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【完結】LV1魔王に転生したおっさん絵師の異世界スローライフ~世界征服は完了してたので二次嫁そっくりの女騎士さんと平和な世界を満喫します~  作者: 東雲飛鶴
第九章 女騎士さんの、侍女と侍女

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第32話 女騎士さんの侍女がやって来た

「お嬢様~~~~~~~~~~っ! 置いていくなんてあんまりですうううう!!」


 バンッ!!

 お茶の間のドアを威勢良く開けて、若い女が入ってきた。

 年の頃は15、6。

 シンプルなデザインのモノトーンのワンピースに、白いエプロンドレス。

 有り体に言えば、メイドの格好だ。

 そして、大きな布鞄を背負っている。


「どうしたの、こんな早く。あとで迎えを寄越すって言ったのに」

「ダレ?」

「私の侍女。女学校行く前からほったらかしにしてた」

「どんだけ放置プレイだよ……」


 メイドはスカートの左右の裾をつまみ、腰を折って魔王に礼をした。


「あ、わわ、ま、魔王陛下におかれましては、お初にお目に掛かります!! わ、私、ロインお嬢様に長らくお仕えしております、侍女のラミハでございます!! 本日より、こちらのお屋敷でお嬢様のお世話をさせて頂くために参りました!!」


「お、おう……、よろしくたのむ。随分と元気のいい彼女だね……」

「あはは……」

「お嬢様のお部屋はどちらですか!! 今頃大変なことになっているはず!!」


 開けっ放しになっていたドアから、マイセンが入って来た。


「なんですか、朝から騒々しい。お嬢様、この田舎娘はどこのどなたですか」

「い、い、田舎娘ええ~~~!? だ、だれですか! このオバサンは!」

「すみません……私の侍女なの……」


 マイセンは、ふん、と鼻を鳴らすと侮蔑の眼差しで二人の小娘を睨んだ。


「飼い主が飼い主なら、家畜も家畜だわ……」


「あわわわ……」

 モギナスが慌てて、マイセンと、ロインたちの間に滑り込んだ。

「お二人とも、急いで謝りなさい! 大変なことになりますよ!」


「叔父上は関係ありません! お退き下さい!」

 と、マイセン。


「頼むから、早く謝って! じゃないと大変なことになりますよ!」

 モギナスの声が裏返って、半ば悲鳴のようだ。


「家畜とか言われて引き下がれますか! ねえお嬢様!」

「ええっと…………」


「――わかりました。貴女方のような下等生物には調教が必要ですね」

 マイセンはドスのきいた声で言うと、右手を突き上げ天に掲げた。


「ああああ――っ、ダメです~~~~~ッ!!」

 頭を抱えて絶叫するモギナス。


 マイセンが挙げた手のひらに、じわじわと光が集まっていく。

 その周囲では、パチパチと火花が飛び散る。


「え、なに、なんなの!?」

「お嬢様、お下がりください!!」

 ロインの前に立ちふさがる侍女。


「どうなんだこれ……ヤバいんじゃねえの……」

 先刻から傍観していた魔王・晶もただならぬ事態に、椅子から立ち上がった。


 パチパチ程度の火花が、誘蛾灯のように激しくバチバチと大きな音を立て、ほんのりとした明かりが、いまやはっきりと視認出来るほどの光球へと成長していた。


「やめなさい、マイセン~~~~ッ、たのむからやめてえええええ~~~~~ッ」


 次の瞬間、マイセンが掲げた手を振り降ろし、光球を投げつけた。

「砕け散りなさい!! 下等生物!!」


「上等だコラ!! クソババア!!」

「やめてええええ(泣)」

 叫ぶ侍女。その背中にすがりつくロイン。


「それは困る!!!!」

 非力なレベル1魔王の晶が、二人の前に飛び出した。


 バリバリバリバリ!!!!


 辺りには一瞬強い光が瞬き、激しい衝撃波と電気がショートする大きな音、そして何かの焦げる匂いと煙に包まれた。


 誰もが黒焦げ晶の完成を想像した。

 当人ですら。



 しかし、視界が開けてくるとそこには――



「美味であったぞ」

 古竜神が満足そうに、鎌首をもたげていた。

 ペロリと舌なめずりをすると、するりと薬師の杖の中に戻っていった。


「……助かった、のか?」

「はい、陛下。マイセンの雷撃を、猊下が全て飲みこんで下さったようで……」


 いまだ仁王立ちをしているマイセン。

 腕組みをしながら、目の前の少女に問うた。


「小娘、名は何という」


 少女も腕組みをして言い放った。


「私の名はラミハ!! お嬢様の盾となる者!!」

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