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【完結】LV1魔王に転生したおっさん絵師の異世界スローライフ~世界征服は完了してたので二次嫁そっくりの女騎士さんと平和な世界を満喫します~  作者: 東雲飛鶴
第九章 女騎士さんの、侍女と侍女

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第34話 侍女、意気投合する

 翌朝。

 けっこう早い、魔王の寝室。


 コンコンコン。

「「おはようございます!」」


「んー……だれだよ、こんな早く……」

 ごそごそとベッドから這い出す部屋の主・晶。


 傍らの高級肉塊はすうすうと気持ち良さそうに寝息を立てている。

 物音にはあまり反応しない、図太いセンサーの持ち主である。


 ぎい、とドアを開け、半ば寝た状態で応対する魔王。

「あい……。どなたさんで」


「おはようございます!」

「指導に参りました!」


 気合い度百二十%のマイセンとラミハだ。

 絶妙なコンビネーションで、一人はドアの隙間につま先を突っ込み、もう一人はドアの端に手を掛け、一気に解放した。


「え、え、なに、指導とか、聞いてないぞ俺、ちょっとあの、ねえ?」


 パンツ一枚でおろおろする魔王。

 二人の侵入を易々と許し、カーテンや窓を全開にされ、ベッドの掛け布団が景気良く剥がされた。


「きゃ――ッ! なによ!」


 さすがのロインも目を覚ました。


「お嬢様、陛下、身支度をなさいませ!」

「なさいませ!」


 昨日までは火花を散らす仲だったのに、今やすっかりマイセン二号と化した、ラミハが言葉を重ねる。


「なんだこれ……」

「やださむい……」


「昨日申し上げましたよね? 今日からお嬢様の躾け、もとい、花嫁修業を行いますと!」

「行いますと!」


「そ、そうだっけ……マイセン」

「さむい……」

 寝起きで体温が低いロインが、暖を取ろうと晶に張り付いている。


「陛下、もう何度も申しません。名実共に誠の魔王となった貴方様には、その身分に相応しいお妃が必要でございます。現在の粗野なままのお嬢様では、諸国はおろか、魔族の皆にまで恥を掻いてしまうんですよ。御自覚お持ちになり、事態を重く受け止められ、我々にご協力くださいませ!」

「くださいませ!」


「……そうでした。ごめんなしゃい」

「……しゃい」

「ほれ、ロインちゃん顔洗ってきなさい。俺風呂場で洗うわ……」

「はーい……。。。」


 まだ眠気の残る顔をごしごしこすりながら、魔王とロインはふらふらとバスルームへと歩いていった。


                  ☆


「なあ、なんかヤバい雰囲気だぞ……」


 フェイスタオルを首から提げて浴室から顔を出す魔王。

 シャカシャカ歯を磨いている最中の恋人に声を掛けた。


「んー。かなりマズい。

 私が実家から出たの、ママのせいもあるけど、三割ぐらいはあの子……」

「ちょっと愛が重いよな」

「うん……」


 ふたたびシャカシャカと歯を磨いている。


「俺も人のこと言えるほどキチンとしちゃいねえけどさ、もしかして、お前のそれってさ、わがままってだけじゃねえのかもよ?」


「……どういうこと?」


「俺の元いた世界は、こことは真逆に魔法が一切なくて、そのかわりに科学という文明が発達している。ある意味ここより進んでるよ。こないだ見せた紙幣も、俺の母国のものだ」

「……やっぱり」

「同じように医学も進んでいて、いろんな病気の原因や治療法が解明されている」

「……で?」

「お前、ズバリ、片付けられない女だろ」

「そう、だけど」

「気が散りやすい」

「まあ……」

「何かに没頭すると一日中やってたりする」

「うん」

「刺激を受けると直前のことを忘れる」

「そう」

「好奇心が強い」

「うん」

「目的も教えられずに作業をするのが苦手」

「そう」

「落ち着きが無い」

「うん」

「ふうーん……」


 晶は腕組みをした。


「……そりゃ、発達障害の可能性が高いな」

「はたつしょうが?」

「脳の病気だ。俺の世界では100人中3人ぐらいの割合で発症する。というか生まれつきの障害だ」

「生まれつき……。わたし病気なの?」

「病気って言われてるが、実際には脳のクセみたいなもんだ。普通の人より、得意なことと不得意なことが違うんだよ。でも少数派だから、病気扱いされてんのさ」

「そっかー」

「俺は医者じゃねえから確かなこたぁ言えないが、もしそうなら、お前にこれから施される恐怖のしつけは、虐待になる可能性があるって言いたいんだよ」

「ぎゃくたい……?」

「脳のクセって言ったろ? つまり出来ないことを無理強いされるってのは、暴力じゃねえのか? って話なんだよ。泳げない奴を池に突き落としたら、それは暴力だろ?」

「たしかに」

「俺もお前をかなり甘やかしてる自覚はあるけど、実際ムリゲなことなら、それでお前が必要以上に苦しむのなら、俺はそれから護りたい」

「アキラぁぁ~~」


 晶はロインの両肩にポンと手を置いた。


「というわけでだ。よく聞けよ」

「うん」

「まず一旦は連中の言うことを聞いて、与えられるカリキュラムをこなすんだ」

「うぇぇ~~」

「最後まで聞け」

「ごめん……」


「いいか? 完全に出来るようになる必要はない。これはテストだ。お前が、何が出来なくて、何が出来るのか、俺はそれを記録して見極めたい。データを並べれば、連中だって納得するかもしれないのだし」


 ロインの目が潤んでいる。


「うん……自信ないけど……」

「大丈夫。俺がずっとついてる。それなら出来るだろ?」

「……うん。やる」

「よしよし、いい子だ」


 晶はロインの頭をナデナデした。

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