説明するのはすごく難しいんだよなあ。実際に見てもらえれば一発で分かるんだけど」

「はあ……」

「これは、俺のいた世界の軍隊で行われている、新兵訓練の際のしきたりのようなものだ。上官の質問や命令には、全て『サーイェッサーッ!』と返事するんだ」

「なんと、陛下は軍事教練にも通じていらっしゃったとは。感服です。このマイセン、お見それいたしました」

「お、おう……」


「あああ、私が何年かかっても教育出来なかったお嬢様を、この魔族な人が、魔族な人が、ががががが」


 あまりにも見事なロインの仕上がりに、ラミハがアイデンティティーの崩壊を始めてしまった。


「でもなあ……ロインよ」

「サーイェッサーッ!」

「うう……。そろそろそれしか言わないのやめないか?」

「何故でありますか、教官殿」

「だって俺、教官じゃねえし。お前のフィアンセだし」

「そう呼べと言われたのは教官殿であります」

「あちゃあ……」

「これはこれで、別の問題が発生してしまったようでございますね、陛下」

「どうしよう……(泣)」

「どうしよう……。も、もしかして、お嬢様は、何かを強制的に覚え込ませると、それしか出来なくなるタイプかも……だから今まで拒否しつづけてきたのかな……」

「もしかして我々は取り返しのつかないことをしてしまったのでは……」

「マジかよ……。俺の責任だ。俺がブートキャンプ方式なんて仕込まなければ……」


 マイセンが白い顔をさらに蒼白に、ラミハは半泣きになってきた。

 晶、マイセン、ラミハの三人は、やってはいけない事をしてしまった、という罪悪感でしばし無言だった。


「と、とにかく、何か方法を考えよう……」


 晶はロインを部屋に残し、マイセンとラミハの二人を連れて、まだ人気のないお茶の間に行った。

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